投資詐欺は高齢者だけではなく若い世代にも。その最新の手口とは?
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SNSによく出てくる投資広告、悲しいことにほとんどが詐欺です
みなさんが日常的に使っているSNS、X(旧Twitter)、Facebook、Instagramなど、あるいは動画配信サービスのYouTube、こうしたサービスのほとんどは無料ですが、広告収入により運営資金がまかなわれています。
この広告、役立つ情報であることもあれば、困った情報も混在していることがあります。特に問題なのは投資詐欺の広告がしばしば現れることです。
全世界どこからでも、誰でも広告発信できる素晴らしい仕組みであるはずが、悪意のある活用をされて詐欺の温床となってしまいました。みなさんも有名な投資家、経済評論家や実在の証券会社が表示される広告を見たことはないでしょうか。
「特別に儲かる銘柄を教えます」とか「登録すれば無料の情報をあなただけに」のような形でクリックを誘導します。画像は公式データ等を加工しているので区別がつきません。
中にはきちんとした金融機関の広告も実は存在するのですが、現状ではこうした投資広告のほとんどが詐欺となっています。最近ようやく、詐欺広告は減ってきたようですが、まだゼロというわけではありません。
騙されて何億円も払った被害者の例がニュースで明らかに
先日、ニュースで実際に高額被害にあった実例が細かく紹介され話題となりました。これによると
・広告をクリックさせたのちLINEグループの登録を促す。
↓
・偽の投資アプリをインストールさせる。
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・架空の売買をアドバイスし、儲けが出たかのようにみせかける。
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・出金を希望すると、入金を求める。税金の負担が必要だと説明をして入金を求めることもある。
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・何度か入金を繰り返すうちに、音信不通となる。
というような流れで投資詐欺が行われているようです。
類似の報道がいくつか見受けられることから、詐欺の手口は同種のものであるようです。
「無料で」「あなただけに」「必ず上がる銘柄を教える」なんてことはありません
この時、とにかく覚えておいてほしいのは、
「無料で」
「あなただけに」
「必ず値上がりする」
このような形で投資情報や銘柄を教えることは絶対にない、ということです。仮に確率の高い情報があったとしてもそれは絶対ではありません。また基本的に無料ではありません。あなただけに提供するわけがなく、コピペして大量に配っている情報に決まっています。
また、未入金であるのに売買の利益が出る、というのもおかしな流れですから注意しましょう。最初の売買のための資金は誰が負担しているのでしょうか?実在していない取引のウソの儲けですから、そういうウソも成り立つわけです。
ウソの利益を出金するために、入金をしなければならないということはつまり……入金したお金は戻ってこないということです。
被害にあうのは高齢者だけはない。あなたもご注意を!
さて、こうした投資詐欺の話を聞くと、高齢者が騙される話題のように感じるかもしれません。なんとなく他人事と思ってしまいます。
しかし、消費者庁の資料によれば、利殖勧誘事犯(投資詐欺等)の被害相談の4人に1人は30歳未満だそうです。若い世代も実はターゲットとなっています。
若い人をターゲットとした投資詐欺は昔からありました。大学の食堂などで投資勧誘を行う例などです。しかし近年はネットを通じたケースも増えてきているといわれています。
マッチングアプリを悪用する例もあったり、近年話題となっている暗号資産を提案してきたり、ネットとリアルを上手に使い分けたりと、詐欺の手法も益々巧妙化しているそう。
「自分は引っかかるはずがない」と思う油断こそ、詐欺師が突いてくるポイントです。
それでは、こうした詐欺についてのセミナーで講師をする時、私が必ず伝える言葉を最後に紹介して今回のコラムを終わらせたいと思います。
「安易に『いいかも!』と思ったら、
あなたは詐欺師の『いいカモ』です!」
略して、
「いいかも!と思ったらいいカモ!」
うまい話がやってきた時は、冷静に3回この言葉を繰り返してみてください。詐欺にはくれぐれも気をつけてください。