世界遺産候補の教会巡りに行こう!その前に知っておくべき「ルールとマナー」
旅行の秋。世界遺産登録を間近に控える長崎・天草のカトリック教会巡りに出かけませんか? 教会の美しくロマンチックなたたずまいを鑑賞し、キリシタン殉教の歴史に思いを馳せる一日。目にも心に響くスペシャルな時間が過ごせますよ。教会見学に必要な準備やマナー、ルールなど、知っておくと役立つ情報を紹介します。
世界遺産候補の教会巡りは事前連絡から
長崎の教会といえば、大浦天主堂というイメージがありますね。現存する日本最古の教会として知られる大浦天主堂は、信仰を捨てずに処刑された二十六聖人に捧げるため、1864年に作られました。
教会が公開されてひと月後、浦上に住む隠れキリシタンが訪れて信仰を告白。この出来事は「信徒発見の奇跡」として世界中に伝わりました。天主堂の入口に立つ「日本之聖母像」は、信徒発見を記念してフランスから贈られたものです。以降、長崎県内の平戸や五島、熊本県の天草地方などで、隠れキリシタンの集落が見出され、つぎつぎに教会が建てられました。
現在、こういった集落は、教会を含め世界遺産の登録候補となっています。大浦天主堂以外で候補となっている教会は、長崎市の出津教会堂・大野教会堂、佐世保市の黒島天主堂、新上五島町の頭ヶ島天主堂、五島市の旧五輪教会堂・江上天主堂、北松浦郡の旧野首教会、熊本県天草市の﨑津教会です。
大浦天主堂は一般公開されていますが、ほかの教会は中に入れないことも。内部見学したいなら、あらかじめ「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター」に事前連絡してみましょう。平戸市の田平天主堂は候補からは外れていますが、こちらも同じところに事前連絡をすると見学できますよ。WEBなら3日前までに連絡すればOKです。
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター
教会は祈りの場。聖堂内では雰囲気を壊さないことがマナー
SNS映えする教会を見ると、つい、はしゃいで騒いだり、写真を撮りたくなったりしますね。でも、これはマナー違反。教会はあくまで信者さんたちの大切な祈りの場です。その雰囲気を壊さないように、敬意を持って振舞いましょう。聖堂内を見学するときのマナーをまとめます。
1)当日はカジュアルな服装で大丈夫です。肌の露出は控えて。肩が出ている服はストールを羽織るなどで対処しましょう。男性も足が見える短パンなどの服装は慎しんでくださいね。
2)聖堂内は写真撮影禁止です。携帯電話の音も周囲に響いてうるさいもの。中に入る前に電源を切っておくと安心です。
3)中央正面のドアは主に儀式時に使います。脱帽して中央以外の扉から静かに入堂しましょう。
4)飲食や喫煙はもちろんのこと、大声をあげたり、ドタバタするのもNG。静かに椅子に座って、厳粛な雰囲気を感じとってみてください。
5)教会のトイレは基本的に信者さんのための施設。見学に訪れるたくさんの人が使うと迷惑をかけます。なるべく自粛するのがマナーです。
6)満ち足りた時間が過ごせたお礼の気持ちを表すなら、設置してある献金箱に寄付を。献金は、清掃等の維持管理に使われています。
立ち入り禁止場所など、教会ならではのルールも覚えておこう
そのほかにも、教会ならではのルールがあります。いちばん覚えておきたいのは、教会内には聖職者しか入れない場所があることです。教会堂正面奥の一段高くなったところは「内陣」といって、毎朝、ミサが行われるところ。聖職者以外の立入りは許されません。
また、教会には儀式に使う道具や装飾品など珍しい品がたくさんあり、いすに聖書などが置かれていることも。こういった品物は、特別な祭式用具だったり、信者さんの個人的な持ち物だったりします。触らないように気をつけて。
教会の入口付近には、陶器や石、貝などで作られた水入れがあります。これは聖水盤といって、信者さんが指を濡らして十字を切り、心を清めるためのもの。手を入れたり汚したりしないようにしましょう。
朝のミサは信者でなければ参加ができない教会もあります。参加が許されたとしても、ミサの中でおこなわれる聖体拝領(小さな白いパンを神父様から受ける儀式)は、信者さんだけに限られていますから、着席したままで静かに見守ってくださいね。
いかがでしたか? 教会は、長い歳月、たくさんの人々の思いや愛が神への祈りとなって込められてきた神聖な場所です。ほかの宗教を信じている人、無宗教の人にとっても、心の平安や癒しを得る機会になるかも。特別な一日にしてくださいね。