引越シーズン!部屋選びの基準はミニマル派それとも広さ派どっち?
目次
春は引越の季節 ライフプラン3.0世代の引越術はある?
春は引越の季節です。会社の人事異動が4月の年度初めに発令されることが多かったり、学生であれば入学や卒業のタイミングに重なることから、たくさんの引越が発生します。
時代が変化していくといっても、こうした新生活の節目はなかなか変わらないようで、今も昔も、桜と引越がセットのイメージであるようです。
今回はマイホームの取得に伴う引越ではなく、賃貸暮らしを中心に話をしてみたいと思いますが、今の時代にマッチした賃貸物件の上手な借り方・引越し方はあるものでしょうか。
部屋を借りる基本条件は今も昔も変わらない でも部屋探しや保証人の仕組みに変化の兆し
部屋を借りる基本的な仕組みは変わりません。いい賃貸物件をみつけ、気に入ったら不動産賃貸契約をします。一般的には不動産会社が間に入り、大家さんとあなたとの仲介をします。
今の時代に便利になっているのは、賃貸物件の検索サイトが充実していることでしょう。スマホがなかった20年前なら、街の不動産屋さんにわざわざ出かけていく必要があり、条件をある程度告げると不動産屋が候補物件を提示する仕組みでした。細かい条件をオンオフしながら候補を絞り込むような今の便利さはまったくありません。
不動産屋を横断して検索できないのも昔の弱みで、いくつも不動産屋をたずねて同じ要望を何度も話し、候補提示をお願いするのも面倒なことでした。今はとても便利になっています。
まずは納得のいく条件で、できれば割安の物件がないかじっくり探しましょう。このあと何年も住むわけですから、手間や時間を少しかけて物件を探したいものです。
物件の退去が3月、入居が4月に集中するため、ピーク時などは実際に部屋を見ずに契約をしなければならないということもありますが、できる限り回避し、実際のお部屋を確認することをお勧めします。
さて、不動産契約は、私たちが初めて結ぶ本格的な「契約」かもしれません(学生の場合は、親が契約主体となることもある)。いい機会ですから、ぜひ不動産会社の担当者が行う重要事項説明書の内容をよく確認してください。その後作成される賃貸契約書の内容も確認します。分からないことは何でも質問しておくといいでしょう。
契約の大枠は、昔とあまり変化がありませんが、退去時のルールなどは明確化されるようになりました。解約時の原状回復義務(借りたときの状態にして引越していくこと)と敷金の精算について、あいまいな点が多くしばしば借りる側が不利になっていたことから、国土交通省の「原状回復ガイドライン」が示され、ルールが標準化されるようになりました。とはいえ、契約書にどう記載されているかはその場で確認しておくことが大切です。
もうひとつ変化の兆しがあるとしたら「保証人」の仕組みでしょう。かつては親あるいは親戚が「保証人」として署名し、身分証明書類を提出しないと部屋を借りられないことが多くありました。
今では家賃保証会社がその代わりとなり、一時的な滞納のフォローをしてくれることが多くなりました。もちろん払うべき家賃は払わなければなりませんが、親が高齢化していたり、亡くなっているため頼める親戚がいない場合なども部屋を借りやすくなっているわけです。
引越はけっこうお金がかかる!
引越をするためにはかなりのお金がかかります。賃貸契約に関連してはおおむね以下のようなお金がかかります。
・敷金
・礼金(かかる場合)
・前払いの家賃
・火災保険料
・仲介手数料(不動産会社の取り分)
・家賃保証会社の保証料
家賃の約4~5カ月分(敷金・礼金がそれぞれ1月分だった例)位はかかるでしょう。「家賃1カ月分と引越代だけあれば実家から出られる!」とはいきません。もし一人暮らしを目指している場合は、仕事をしながら計画的にお金を貯めておきたいところです。
実際の引越にあたってはさらに、
・引越業者費用
・家具や家電、日用品の購入費用
などもかかってきます。家具や家電は、今あるものを活用しつつ、友人などから余っている中古を譲ってもらうなどして節約も可能です。最初の一人暮らしはできるだけコストを抑えてスタートしてみて、徐々に家具や家電を買いそろえていきたいものです。
引越業者のお値段については、季節によって大きく変動します。繁忙期である3月、4月はとんでもなく高く、閑散期はかなり安くなります。もちろん、若いうちは友人に頼んでレンタカーを使って荷物運び、という方法もありますね。
私も20歳代のときに、レンタカーを使って引越をし、友人に助けてもらった記憶があります。ただし、終わったあとにご飯をご馳走するなどの「お礼」の費用はちゃんと予算として考えておきましょう。
あえてシンプルライフを極めるミニマリストの賃貸
物件選びについて最初にあまり触れませんでしたが、ライフプラン3.0世代は上の世代と違う価値観で暮らし始めている傾向があります。
そのひとつは「ミニマリスト」です。若い世代を中心に広まり始めている新しいライフスタイルですが、ミニマル、つまり最小を旨として生活を行う考え方です。例えば
・大画面テレビはいらない → そもそもテレビは見ないし、タブレットで動画を見れば十分
・たくさんの服はいらない → 最小限度のシンプルな服をローテーションさせればいい
・コレクションはいらない → モノを収納・保管するスペースがもったいない
・CDやDVDはもたない → サブスクリプション配信で見たり聞いたりすればいい
・雑誌や新聞は買わない → オンラインで購読、もしくはネットの情報源で十分
というように、生活で所有するモノの数や量を最小限度に抑えていきます。一時期流行した「断捨離」は、すでに多くある不要なモノを捨ててシンプルライフを目指す考え方ですが、ミニマリストは最初から持たなくてもいい、と考えるわけです。
シンプルライフの一部はすでに多くの人が実践するところです。スマホとタブレットがあれば、テレビはいらない、正直大画面のテレビを見る時間はもうほとんどない、という人は意外と多いのではないでしょうか。
全部は無理でも、部分的にミニマリストの生活を取り入れてみると、部屋のモノが減りすっきりとした空間になるだけでなく、広い部屋でなくても大丈夫ということになります。
ワンルームあるいは、6畳2部屋で十分ということになるかもしれません。当然ながら広い部屋は家賃が高くなり生活費を圧迫することになりますが、ミニマリスト志向を持っている人なら、これを低く抑えて生活コストを減らせます。
「自分なら、どれくらいの広さが快適なのか」を、あえて狭いほうに目線をやって検討してみるのも一考に値すると思います。
テレワーク中心の働き方なら住む場所に自由度を高めてみよう
もうひとつ、今度は逆に「広い部屋」を狙ってみるアプローチもあります。近年普及が進むテレワークができる会社、業種の人は「安くて、広い」選択ができるかもしれません。
オフィスが都市圏にある場合、「1時間程度で出社できるところに住まないと……」と考えてしまいますが、そういう物件はやはり高くなってしまいがちです。
しかし、会社への出社が週に一度、あるいはそれ以下というような働き方ができる場合、「通勤時間」という要素を外して部屋選びができるようになります。
特に結婚を考えているカップルや子育て世帯は「もうちょっと広い部屋に住み替えたいな」と思うときがあると思います。「広い部屋=家賃増」という選択だけでなく、「広くなったけれども家賃は変わらず(あるいは安くなる)」を実現できるかもしれません。
テレワークが続くと、ずっと家にこもりがちになりますし、窓も閉め切ったワンルームはちょっと息苦しいですよね。あなたがもし、テレワーク中心で働ける環境にあるなら、あえて郊外に引越してみるのもいいと思います。
大変だけど自由もある楽しさ 一度は一人暮らしをしてみよう
いくつか引越にまつわる時代の変化を読み解いてみましたが、一人暮らしの賃貸生活は「自由と苦労」を楽しむ若い世代ならではの楽しみのひとつです。それは今も昔も変わらないと思います。
親元から離れて一人暮らしを始めると、食事や風呂の準備は自分でする必要があります。家賃も含め、家計としては生活費が大きな負担となるでしょう。
しかし、忙しくて部屋が散らかっていても親に怒られることはありません。何時まで起きていてもよく、何時に寝てもいい、そんな気安さも一人暮らしならではの経験です。
長い人生を見据えれば、自分の部屋を自分で確保し、また生活をやりくりしていくことを覚えていく必要があります。大変だけど自由もある一人暮らし、一度は経験をしてみることをおすすめします。
あなたが40~50歳代になったとき、きっと20歳代の頃の一人暮らし経験は、楽しい思い出になっているはずです。