くらし

子育て後の趣味が高じて、ヨガ教室を! 望めば「チャンス」はやってくる?

"好き”で稼ぐ

まるで隠れ家のように、ひっそりと住宅地の中にある「草香江ヨガ」。天神や博多にもたくさんのヨガスタジオがある中、決してアクセスのよい場所ではないにもかかわらず、予約がなかなかとれないほど人気の、知る人ぞ知るヨガ教室です。

その魅力を知るため、オーナーであり、ヨガインストラクターでもある立山さんを訪ねてきました。

久しぶりの自分の時間を楽しみたい! ダイエットを兼ねて趣味で始めたヨガ

とても柔らかな雰囲気と、落ち着いたトーンの声が印象的な立山さん。ヨガ歴は12年で、始めたきっかけは下のお子さんが小学校にあがり、自分の自由な時間が持てるようになったからだそう。

「運動不足解消と、痩せたかったから。何かと比較したわけでもなく、なぜか迷わずヨガを選びました。でも、今思い返してみると、子どもの頃お小遣いを貯めてヨガの本を買って、家で“ラクダのポーズ”とかをやっていたので、なんだか面白いと思っていたのかも」と笑います。

立山さんはヨガスタジオに行きはじめてその魅力にはまり、最初の2~3年は、ほぼ毎日朝ヨガに通っていました。そのうちオーナーから「インストラクターをやってみない?」と声をかけられ、教える側のキャリアがスタート。今もそちらのヨガスタジオには、週1回ティーチングに通っています。

アシュタンガヨガポーズ図

スタジオで教えていた、ダイナミックな動きのアシュタンガヨガとは違うものもやってみたいと思い始めた頃、別のヨガスタジオのオープンを機に、立山さんはその運営に携わることになります。

運営を学び、流れに乗って自分のヨガスタジオをオープン

「運営のなんて初めてだったので何の知識もありません。オーナーが、ヨガの運営は全て任せるから好きにやっていいよ、と言ってくださったので、知り合いの先生12人に声をかけてスケジュールを組みました」

初めての運営は、さぞかし大変だったのでは?と思いますが、立山さんは「自分一人で見ていたわけではないので」とサラリ。先生方のアイディアをまとめる、生徒さんの様子を見る、事務にお金の流れを確認するなど、さまざまな仕事に携わることになりました。

この時の経験は、現在の教室を始める際にとても役に立ったといいます。「辞めた後、しばらくゆっくりするつもりでしたが、生徒さんからまた教えてほしいという声をいただいて。以前大きなスタジオで教えていた経験から、自分がやるならこじんまりやりたいと思って、マンションの一室からスタートしました」

住宅街にとけ込んだ草香江ヨガ教室

ところが、すぐに口コミで生徒さんが増え、あっという間に手狭な状態に。もう少し広い場所を探そうか・・・と思っているときに、今の物件に巡り合い直ちに契約。前のスタジオを辞めてわずか半年ほどで、現在の「草香江ヨガ」をスタートさせたのです。

タイミングと人脈に恵まれて、こだわりの「心地よい空間」が完成

ブログより

もともとゆっくり物件を探す予定だったため、開業資金として貯めていたものはなく、手元にあったのは100万円弱。そんなとき知人から教えてもらったのが、日本政策金融公庫の融資です。政府100%出資の政策金融機関で、低金利に加え、女性の起業支援にも取り組んでいます。同時期に開業した別の友人も融資を受けたと聞き、150万円ほど借入を行いました。

資金を基に、物件を改装。床を天然木に張り替え、照明器具を換えるなど、居心地のよい空間づくりにこだわりました。でも、知人の内装業者の方にお願いしたり、自分たちで壁の塗り替えを行ったりといった工夫を重ねて金額を抑え、トータル100万円弱という破格で仕上げてもらったそうです。

お洒落さと素朴さが同居した季節のオブジェ

初期費用はなるべく抑えるように工夫しましたが、日々の教室にかかる経費は惜しまないようにしています。季節のお花を絶やさず、大好きな作家さんの作品があちらこちらに顔を覗かせるこの教室には、「人生の中の大切な時間を過ごすのだから、いい空間にしたい」という立山さんの想いがあふれています。

生徒さんもこの雰囲気を気に入っていて、小学生の男の子から60代の方まで、年齢や男女を問わず、幅広い層の方が通って来ます。

一人ひとりに合わせた細やかな心配りとアットホームな雰囲気で、リピーターが続出

教室のスケジュール表

1クラスの定員は10名。生徒さん一人ひとりとしっかり向き合うことができるので、自分もティーチングしやすく、他の先生にも好評です。生徒さんの反応もよく、少人数でアットホームな雰囲気が教室の安心感や信頼につながっているのではないか、とのこと。

もう一つの特徴は、多くのヨガの基本であるハタヨガをはじめ、リストラティブヨガ、呼吸と瞑想などさまざまなヨガが楽しめること。初めはやさしい内容のクラスだけでしたが、クラスがたくさんあったほうが毎日楽しめて、より細かいアプローチもできると考えるにいたり、クラスの数がますます増えていきました。

また、草香江ヨガでは体験レッスンに来た方のリピート率がとても高いとか。レッスンはチケット制(5回分1万円/11回分2万円)とマンスリーフリー(1ヵ月1万円/1万2000円で月何回でもOK)があり、現在は通常のチケットを約50名、フリーパスを約30名の方が利用されています。その他、学割やマット使用無料、年会費・入会金なしなど、嬉しいサービスもあるそうですよ。

さらに口コミで人気が広がり、予約がなかなかとれないほどに!

「ポーズができることが目的ではなく、ヨガは自分の中を見つめる作業の一環なんです」と話す立山さん。真摯にヨガと向き合う姿勢と、生徒さんのための細やかな心配りのバランスが、「草香江ヨガ」の魅力のひとつかもしれません。ご近所の方はもちろん、大野城や春日、久留米などからわざわざ通ってくる生徒さんが多いというのも頷けます。

特別な広告などは行っていませんが、口コミやSNSなどで続々と生徒さんが増え、さらに予約が取りづらい状況に。そんなとき、現在オープン準備中である六本松の物件に巡り合ったのです。

「実は、生徒さんがたくさん来てくださったおかげで、オープン以来ずっと黒字経営です。ある程度預金もできたので、借入を一部でも先に返しておこうと借入先に連絡したら、先々何があるか分からないから急いで返さなくていいですよ、と言われたんです。その後六本松の物件がすぐに見つかって。結局そのお金をスライドさせたので、今回借入を増やさずに物件を借りることができました」と話す立山さん。

こうして、2018年4月1日に「草香江ヨガ」の2つ目の教室がオープンすることになりました。オープン後わずか1年! なんとすごい、立山さんの引き寄せ力! 目の前に来たらパッと決めてしまうタイプなのだそうで、その瞬発力と直感力が、チャンスを逃さない秘訣なのかもしれません。

 最前線で頑張る人にこそ、ヨガに触れてほしい

大濠公園で行う野外ヨガ

新しい教室では、シニアの方やハンデのある方にも取り組みやすいイスや壁を使ったヨガのクラスや、インストラクター養成講座から送り出した生徒さんたちが、今までの復習に加え、産後ヨガなどの新しい学びができるコースなど、今とは少し違った内容も取り入れたいのだとか。

ナチュラルな雰囲気が気持ちをホッと和らげる

また、立山さんは、「今最前線で頑張っている方にこそ、ヨガをやってみてほしい」と話します。「ゆっくり静かに呼吸をすると、自分の中のスペースも広がって、心にも余裕ができると思うんです」

ショックで息を飲む、イライラして呼吸が荒くなる、落ち込んで溜息をつく・・・と、確かに呼吸は精神状態に深く関わっているのかも。終始ニコニコと穏やかに話される立山さんの「草香江ヨガ」なら、リラックスできて心の余裕も生まれそうです。新しい教室も、きっと素敵な空間に違いありません! オープンが楽しみですね。

草香江ヨガ