街中でホッと一息。憩いの日本庭園に行こう!
日本の四季折々の美しい自然の営みを楽しめる日本庭園。春には桜、夏は青々とした緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、まるで絵画のように訪れるたびに新しい風景と出会うことができます。
ビルが立ち並ぶ福岡の街中にも、閑静な日本庭園がいくつかあります。なかなか遠出できない慌ただしい年末、身近な場所で日本庭園を眺め、心を落ち着けてみませんか。
黒田家の別荘 友泉亭公園に行こう!
天神から車で20分、地下鉄六本松駅から徒歩15分程度のところにある友泉亭公園(入園料:200円)。街中にありながら、中に入ると小鳥のさえずりや木々の葉がなんとも落ち着いた気分にさせてくれます。
こちらの友泉亭は、福岡藩6代藩主の別邸として江戸時代中期に池泉回遊式の日本庭園としてつくられました。礎石や灯篭、ツバキやキンモクセイ、マキの木などは当時のままなのだそうで、樹齢300年というキンモクセイはぜひ見ておきたいもののひとつ。
みどころは、何と言っても明治初期に作られた数寄屋づくりの大広間から眺める風景です。その眺めは訪れるたびに表情を変え、いつ訪れても静謐な落ち着きに満ちています。今なら名残の紅葉と、池を泳ぐ錦鯉のコントラストがなんとも艶やかな美しさ。
園内では、お抹茶サービス(干菓子付300円)や黒田家初代の名前を冠する「官兵衛どら焼きセット」、冬季限定の「ぜんざいセット」(400円)などを味わうことができます。やわらかいお餅入りのぜんざいは、身も心も温まる美味しさ! ぜひ、味わいたいものです。
福岡市内にはほかにも! ホッと心が安らぐ日本庭園
JR博多駅から徒歩約12分、住吉神社から徒歩約1分のという街の真ん中にもステキな日本庭園があります。その名も「楽水園」(入園料:100円)。
こちらは、明治期の博多商人によってつくられた典型的な池泉回遊式の日本庭園で、そのコンパクトなサイズといい、まさに都会のオアシスといった風情です。柳橋連合市場にも近いので、年末のお買い物のついでに立ち寄ることもできますね。こちらの茶室でも、季節のお菓子とお抹茶(300円)をいただけますよ。
また、知ってはいても立ち寄ったことがない、という人が多いのが大濠公園日本庭園(入園料:240円)。こちらは昭和59年に開園した新しい庭園ですが、日本庭園の3つのタイプ、池泉庭園、枯山水、露地とすべてそろっているのが特徴。意外に広くて、まさに市民の憩いの場という表現がピッタリ! すぐ近くに大通りがあるとは思えない、静寂な時間が流れています。
もうひとつ、薬院大通駅から徒歩約10分のところに、平成19年度に開園した「松風園」もあります(入園料:100円)。こちらはもともとは個人の邸宅の一部で、昭和初期に建てられた茶室を中心に、野点広場や露地など和の趣きあふれる庭園が広がっています。心を落ち着けたいときに立ち寄ってみては。
知っておくとより楽しい! 日本庭園の様式
日本庭園の魅力は、小川や池、木々や石といった自然の美しさにあります。ただ、あるがままの自然とは異なり、自然本来の美に人の手を加えることで、より芸術的な魅力も感じさせてくれます。
ところで、日本庭園を観に行くと必ず「○○式庭園」というふうに書いてありますね。これは庭園の種類のことなんです。日本庭園にはさまざまな種類がありますが、主なものは「枯山水」「池泉庭園」「露地」の3つです。
「枯山水」はご存知の通り、白砂や岩、木だけを使ったシンプルなつくりのもの。「池泉庭園」はよくある池や小川を配した水のある庭園です。「露地」は茶室のそばに作られた侘び寂びを大切にした茶庭のこと。
福岡にある日本庭園は、池を配する「池泉庭園」が多いようです。「池泉庭園」では、池は海や川を、岩は島を表すことが多く、「この庭は何を表そうとしているのかな・・・」と考えるのも日本庭園を眺める楽しみだといえます。
日本庭園はよく「一幅の絵」、「小さな宇宙」というふうに表現されます。園内で庭園を眺めていると、何とも言えない静かな気持ちになっていきます。
せわしないこの季節だからこそ、街中の日本庭園で静かで豊かな時間を過ごしてみてくださいね。