お金

「変額保険」は資産運用としてアリ?向いている人の条件とは?

ふやす 白浜 仁子

「変額保険」は資産運用としてアリ?向いている人の条件とは?

【画像出典元】「stock.adobe.com/ELUTAS」

資産運用の一つとして、変額保険を検討する人も多くいます。ここでは、変額保険とはどのようなものか、メリットやリスク、向いている人・いない人について見ていきましょう。

変額保険とは?種類と特徴を解説

一般的な死亡保険は「定額保険」といい、万一が起こった時に支払われる保険金が契約時にあらかじめ定められています。保険会社は、預かった保険料をリスクの低い日本国債を中心に運用しています。これに対し、運用実績によって保険金や解約返戻金が変動する保険を「変額保険」と言います。変動する理由は、リスクのある投資信託で運用するためです。万一が起こった時は、運用実績によって保険金が決まるため、運用が良ければ死亡保険金が増えます。そうなると運用が悪かった場合が気になりますが、死亡保険金には最低保証があるためその点は安心です。

また、変額保険には掛け捨てのタイプはなく、すべて貯蓄タイプとなります。

②の満期が来た時や、③の受け取り開始を迎える時には、その時の運用実績に基づいた額を受け取ることになります。また、①も含め中途解約をするケースもあるでしょう。その場合も、その時の運用実績によって受取額が変わります。つまり状況によっては元本割れをすることもあるわけです。

変額保険のメリット3つ

メリット
【画像出典元】「stock.adobe.com/jd-photodesign」

では、変額保険のメリットは何でしょうか。主に次の3つがあげられます。

運用実績によって死亡保険金が増えれば、残された家族により多くのお金を残すことができます。また、インフレに強いとされる株式を中心とした投資信託で運用されるため、物価高対策をしながら保障を持つことが出来るのはメリットといえます。節税対策というのは、生命保険料控除が受けられるため、毎年の収入に対して納める所得税や住民税がその分軽減されるということです。

変額保険のリスクは?デメリット3つ

変額保険のデメリットは何でしょうか。主に次の3つがあげられます。

変額保険は運用実績により満期時や解約時の受取額が変わるため、タイミング次第では、元本割れをする可能性があります。特に満期があるタイプは注意が必要です。中途解約なら自分でタイミングを見計らうこともできますが、満期は変えられないため、今は相場が悪いからもう少し待ちたいと思ってもその時の相場を受け入れざるを得ません。

また、変額保険は、一般的な投資信託に比べ、運用効率が下がるというデメリットがあります。理由は、支払った保険料の一部が、保障を備えるための費用へ振り分けられており、その残りが運用される、つまり保険料すべてが運用される訳ではないためです。

また、変額保険は保障と貯蓄を同時に行うものですので、もし運用実績が良くて解約したいと思ってもそれによって万一のための保障を失ってしまうという悩ましいことが起こります。そういった意味では柔軟性に欠けると言わざるを得ません。

変額保険に向いていない人・向いている人は?

顔文字が描かれた木工ブロック
【画像出典元】「stock.adobe.com/78art」

変額保険が向いていない人は、保障が不要な人や、保障が必要な場合でも資産運用をより効率的に行いたい人です。保障は安い保険料の掛け捨てタイプで備え、資産運用は、NISAなどを活用しながら投資信託で運用することをお勧めします。

変額保険が向いている人はその反対です。万一に備えながら運用もしたい人で、保険と投資を別々に契約・管理するのが面倒という人や、途中で解約せずに比較的じっくり続けていける人に向いています。また、相続対策として保険で納税資金を準備する場合、変額保険なら死亡保険金が増える可能性があるため、定額保険より魅力がある選択肢となります。このように目的によって良し悪しは変わります。

資産運用目的なら変額保険よりも投資信託が◎

筆者は、資産運用をするために変額保険を契約するというのはお勧めしません。資産を増やしていきたいなら投資信託でコツコツと運用し、保障が必要なら掛け捨ての保険に入る。それぞれ目的に分けて考える方が保障の増減もしやすく、投資資金の見直しも保障を気にしながら検討する必要がありません。柔軟性が高く効率的といえます。

まとめ

世の中には多くの金融商品があふれています。契約した後にやっぱり解約したいと思っても元本割れをする場合は踏み切れないこともあるでしょう。
変額保険に限らず、契約する時には、メリット・デメリットを把握し、他の金融商品との比較をしながら、自分のライフスタイルやマネープランにあった商品かどうかという視点を持って検討するようにしましょう。 

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。