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えっ、保険金が出ない!?ペット保険、後悔しないための選び方を伝授

そなえる 白浜 仁子

えっ、保険金が出ない!?ペット保険、後悔しないための選び方を伝授

【画像出典元】「FamVeld/Shutterstock.com」

ペットは、家族と同様にかけがえのない存在です。ただ、人間のように健康保険証がないため、病気やケガをしたときの治療費は全額自己負担となり支払額も大きくなります。そのため、ペット専用の保険に入る飼い主さんも多くいます。ここでは、ペットにかかる医療費や後悔しないためのペット保険の選び方について、ポイントを絞って紹介します。

ペットの医療費、どのくらいかかるの?

動物病院で支払った治療費が高かったという声は良く耳にします。では、いったい医療費はどのくらいかかるのでしょうか。「アニコム家庭動物白書2022」では、犬や猫の場合、消化器や皮膚に関する疾患が全体として多いことが記されています。中でも、他の品種に比べ罹りやすい疾患という観点で疾患名や治療費の平均値、中央値などが詳しく紹介されており、興味深いところです。こちらを参考に見ていくことにしましょう。

=他犬種に比べ罹りやすい疾患=

【犬種:トイ・プードル】
1位 糖尿病 平均値:約20.3万円、中央値:約15.9万円
2位 骨折 平均値:約24万円、中央値:約15.2万円
3位 白内障 平均値:約6.5万円、中央値:約1.9万円

【犬種:パグ】
1位 軟口蓋過長症 平均値:約12.1万円、中央値:約9.1万円
2位 肥満細胞腫(皮膚) 平均値:約42.4万円、中央値:約42.4万円
3位 乾性角結膜炎・KCS・ドライアイ 平均値:約2.8万円、中央値:約1.9万円 

=他猫種に比べ罹りやすい疾患=

【猫種:アメリカン・ショートヘアー】
1位 腎結石 平均値:約13.4万円、中央値:約6万円
2位 心筋症 平均値:約8.8万円、中央値:約6万円
3位 潰瘍性角膜炎(角膜びらん含む) 平均値:約3.3万円、中央値:約1.2万円

【猫種:混血猫】
1位 歯周病/歯肉炎(乳歯遺残に起因するもの含む) 平均値:約4.1万円、中央値:約2.5万円
2位 肝酵素上昇(原因不明) 平均値:約3.3万円、中央値:約2万円
3位 肛門嚢(線)炎/肛門某嚢(線)破裂 平均値:約1.7万円、中央値:0.8万円

引用元:アニコム損害保険株式会社「アニコム家庭動物白書2022」より一部抜粋

上記は同白書の一部ですが、猫より犬の方が治療費は高い傾向が読み取れます。犬のパグ「2位肥満細胞腫(皮膚)」では42万円とかなりの高額となり、それ以外の疾患では犬の場合が10~20万円程、猫の場合は5万円前後がひとつの目安になりそうです。

これらは、他の品種に比べて罹りやすい疾患がまとめられたものですので、最も多くかかる疾患という意味ではありません。いずれにしても疾患の種類はペットごとに異なり、費用もそれなりにかかることを想定しておくことが必要です。

ペット保険でトラブルになりやすい例

注意点
【画像出典元】「stock.adobe.com/christianchan」

ペットを飼っている家庭のマネープランでは、エサやワクチン、トリミングの費用といった一般的な飼育費だけでなく、ペット保険を予算として上げるケースが増えてきました。

ペット保険は、疾病やケガのため動物病院で治療を受けるときの費用を補てんしてくれる、いざという時の備えです。しかし、きちんと理解して加入しなければ、後々、保険金が支払われず、後悔することがあるかもしれません。

例えば、ワクチン接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防といった予防を目的とした費用は、そもそも補償対象外です。健康診断やサプリメントの費用も同様。他に勘違いしやすいものとしては、去勢・避妊の手術費用、歯石取り、出産費用などは病気を治療するわけではないため補償されません。

また、補償対象となる治療を受けた場合でも、保険金が支払われないこともあります。それは、保険加入から一定期間設けられている「待機期間中」の治療です。待機期間がないペット保険もありますが、一般に疾病30日、ケガ0日としているところが多く、中には、ガンは120日としている保険もあります。待機期間中に罹った疾患は待期期間が明けてもずっと補償対象外です。

他には、免責金額がついているケースがあげられます。例えば5000円の免責がついている契約の場合は、5000円分の費用は自己負担です。

また、先天性の疾患や既往症があるのに告知が漏れていたといった告知漏れ(告知義務違反)の場合も保険金は支払われません。ペット保険は一般的に1年更新ですので、長期で治療が必要になった場合には、更新されないこともあります。

つまり、ペット保険を選ぶ際には、どのようなときにいくら支払われるのか加入時にしっかりと確認しておく必要があります。

では、具体的にペット保険を選ぶ際のポイントを見ていきましょう。

ペット保険を選ぶ基準と押さえるべきポイント

ペット保険
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ペット保険を選ぶ際は、まず、入院や手術に備えたいのか、通院の費用を賄いたいのかといったことを検討するところから始めましょう。

チェックしたい点は、補償割合や限度額です。一般にペット保険は、50%、70%など補償割合が設定されています。例えば、補償割合70%の保険に加入していて、10万円の治療費がかかった場合の保険金は7万円となり、補償割合が高くなるほど保険料も上がります。また、限度額は日額で上限を設けているタイプ、日額は設けず1年の上限額を設けているタイプなどの違いがあるため、各社の比較は必須です。

他には、免責金額や補償されない疾病の確認も欠かせません。例えば、「椎間板ヘルニア」は補償対象でも、「鼠径ヘルニア」は対象外というように細かい要件があります。事前に、飼っているペットの品種が罹りやすい疾病を調べておくと良いでしょう。

また、保険金の支払いタイミングは、実際の治療を受けた後に精算する後日精算タイプが多いですが、窓口精算ができるタイプもあります。一時的な負担を避けたい場合は、ここもチェックポイントになります。

そして、ペット保険は1年毎の更新が一般的です。年齢を重ねると病気などのリスクが高まるため保険料は値上がりします。将来的に支払っていけそうか、更新後の保険料を確認しておくことも大切です。

高齢のペットの場合は、新規加入年齢も気になるところです。そもそも加入できなかった、ということがないよう注意しましょう。新規加入年齢は10歳、12歳までというように保険会社によって設定されています。いつまで更新できるかも併せて確認しておくと良いでしょう。