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カードローンの返済中に、病気で返済できなくなったらどうなる?

FPにききたいお金のこと 白浜 仁子

カードローンの返済中に、病気で返済できなくなったらどうなる?

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Wallet+ユーザー様からいただいた「FPに聞きたいお金のこと」に、FP白浜がお答えします。今回は、40代Aさんからカードローンの返済中に万が一のことがあった場合についての相談です。

40代女性Aさんからの相談

カードローンでお金を借りています。もし、自分の意思表示ができない病気になってしまった場合、返済はどうすれば良いのでしょうか?心配です。

返済が滞ると催促書が届き、資産が差し押さえられる場合も

万が一、病気等で意識が戻らない状態になった時の返済を心配されているのですね。家族など周りに迷惑がかかるのではとお考えなのかもしれません。もしAさんに万一のことがあって、カードローンの返済ができなければ、まずは借入先の金融機関からメールや電話で連絡が入ります。

意思表示できない状態なら、当然メール・電話の対応はできません。そのうち郵送で督促状や催告書が届くようになり、一定期間(一般に3カ月程度)が経過すると、Aさんは、「期限の利益喪失」といって月々分割で返済できるという権利を失います。

そうなると借入先の金融機関は、延滞しているAさんの借金を保証会社に全額肩代りしてもらい、カードローンは完済します。これを「代位弁済」といいます。しかし、保証会社が払ってくれたからといってAさんの債務が無くなるわけではありません。

今度は、Aさんから返してもらう権利(=債権)が保証会社に移り、一括返済を迫られます。返済が滞った期間は遅延損害金も加算され、さらに返済されない場合、最悪、Aさんの資産が差し押さえられることになります。保証会社が付いていないカードローンでも、金融機関から直接一括返済を迫られ、差し押さえられるという流れは同じです。

後見人を立てて債務整理をしてもらうのが一般的

債務整理
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家族がどこかで借金に気付き、代わりに返済することもあるかもしれませんが、保証人になっていないのであれば、本来、返済義務はありません。また、債務整理をするにしても、家族が勝手にできないため、裁判所に申し立て、後見人に債務整理をしてもらうのが通常です。

後見人は一般に弁護士など家族以外の人が選ばれることが多く報酬が発生します。手間や費用がかかるため、後見人の必要性は借金の額や、その他の状況も含め総合的に判断する方が良いでしょう。

仮にですが、Aさんの容体が悪くそのまま相続を迎えることになった場合は、相続人が債務を引き継ぎ返済義務が生じます。ただ、相続放棄をすれば免れることも可能です。

万が一のために、エンディングノートで希望を伝えておこう

エンディングノート
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もし家族にできるだけ迷惑をかけたくなければ、エンディングノートのようなものに自身の預貯金や借金の情報を記し、どうして欲しいか希望を書いておくのはいかがでしょうか。

エンディングノートは伝えたいことを何でも自由に書けます。加入している生命保険があるならそれらの情報も書いておくと請求漏れも防げます。また、Aさんが会社勤めをしている(職場の社会保険に加入している)のでしたら、健康保険から傷病手当金が支給されるはずです。給与の3分の2程度の額を、最長1年半受け取れるため返済の原資になります。

病状によって先々障害認定されることになれば障害年金を受け取れます。また仕事が原因で病気になった場合であれば労災保険が関係してきます。そんな情報や問い合わせ先をノートにまとめておくと、家族もいざという時に助かり、Aさんの心配も軽減できるのではないでしょうか。

事情があってカードローンを利用されているかと思います。すでに取り組んでいらっしゃるかもしれませんが、カードローンの利用が継続的なものならその原因を解決できないか検討するのも良いでしょう。また、生活環境の改善や家計の見直しなどで少しでも早く返済できると良いですね。