どこに行こうか迷うと、とりあえず「天神」で待ち合わせしてしまいます。居酒屋での「とりあえずビール」と同じノリで、結局は天神界隈の店に行くことになってちょっとマンネリ気味なんです。そこで今回は、グルメの賢人・弓削さんに、待ち合わせて行きたくなる新たなグルメエリアを教えていただきます。どんなエリアが登場するのか、すっごい楽しみ！！

Q1　”グルメ都市”としての評価も高まってきた福岡で、弓削さんが今、最も気になるエリアは？

A1　大好きだった大人の街、西中洲が徐々に独自の色を失って久しく、西中洲ファンだった私としてはここ10年ほどは残念な思いをしながらこの街を眺めていました。ところが昨年あたりから、この街に新たな風が吹き始めました。30代くらいの若手実力派が続々とこの街に入ってきたのです。

まず昨年、六本松でなかなか予約が取れない中華料理店として評判だった「凛丹」が２号店を出店。また料亭「きくしげ」があった土地には新しいビルが建ち、以前「オーグードゥジュール メルヴェイユ博多」（アミュプラザ博多）のシェフだった白水さんが4月にフレンチ「ローブランシュ」を開業しました。さらに、薬院で人気を博していた和食の「周」が名前を「ながおか」に変えて8月に移転オープン。また、7月にはフランスでも修業経験のある有馬シェフが「アレナ」、平尾で熟成肉のグリル「ブッチャー」をやっていた満生（みついき）さんが「ブッチャー」を売却して新たにビストロ「マーキュリー」を始めました。

あまり物件がふんだんにある街ではないので、急速に変化していくわけではないでしょうが、そんな店の出現もあり、10年後の西中洲がどんな街になっているのかとても楽しみです。

Q2　長崎や横浜の中華街のように、何かのジャンルが集まっているエリアはありますか？

A2　警固から浄水にかけてイタリアン、それもトラットリアではなくリストランテ的な店が10軒くらいあったのはもう10年以上前のことですが、実は今このエリアにはなぜか寿司店が集中してきています。これもここ3年くらいの動きでしょうか。

2013年赤坂に東京で修業した名店「鮨さかい」ができ、今や何カ月も先まで予約が埋まっているような状況です。2014年にはけやき通り沿いに「石ばし」、2015年には「鮨 木島」「鮨巳之七（みのしち）」、そして浄水通り近くに「鮨かず矢」「鮨 おかだ」ができました。

もちろん以前からあった福岡でも有数の人気店「近松」もこのエリアですし、浄水通りにも「八郎寿司」や「鮨 銀杏」があります。その他に大衆的な店などがいくつもあり、本当にこのエリアには寿司店が集中しているんです。

Q3　福岡でちょっと意外な、穴場的なグルメエリアなんてありますか？

A3　中央区港は住宅街というか倉庫街というか、商業エリアという感じではないのに、実はいい店がいくつもあってなかなか楽しい街です。長浜の屋台街と西公園の間に位置し、店によっては潮の匂いを感じたり、荒津大橋が間近にみえたりして、街中とはあきらかに雰囲気が違います。そんなエリアですから天神や博多駅からアクセスがいいとは言えません。天神から地下鉄で大濠公園駅まで行って歩くか、タクシーに分乗して行くのがいいと思います。

どんな店があるかといえば、有名なのは海鮮居酒屋の「トクトク」や「港二丁目まるごと海」ですね。ここは豪快に地元の魚介を食べ尽くすっていう感じの店で、東京の人などを連れて行くと喜ばれます。魚でいえば「おのころ五合（はんじょう）」もマストです。長崎の生月から届く新鮮な魚を確かな技術で調理してくれます。魚だけでなく肉や野菜などいろいろありますから、どんなメンバーでも満足すること請け合いです。その他、台湾料理の「亜州界世」も安くておいしいですよ。台湾人の人にも評判がいいらしいいので、本国の味に近いんでしょうね、きっと。

2軒目には海の目の前のスペインバル「プルポ」、「バー・ハイタイド」なんかがよいかと思います。その他にもいろいろなジャンルのお店がありますから探してみてくださいね。

西中洲、キタ～！！大人の街に新風をもたらす店が続々オープンという情報に胸ワクワクです。さらにこれからは、お寿司が食べたいときは警固、魚介を食べたいときは港と、エリアを選んで待ち合わせもできそう。県外からのお客様には港が受けそうだし、ぜひ下調べに行かなくちゃ！