くらし

作り手と繋ぎ手のつくる、ハイコンセプトな『実験室』。

長原 大智/chr.dch

 作り手と繋ぎ手のつくる、ハイコンセプトな『実験室』。

監修・ライター

Local rad things@FUKUOKAでは、
福岡ならではのイマの感覚・価値観を感じられる「ヒト・モノ・コト・トキ」に焦点を当て、福岡でぜひ体験してほしいコンテンツを紹介していきます。

-三瀬の先に見える、川辺の景色「RITMUS(リトモス)」-

福岡から、佐賀の県境「三瀬峠」に車を走らせること1時間ほど。峠を抜けると川合いに佐賀名物の白玉団子屋さんが点在する川上峡がある。川沿いに何気なく佇む一軒家に、一灯のポーチライトが光る場所。ここが『RITMUS』だ。

扉を引くと、外観のコンクリートの無気質なイメージから一転、土間から小上がりへと続く、純和風な作りの店舗スペースに、全国から選りすぐられたハイコンセプトな作家ものの器や生活ツールがずらりと並ぶ、ギャラリー空間が広がる。

オーナーの北島志彦さんと恵美さん夫妻が営む空間では、作家ものの器を中心に、オブジェや布、フレグランスアイテム、服飾雑貨など暮らしを楽しむ道具がセレクトされている。

元々、故郷である佐賀を離れ東京でバッグブランドを展開していた志彦さんと、大阪出身で器が趣味の恵美さんが2015年にお店を開店。当初は東京以外での出店を検討していて、佐賀での開業にこだわりを持っていたわけではないというが、ご縁があり今の川上峡でお店を営まれている。

-実験室としての「HÁROM(ハーロム)」-

HÁROMは、RITMUSの分室として2023年3月にオープン。RITMUSが月日を重ねる中で、自分たちのビジョンに沿い「ある程度の仕上がりを感じた」とのことで、これまで付き合いのあった作家たちとやり取りをし、より実験的なことができる場所が必要だとの思いでHÁROMの立ち上げに至ったという。

場所は、福岡市南区の長住。都市部から少し離れた場所を選んだ理由を聞くと、友人が営んでいる「パタゴニアの南」(カフェ)があるからだという。福岡でも昨今、より個性の強いお店が都市部を離れる中、長住という未開拓地を選択することにも、さらにお店のスタンスを感じる。

RITMUSが器などの生活雑貨を中心に扱う一方で、HÁROMでは、よりオブジェクティブなものやアート作品を中心に扱っているという。また中央エリアでは、マンスリーで作家をリコメンドしているという。

(取材時は、展示会の合間の期間としてRITMUSの常設作品を中心に商品が陳列されていた。)

こちらは、作家 鏡原愛莉さんの多治見市陶磁器意匠研究所 卒業制作作品。HÁROMにて預かって欲しいという希望の元、現在展示販売中。
■「罅枯白 大壺」171,600円(税込)

横山真実さんの作品。ワイヤーで植物などの自然物を制作する横山さんが、その逆のアプローチとして構造体をモチーフにした新たな試みの作品。
■「module」12,100円(税込)

齋藤一さんのvase(写真右)。海外で展示していた特別な作品を期間限定にて紹介させてもらっているという。
■「vase」 33,000円(税込)

時代が進むごとに、器のあり方、楽しまれ方も変わりつつあるという。そんな中、店主の北島夫妻は、新鋭のアーティスト達と積極的に関わり、自分たちのお店のあり方を模索し続けている。

 

生活用品であり工芸品・アートでもある器が、次の時代、またその次の時代へと紡がれる「もの」として作家と歩みを共にする『HÁROM』の今後の展開がとても楽しみだ。

<店舗情報>
HAROM
営業時間:12:00~16:00
※オープン情報は下記のinstagramを参照
住所:福岡市南区長住3丁目1-12 木村ビル2F 3号
instagram: https://www.instagram.com/harom_ritmus3/
WEB:https://www.ritmus-store.com/