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今話題の「ChatGPT」米国・現地メディアや識者の最新動向は?

N.Y.発、安部かすみの今気になる最新マネートピック 安部 かすみ(あべかすみ)

今話題の「ChatGPT」米国・現地メディアや識者の最新動向は?

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アメリカで誕生したChat GPT。昨年秋にリリースされるや否や、瞬く間に世間で話題に上り、以降その勢いが世界中で止まりません。本場アメリカではどのような動きがあるのでしょうか。またコンピュータのスペシャリストはどのように使っているのでしょうか?現地で報じられている最新動向をお届けすると共に、「生の現場の声」として米IT系企業の代表者や業界で働く人にも現状をどう捉えているのか、話を聞いてみました。

米・iPhone向けアプリも提供開始

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またもやアメリカから「革命」とも言えるものが発明され、この半年で急速に普及し、世界を瞬く間に席巻中です。それは、米・OpenAI社が発明した対話型人工知能(AI)のChat GPTのこと。昨年秋にアメリカでリリースすされるや否や、日本でも一瞬にして話題となりました。

OpenAI社は、CEOのサム・アルトマン氏をはじめ、テスラ社やスペースX社のCEOであるイーロン・マスク氏ら、数名の実業家がファウンダーとして名を連ねます。歴史は浅く、2015年にサンフランシスコで誕生したばかりの新興企業です。

アメリカでは5月18日、ついにChatGPTのアプリも登場。操作がアプリ上でできるため、利用がより快適になり、外出先でも気軽に使えるようになりました。現在は、apple社のiPhoneやiPad向けのアプリのみですが、いずれAndroid版もリリースされる予定とか。

利用上のさまざまな「懸念」

すでにアプリストアでは、数々の「模倣アプリ」(多くは有料)が溢れている状態で、本物を見分けるための注意が必要です。(本物は「ChatGPT」と書かれたもので、白黒の正式ロゴがあり、利用は無料です)

アプリ上では音声入力もできることから、5月19日付の米有力紙ワシントンポストは「SiriやAlexaほどではないにしても、スマホでChatGPTに『トーク(話しかけること)』も可能に。ただしブラウザ上での使用に比べて、音声テキストの変換機能以外にこのアプリを使用する利点はそれほどのものではない」と報じました。

また同紙は、プライバシーに関して懸念を示しています。記事を書いた記者は、パートナーと火葬についての冗談を言い合った後に葬儀のパンフレットの広告が出始めたことを例に上げ、「会話を聞かれることになる不安がまったくないわけではない。アプリがそのようなことをしている証拠は一切ないが」と、一抹の不安が見え隠れします。

AIの技術が進化すればするほど、プライバシーに関わる不安がつきまとうのは避けられない事実のようです。

ここ2年ほどの最新情報に疎いChatGPTはたまに間違った答えを出し、ユーザーを驚かせます。ChatGPTはユーザーの履歴情報を利用し、さらに精度を高めているため、同紙は「利用時に絶対に機密情報やプライバシーに関わることは公開してはならない」と警告しています。

「AIの規制は不可欠」CEOが訴え

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アメリカでは5月、もう1つ大きな動きがありました。

16日、CEOのアルトマン氏が米連邦議会の公聴会に初参加し、証言しました。2時間にわたる公聴会で、同氏はAIの利点があるのと同時にリスクも存在することを唱え、リスクを最小限にするために、政府による規制介入は不可欠だとの考えを示しています。

同氏はPhotoshopの加工技術に擬え、「人々は当時、Photoshopの画像(編注:例えばセレブの腰のくびれなど)に騙された」と説明し、AIなど新技術の可能性には常に落とし穴が伴うことを改めて示唆しました。例えば深刻な話で言うと、選挙戦で偽情報を発信するのに利用される可能性があり、民主主義の根幹を揺るがしかねないと多くの政治家や市民に懸念されています。また懸念と言えば、人間から雇用を奪うことになるかもしれない潜在的な危険性についてもAIが誕生して以来ずっと言われていることで、公聴会ではアルトマン氏によって改めて説明されました。

確かに、アメリカでChatGPTが話題になるや否や、特にシリコンバレーをはじめとするIT系の多くの企業幹部やディベロッパー、エンジニア(開発者、技術者)たちは、ある不安と懸念を抱き始めました。それは「AIが自分たちの仕事を奪い取る日がすぐそこにやってきた」という驚異です。

NYのIT系開発者はどう捉えている?

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筆者は、より受ける影響が大きいであろう「生の現場の声」として、ソフトウエア開発を手がける在ニューヨークの某テック企業の代表者に、AIが業界にもたらす「驚異」について聞いてみました。その人は匿名でこのように話していました。

「AIへの取り組みについて考えていないテック系の会社はないでしょう。競合他社や競合のプロダクトがAIを組み込んでくると思うので、当社も投資を早め、自社プロダクトに反映していかないといけないと考えています。手遅れになる前に」

アメリカで誰もが知る某有名IT企業でディベロッパー(開発者)をしているドリュー・Cさんにも話を聞きました。彼は普段、ChatGPTを業務で大活用していると言います。

「経験豊富な先輩に質問するように使っています。例えば実装とアーキテクチャ(基本設計)において、どこを見ればより理解できるかとか、自分の書いたコードに間違いがないかなどを聞いたり…」

ChatGPTの誕生前は、それらの答えを探し出すために膨大な資料を読み込む必要があり、費やしてきた時間や労力は相当なものだったそうです。今はChatGPTのおかげで随分仕事が楽になったと語ります。一方でドリューさんの仕事の分野について、今後数十年間かけて、生成AIなどの技術(量子コンピューティング)など博士レベルの技術者が必要とされるようになるだろうと予想しています。

「多くの仕事がAIに置き換えられていくだろう。特にホワイトカラーの仕事は危機的」と戦々恐々と捉えているようです。AIが奪う仕事の量を凌駕する以上に、新たな仕事が生まれることはないだろうとし、またディベロッパー(開発者)の給与は下がり、職業としての魅力が薄れることが予想されると言います。「ホワイトカラーの仕事は、主にアルゴリズムやAIの監視や調整に変わっていくことになるでしょうね」。

また、これが近い将来に迫っていることを認識している人が(ここアメリカでも)少ないことにも驚いている」。「政府や社会が取り組むべき現実的な問題になると思う」「人が仕事せずに済む未来が来るので、国として社会としてその未来に備えるべきだとしか言えません。例えば、ユニバーサルベーシックインカムの検討など」と話していました。

GPT-4などのツールはいくつかの仕事を完全に自動化し、より優れた仕事を新たに生み出すとされています。

5月16日の公聴会でも、アルトマン氏は進化によりAI技術が一部の仕事にとって代わり、特定の雇用で失業者が出るなどの悪影響の可能性について説明。また著作権の侵害なども含め、さまざまな心配の声が上がっています。議員からは、AIが支配する未来は必ずしも我々が望む未来ではないとし、それらのリスクを上回るようにするために、新しい法整備が必要だという意見が出ました。

ChatGPTは膨大な個人データの収集が個人情報保護の法律に違反する可能性があるとして、イタリアで一時的に使用禁止になるなど、ヨーロッパでは規制強化や禁止を検討する動きも広がっているようです。

世界は、ChatGPTなどのAIが支配する世の中になっていくのか、アメリカでも動向が注目されています。