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リノベーションの専門家が解体寸前のビルを大改造!! その結果は?

5000万円でかなうコト 松山 真介

リノベーションの専門家が解体寸前のビルを大改造!! その結果は?

目次

福岡を拠点にリノベーションを手がける松山真介さん。これまで、住まいに関するさまざまな情報を教えてもらいました。実は松山さんの事務所も、築50年のビルをリノベーションしたものなんだそう。リノベーションの専門家が手掛けた自社ビル、さて、どんな姿に変わったのでしょうか?

解体寸前だった? 築50年のビルを選んだわけ

松山さんの事務所が入る“BLDG64(ビルヂング ロクヨン)”は、地下鉄大濠公園駅から徒歩3分という便利な場所ながら、まだ戸建ても多く残る地区にあります。

もともとは1964年に建てられた4階建てのアパートでしたが、長年使われないままに。「中古ビル付き土地」として売りに出されていました。つまり、ビルは解体前提だったのです。
下の写真がリノベーション前のビル。

リノベーション前の外観

出典元:株式会社アポロ計画

どうしてこのビルを購入することに決めたのでしょうか。

「まず、大濠公園に近くて、エリアとして魅力がありました。ビルを調査してみると、コンクリートの状態も悪くないし、耐震性能も心配ない。これなら使えるだろうと判断しました」と、松山さん。

2010年秋に物件を取得し、約3カ月かけてリノベーション。こちらが完成後の写真です。古さと新しさが同居する個性的なビルに生まれ変わりました。リノベーションにかかった費用は、約5000万円だそうです。

 

出典元:株式会社アポロ計画

常にテナントは満室。付加価値を生む仕掛け 

2階多目的スペース

 

BLDG64は、2階をギャラリー兼多目的スペース、3階を松山さんの会社のワークスペースにして、1階と4階にテナントを入れるというのが、当初の計画でした。上の写真は2階のギャラリーです。

ここで、松山さんは4階に入ってもらう3つのテナントに、ある条件をつけました。それはクリエイティブワーカーであること。

「ただ家賃が入ればいいというのではなく、テナントの方々にどんなメリットを提供できるかを考えたのです。我々と同じような業種の方が入ってくれれば、相乗効果が生まれるのではと考えました」

現在、入居しているのは、デザイン関係、まちづくり、中小企業診断士といった仕事をしている方々。大きなプロジェクトの時は仕事をシェアしたり、共同でコンペに出したりしているそうです。テナントとしては広いスペースではないので、会社の規模が大きくなり、ここから巣立って行った人も多いとのこと。

「そういう意味では、ちょっとしたインキュベーション施設とも言えるかもしれませんね」と、松山さん。旅立つ人がいれば、すぐに引き合いがあり、テナントは常に満室状態だそうです。

こちらが、4階のテナントの一室。デザイン会社が入っています。

4階テナント

 

4階テナント

 

入居者している方は、「入居者同士のつながりがあるのがいいですね。仕事の相談にも乗ってもらえます。SNSでオフィスの様子をアップすると、行ってみたいと、たくさん反響がありますよ」と、話してくれました。

屋上庭園が入居者の交流の場に

もう1つ、松山さんが考えた仕掛けは、屋上庭園をつくること。4階はエレベーターのない最上階。一般的には、家賃を割安にしないと入居者が来ないというネガティブなイメージもあります。そこで、屋上庭園を作ることによって、むしろ最上階は「フリースペースが付いているいちばんいいフロア」と読み替えたのだそう。

屋上リノベーション前

出典元:株式会社アポロ計画

屋上リノベーション後

出典元:株式会社アポロ計画

上の写真がリノベーション前で、下がリノベーション後。毎年、大濠公園の花火大会の日は、社のスタッフや入居者、その家族も招いてバーベキューパーティーを開くそうですよ。

時代に合わせて、アップデートしていくオフィスビル

昨年、1階のテナントにフレンチレストランが入りました。これで、当初考えた構想が形になったと松山さんは話します。

「1階は街に開かれたエリアですから、そこにどんなテナントを入れるかというのが、街に対しての僕らの意思表示だと考えました。ですから、すごく慎重に選びましたね」

これからBLDG64はどのように変わっていくのでしょうか。

シェアオフィス

 

「3階をシェアオフィスにできないかと考えています」。現在も上の写真のように、3階の一部はデスクレンタルをしていますが、もっと拡充していきたいとのこと。その理由を松山さんはこう話してくれました。

「今、働き方が変わってきていて、シェアオフィスも、単に場所を借りるのではなく、そこのコミュニティに参加するという意味合いの方が強くなってきています。ここもそうした働き方に対応した場にしたいと考えています。僕ら自身も、クリエイティビティをもっと研ぎ澄ませていくためには、周りにクリエイターがたくさんいる方が、いい仕事ができるはずですから」


最後に松山さんはこんな話もしてくれました。「土地利用効率だけを考えたら、駐車場やワンルームマンションにした方がいいでしょう。でも街の未来や入居者の幸せを考えたら、こんな個性のあるビルが何軒かに1軒あってもいいのかな」。BLDG64の存在が街に新たな魅力を生みだしています。

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