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見落としてない?お金の制度改正2022【住宅・子育て・暮らし編】

そなえる 権藤 知弘

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2022年も、お金に関連する制度にたくさんの変更がありました。今回は2022年に改正されたお金に関連する制度のうち、住宅・子育て・毎日の暮らしに関係する制度の変更点を振り返ってみましょう。

住宅に関連する制度変更

今年は住宅に関係する制度に変更がありました。

住宅ローン減税の見直し

住宅を購入する際に一定の条件を満たすと、所得税と住民税が減税される住宅ローン減税。この住宅ローン減税の内容が変更になりました。2021年の年末で従来の制度は終了し、2022年から適用された内容は以下の通りです。

2021年までの制度と比較すると、2022年以降は残念な内容になっています。それでも、住宅購入時に役立つ制度ですので、活用できる人は積極的に活用しましょう。

火災保険の保険料の引き上げ

近年、大型の台風や大雨などによる災害が増加しています。このような天災に備えるのが火災保険です。この火災保険の保険料や最長保険期間などが2022年10月に見直されました。主な変更点は以下の通りです。

自然災害のリスクが高まっていることや、長期の見通しが立てにくくなっていることなどから保険料の値上げや、最長保険期間の短縮など大きな見直しが行われました。

子育てに関わる制度の変更

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2022年は、子育てに関連する制度もいくつか変更になりました。

成人年齢が18才に

2022年4月に成人年齢が18才に引き下げられました。携帯電話やクレジットカードの契約も保護者の同意なしで申し込みが可能です。また相続などの法的手続きにおいても大人として扱われます。なお成人年齢が改められるのは、明治時代から数えて約140年ぶりです。

高校での金融教育がスタート

高校の授業で金融教育が必修化されました。これまでも家庭科で家計のやりくりなどは扱われていましたが、金融商品のことや投資についての金融教育はなされていませんでした。これまでよりも範囲を拡大し、株式投資や投資信託の仕組みなども高校の授業で教わります。すでに欧米では、中学・高校時代に投資について学ぶ環境があります。日本の子供たちも今後は学校で投資に触れる機会が増えていくのではないでしょうか。

児童手当改正

お子さんが誕生し、中学校を卒業するまで、児童手当が国から支給されます。金額は3才までは1万5000円/月、3才から中学卒業までは1万円/月です。ただし、この手当は保護者の所得が一定の基準を超えると、年齢に関わらず一律5000円/月へ減額されています。減額された給付を特例給付と呼び、今年はこの特例給付の対象者が変わりました。2022年10月からは養育者の年収が1200万円を超えると、特例給付を受けられなくなっています。

産後パパ育休制度

今回、子育て支援として『産後パパ育休制度』が導入されました。この制度は従来の育休制度とは別のものです。対象期間は「子の出生後8週間以内」で、取得可能日数は「4週間(28日)まで」となっています。これまでも男性が育児休業を取ることは可能でしたが、実際は連続して仕事を休むことは難しく、なかなか取得しづらい状況でした。今回の産後パパ育休制度は、出生時から連続で育児休業ができない場合に小分けで休むことができます。これにより育休を取得しやすくする目的があります。

医療費について

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少子高齢化が進み、社会保障制度の柱である医療費に関連する制度にも変更点があります。

選定療養費の値上げ

「選定療養費」という言葉を普段耳にすることはほとんどないと思います。大きな病院に他の病院の紹介状なしで行くと初診料の支払いが必要になりますが、この初診料のことを選定療養費と呼びます。金額は医療機関によって異なり、とある地方の赤十字病院では改定前の費用が7700円であったものが、改訂後は1万1000円になるなど金額が大きく値上がりしました。なお、これまで通り、自宅近くの病院(かかりつけ医)で紹介状を書いてもらい、大きな病院に行くという場合、選定医療費は不要です。

高齢者医療費負担が2割に

75才以上の人は後期高齢者医療制度の対象者です。後期高齢者医療制度では医療費の窓口負担は基本1割、現役並みの所得がある人は3割負担でした。この仕組みが2022年10月に変更され、75才以上の約20%の人が2割負担の対象者となりました。少子高齢化の中で若年層の負担を減らすことが目的です。

その他暮らしに関わるもの

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他にも、私たちの暮らしに関わる改定として、以下のようなものがあります。

ゆうちょ銀行のサービス改定

身近な金融機関として利用者も多い、ゆうちょ銀行のサービスが変わりました。郵便事業が民営化され、銀行事業も民間銀行として各種サービスへの対価を得るようになったということでしょう。目立つのは両替を含め、硬貨を使うサービスについて料金が必要というところだと思います。ネットを含め銀行はたくさんありますので、ゆうちょ銀行のサービスが必要ということであれば費用は負担すべきでしょう。

ふるさと納税確定申告簡素化

自己負担2000円で全国各地の名産品などを受け取れることで人気のふるさと納税。本来ならば、ふるさと納税は寄付金控除にあたり、確定申告する必要がありますが、会社員は寄付をした自治体が5つ以内であればワンストップ特例が使えます。このワンストップ特例を使うためには、期限内に寄付先の自治体へ申請書などの必要書類を提出しなければなりません。特例が適用されると、翌年の住民税が寄付した分安くなります。(ふるさと納税は住民税の前払いであり、節税ではありません)

このワンストップ特例がさらに簡単になり、マイナンバーカードとスマホがあればオンラインで申請できるようになりました。「I AM」というアプリをスマホにダウンロードし、マイナンバーカードを使って申請することで郵送物のやりとりがなくなります。また、「自治体マイページ」というサービスに加入している自治体に住んでいれば、マイナンバーカードとマイナポータルアプリでワンストップ特例の申請ができるので便利です。

まとめ

2022年のお金に関する制度変更を振り返ってみました。見落としていた変更点はありましたか?一個人として残念な制度改正もあれば、便利になったことや長期的なメリットがある改正もありました。ご自身にとってメリットがあればぜひ活用しましょう。