もしもYouTuberが亡くなったら、チャンネルの相続ってどうなるの?
こんにちは、相続専門税理士の桑田です。
YouTuberなど、SNSでの発信で収入を得ている方が亡くなった場合、そのチャンネルやアカウントは、相続対象となるのでしょうか?そして、そのチャンネルを相続される方が支払う相続税は、どのように計算されるのでしょうか?
今回は、インフルエンサーが亡くなった場合に生ずる、そのチャンネルから広告収入を得る権利と相続税の関係について解説します。
YouTubeチャンネルから収益を受け取る権利は相続できるか?
「Googleアカウントヘルプ」というサイト内の「死去したユーザーのアカウントに関するリクエストを送信する」というページには、「死去したユーザーのアカウントから資金を取得するためのリクエストを送信する」という項目があります。よって、収益を受け取る権利は相続可能と考えます。ここからは、正式名ではありませんが、収益権という名前を使い解説します。
YouTubeチャンネルの収益権を相続する際の評価額の計算方法
YouTubeチャンネルの収益権をどのように評価するかを考える前に、その収益権がどこに帰属しているか?を確認しましょう。
帰属先として、主に次の3パターンが考えられます。
(1)YouTuber個人
1つ目は収益権を個人で所有しているパターンです。この場合、毎年の収入は、基本的に、個人の事業所得として確定申告で計上しています。このように、個人で所有している場合には、その個人の相続財産に収益権が計上されます。その際の評価方法は以下の「著作権」の評価と同様に行うものと考えます。
年平均印税収入の額×0.5×評価倍率
年平均収入とは、亡くなった年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額です。ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作物に係る亡くなった年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とします。
評価倍率とは、お亡くなりになった後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、著作物に関して精通している方の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とします。
YouTubeの場合、「アドセンス収益」などとなり正確には印税ではありませんが、性質としては同じなので、同様に考えるものと思います。なお、この収益権を相続する人は、遺言等で、YouTuberが亡くなった後の収益権の帰属先が定められていない場合、遺産分割協議でその帰属先を決めることになります。
(2)YouTuber個人の会社で所有
2つ目は、YouTuber自身が株主である非上場の会社で、収益権を所有しているパターンです。この場合、毎期の収入は、その会社の収入として法人税等の申告に含まれます。このように亡くなったYouTuberが株主である非上場の会社で所有している場合には、その株式が相続財産となります。非上場株式は、「原則的評価方式」又は「特例的評価方式」で評価を行います。原則的評価方式の場合、この株式の評価に(1)の方法で計算される収益権の評価額が加味されます。専門的な内容となりますので、必ず税理士にご相談ください。
(3)大手の会社で所有
YouTuberが会社に所属している場合、その収益権は、所属する会社が所有しているケースもあると思います。この場合は、仮にそのYouTuberがその会社の株式を少しでも保有していれば、その株式が相続財産となります。この株式の評価方法は上場しているかどうか等により異なりますので、必ず税理士にご相談くださいね。
まとめ
このように、有名YouTuberが亡くなった場合には、その収益を受け取る権利の評価額がかなり大きくなることが想定されます。
なお、評価額は一般的には、1>2>3の順番で高くなる傾向にあります。生前の収益を現金預金やすぐに換金できる金融資産として残してあれば、納税資金に困ることはないと思いますが、そうでない場合には、想像以上の相続税が生ずる可能性があります。収益が増えてきたYouTuberの方は、1度、収益権(著作権)の帰属の確認と、評価をしてみることをお勧めします!