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米国で一般的に使われているクレカはどれ?やはりポイ活が人気!?

N.Y.発、安部かすみの今気になる最新マネートピック 安部 かすみ(あべかすみ)

米国で一般的に使われているクレカはどれ?やはりポイ活が人気!?

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日本では未だクレジットカードが使えない場所もあるものの、数年前に比べると使える場所が格段に増えており、世界基準のキャッシュレス化が近年ますます進んでいます。今回はクレジットカード大国・アメリカで、どのくらい多くの人がクレカを利用しているのか、またどの企業のカードが主流なのかなど、クレジットカードにまつわる最新情報を深掘りしてご紹介します。

増えるクレカ払いと負債

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米経済誌フォーブスは昨年3月、Credit Card Statistics And Trends 2024(クレジットカードの統計とトレンド2024年版)という記事を発表しました。この記事によると、アメリカでは約73%の人々が25歳までにクレジットカードを持ち、成人の84%がクレカを利用するということです(数字はすべて2021年時点)。

また平均すると所持するカードは3種類とのこと。約1億9100万人の成人が少なくとも1枚を持っていて、5枚以上のカードを持っているのはわずか13%の人々だそうです。

所持枚数は世代によっても異なります。Z世代(大体12~27歳あたり、以下同)は平均1.9枚のカードを持っているのに対し、ミレニアル世代(28 ~ 43歳)は3.18枚、ベビーブーマー世代(60~78歳)は4.61枚を持っています。つまり年齢が上がれば所持する枚数も増えていくようです(2020年時点)。

サンフランシスコのFRB(米連邦準備制度理事会)の調査報告も交えた情報によると、アメリカ国内では買い物などすべての支払いの場でクレジットカードが使用されたのは28%止まりとのことです(2021年時点)。つまり大半はクレカ払いではないことが示されましたが、これは2016年の調査開始以来の最高水準であり、現金やそのほかの支払い方法と比較してクレカ利用が拡大していることが示されました。 

クレカが容易に使える場はますます増えていて、例えばニューヨークでは近年、MTA(ニューヨーク市地下鉄)の改札口の端末に当てるだけで簡単に使えるようになりました。メトロカード(これまで主流だった黄色のカード)を買わなくてもクレカを改札口の読み取り部にICカードのようにタッチするだけで自動的に精算されるためとても便利です。このようにクレカ利用がより「簡単に」できるシーンが確実に増えています。

クレジットカードの利用者数は、収入が高く高学歴な世帯ほど増えます。アメリカではクレジットカードを持っている人は支払い能力がある人と見なされ、信用度が高くなるので当然でしょう。負債を抱えることなく着実にクレカ払いをし続けることでクレジットヒストリー(クレジットカードやローンなどの利用履歴)が良くなり、将来家を購入したりビジネスをする際に銀行からローンがしやすくなるのです。

フォーブスによる銀行口座を持つ消費者を対象とした2023年12月の調査報告によると、具体的には収入が10万ドル(約1500万円)から14万9999ドル(約2300万円)の世帯では37%、15万ドル(約2300万円)以上の世帯では50%がクレカをよく利用するということ。現金払いをした人は年収関係なく消費者全体のわずか9%でした。またクレカをよく利用する人種はアジア系が一番多く、その次に白人が多いようです(2023年2月時点)。

一方でアメリカではクレジットカード負債が増えているのも事実です。2022年第3四半期の時点で、1人あたりのクレカ負債の平均額は5474ドル(約83万円)で、これはその前年より約617ドル(約9万3000円)増加した数でした。この増加はインフレと関連する可能性が指摘されており、新規債務の総額はその第3四半期だけで最大380億ドル(約5兆7500万円)にも上りました。

アメリカで使われているクレカは?

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アメリカで主流のカード会社はVisa、Mastercard、 American Express、Discoverなどですが、この中でもっとも一般的に使われているのはVisaということです。Visaは流通しているカードの中で半分以上(52.8%)を占め、Mastercardは31.6%、アメックスとディスカバーは一桁台ということがわかっています。

日本の国際クレジットカード、JCBを受け付ける店はアメリカ国内にもありますが、前述の主流カードに比べると使える場所は限られています。

日本では年会費がかかるカードもありますし、JCBや三井住友カードなど大手のカードでも年会費無料のものもあります。アメリカも同様に、年会費が無料のものもあれば有料のものもあります。

アメリカの特徴として、クレカ以上にデビットカード(利用と同時に銀行口座から利用額が引き落とされる決済方法)の利用が多いのが一つの特徴です。

治安面からたくさんの現金を持ち歩くことがそれほど多くないアメリカにおいて、デビットカードを使うもう一つの利点は、気軽にキャッシュバックが受けられるということです。

いくらキャッシュレス化が進んでいても、ちょっとした場面で少額の現金が急に必要になったりすることがあります。そんな時にわざわざ銀行やATMに行って現金を引き落とさなくても、店でガムやキャンディなど数ドル程度のものをデビットカードで購入し、例えば「20ドルのキャッシュバックが欲しい」と言えば、デビットカードを利用した後に少額の現金(この場合は20ドル)を手数料なしでゲットできるのです。

そしてこの場合、買い物の金額と現金で受け取った金額が合わせて口座から即引き落としされます。(キャッシュバックは店のポリシーによって異なる)。

ただデビットカードと比較して、クレジットカードはメンバーシップ特典を獲得できるオプションが用意されているのが魅力的です。例えば日本でも人気の「ポイ活」。貯まったポイントはお金に換算したりアマゾンでの買い物などに使ったりできます。

また小売店はさまざまな提携クレカを作っていて、客がその提携クレカを利用してその店で支払いをするとさらなる割引の対象になったりすることも。よって筆者も普段の生活での買い物の際に、店側から「新たに(提携)クレカを作りませんか?もっと割引の対象になりますよ」と勧誘されることもしょっちゅうです。

最近では家賃払いでポイ活(Bilt Rewards)ができるクレジットカード「Bilt Mastercard」(ウェルズ・ファーゴ発行)も一部で話題になっているようです。

クレカのサーチャージ(追加料金)で今後利用者減る?

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クレジットカード会社が企業や店舗に請求する金額(手数料)が上がっていることから、アメリカでは企業や店舗がその分を客に対してサーチャージ(追加料金)として求める動きがあります。例えばレストランでの飲食の支払いに、現金払いの時にはない追加手数料がクレカ払いの時にはつくケースが増えているのです。

よってニューヨーク州では今年2月11日より新しい法律が施行されました。消費者保護の観点から州内の企業に対し、消費者がクレジットカードで購入する際に総額がいくらになるのか、支払い前に確認できるように、「追加料金も含む総額を明確に表示」することが義務付けられたのです。例えばレジ周りや商品の値札に「10ドル。クレジットカードで支払う場合は+4%」などとわかりやすく明示されていなければなりません。

このクレカのサーチャージ(追加料金)を客に求める動きはニューヨークなど一部の州で広がっており、逆に一部の州(コネチカット州、メイン州、マサチューセッツ州など)では禁じられています。このような理由からサーチャージを客に求める一部の州の小売店では「2種類の価格表」が存在することになり、少しでも安く物を購入したい人にとっては今後クレカ離れが進んでいくことも考えられます。