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いま海外資産に投資すべき!?メリットと気を付けるべき2つのこと

経済とお金のはなし 山下 耕太郎

いま海外資産に投資すべき!?メリットと気を付けるべき2つのこと

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2022年は円安が進んだことから海外の株や債券に投資する人が増えています。ただ、初心者はどのように海外投資を始めればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。この記事では、初心者でも取引しやすい金融商品や、購入時の注意点について解説します。

海外資産に投資するメリット

海外資産には、外国の債券や株式、リート(不動産投資信託)などがありますが、投資初心者は投資信託を活用するのがおすすめ。ネット証券を利用すれば100円から購入でき、幅広い資産に分散投資できるからです。

海外投資のメリットは、他国の経済成長を自分の資産形成に取り入れることができることです。世界には、日本よりも高い経済成長が見込まれる国もあります。そのような国の株式や債券に投資することで、国内の債券や株式に投資するよりも高いリターンを得られる可能性があるのです。

海外投資は、主に先進国への投資と新興国への投資に分けられます。一般に、先進国よりも新興国の方が高い経済成長が期待できますが、一方で、新興国への投資は先進国よりもリスクが高いため、注意が必要です。

国内だけでなく、先進国や新興国の資産に分散投資することで、幅広い国や地域からリターンを得ることが期待できます。

海外投資のリスクや注意点

海外投資のリスク
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海外資産に投資する場合、どのようなリスクや注意点があるのでしょうか?

為替リスク

海外投資で最も注意しなければならないのは、為替レートの変動によって資産が失われるリスクがあることです。これを「為替リスク」といいます。

例えば、為替レートが1ドル=100円のときに日本円100万円をドルに換算して預けた場合、為替レートが1ドル=80円になると、預けた金額は円換算で80万円に減少してしまうのです。

いくら海外の金利が高くても、為替差損が大きくなって金利を打ち消してしまえば、損をすることになります。海外資産の多くは、このような為替リスクに注意が必要です。

カントリーリスク

カントリーリスクとは、海外投資において、その国特有の政治・経済情勢や自然災害などにより、相場が大きく変動する可能性をいいます。一般的に、カントリーリスクは先進国よりも新興国の方が高くなる傾向があります。

海外投資を行う際には、投資対象となる国や地域に関するニュースを定期的にチェックするようにしましょう。

今後の資産運用は20~30代に期待

パソコンを見る若い男性
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現在の日本の金融資産は高齢者に偏っていますが、今後は20~30代の若い世代に期待です。特に20代を中心としたアベノミクス(2012年~)以降に運用を始めた世代は、株式の運用などでマイナスになったトラウマをほとんど経験していませんし、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの非課税制度も充実しています。

また、30代も2008年のリーマンショック以降に資産運用を始めた人が多いので、投資環境が改善した中で育っています。

今後の資産形成は、20~30代といった若い世代が中心になっていく可能性が高いと考えています。

資産運用は長期・積立・分散投資が基本

資産運用は「長期・積立・分散投資」が基本です。特に、20~30代の若い世代は以下の2つのメリットがあるので、少額からの積立投資をおすすめします。

少額から始められる

ネット証券を利用すれば、投資信託の積立投資は月々100円から始められます。少額から始められる積立投資は、20~30年といった長い期間をかけて資産形成をする必要がある20代、30代の方に向いています。

ドルコスト平均法によるリスク軽減効果

ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品(投資信託など)を、常に一定の金額で、一定の間隔で、時間を分散して購入し続ける方法です。この方法で金融商品を購入し続けると、価格が安いときには多く購入し、価格が高いときには少なく購入することになります。

つまり、金融商品の購入単価が平準化され、長くなればなるほど投資リスクを軽減できるのです。

海外投資でも「つみたてNISA」を利用する

つみたてNISA
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「つみたてNISA」は、長期の積立投資を支援するための非課税制度です。金融庁が定める基準を満たした投資信託や上場投資信託(ETF)に年間40万円まで積み立てることができ、購入した年から20年間は運用益(配当や売却益)に対する税金がかからないというメリットがあります。

口座数を年代別に見ると、2022年3月末時点で30代が170万口座と最も多く、次いで40代の146万口座、20代の112万口座となっています。20代から40代が全体の7割以上を占めているのです。

そして、つみたてNISAで人気があるのが、海外の株式に投資するファンドです。つみたてNISAで人気のあるファンドを2つ紹介します。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 

基準価額 18,548円
信託報酬 0.0968%(年率・税込)
純資産総額 1兆4,226.8億円
(2022年9月末時点)


 米国を代表する株価指数であるS&P500種株価指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。保有コストである信託報酬が0.0968%(年率・税込)と低く、長期保有に適しています。

2022年のS&P500種株価指数は下落していますが、9月末時点における1年間騰落率は+9.4%となっています。同ファンドは円換算ベースのS&P500種株価指数を対象にしているので、円安・ドル高がプラスリターンに寄与しているからです。ただし、円高・ドル安になると為替差損がでるので注意が必要です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)  

基準価額 16,016円
信託報酬 0.1144%(年率・税込)
純資産総額 6,474.3億円
(2022年9月末時点)


 
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動する投資成果を目指すインデックスファンドで、このファンド1本で全世界の株式に国際分散投資できる便利なファンドです。先進国、新興国に幅広く分散投資できるので、S&P500種株価指数を投資対象とする「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりもリスクを抑えた運用が可能です。

まとめ

海外資産に投資することで、国内の株式や債券に投資するだけよりも、リスクを抑えて安定的なリターンが期待できます。ただし、為替リスクやカントリーリスクなど特有のリスクもあるので、投資信託を利用して少額からの長期運用をおすすめします。

また、非課税制度である「つみたてNISA」をも上手く利用するようにしましょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。