自分にしかできないことを仕事に!「手芸作家」としてのブランディングに成功した秘けつとは?
博多阪急の催事場での販売や、倉敷のショップとのコラボなど、「365days obebe」代表として福岡を中心に活動されている「がま口デザイナー」の山本良子さん。山本さんが作り出す個性的でオシャレな「がま口バッグ」は全国から注文がくるほど人気。活動を始めたのは今から7年前、上のお子さんが1歳の時でした。山本さんはどのようにして自らのブランドを作りあげ、現在のような「手芸作家」として成功することができたのでしょうか?
「何かしたかった。」スタートは育児中の制作活動から。
山本さんが「がま口」を作り始めたのは、上のお子さんが1歳の時。育児に忙しい日々を送っていた山本さんのもとに、ある誘いが届きました。それは趣味の吹奏楽の仲間でハンドメイドマルシェに出店しようというものでした。
こうして、手作りグッズ制作の道に引き込まれた山本さんですが、その活動を聞きつけた友人や知人からハンドメイドグッズの制作を依頼されるように。
最初は、作家というよりも手作り販売というスタイルで小さながま口を作っていたのですが、ある時、勤務していたパート先の男性に「彼女へのプレゼント用に縫ってもらえないか」と声をかけられ、さらに、社長の奥様からも「ポーチを3つ作ってほしい!」との依頼が舞い込みます。これが、山本さんにとっては初めての大量(!)受注となりました。とてもうれしい気持ちとやりがいを感じたそうです。
ちょうどその頃、パートの収入で始めた貯金が約100万円に。それを資金に「がま口バッグ」作家としての起業を決意することになります。
100万円の貯金があるから、次の一歩が踏み出せた!
カラフルなデザインに、オリジナリティあふれる形・・・。生地を選べるオーダーメイドなど、いろんなスタイルが支持を集める「365days obebe」のがま口バッグ。
今や東京まで生地を買い付けにいったり、県外のショップで打ち合わせをしたりする山本さんですが、やっぱり思い切って動けるのは、最初の100万円の貯金があってこそ、と言いきります。
「まだ預金があるから大丈夫、そう思えると生地も買いやすかったです(笑)」と、笑って答えてくれる山本さん。
実際に初期投資では、材料費や業務用ミシン、ブランドネームなどに、およそ20万円程度の費用が必要だったのだそう。さらに、3年目には「手作り以上、ブランド未満」のステージを目指し、得た利益をもとに高性能ミシンなどの機材や、オリジナルの素材への投資を行い、ブランディングへの道を進むことになります。
現在では、山本さんは「365days obebe」のブランド名で博多阪急の催事にも出店するまでに成長。手芸作家として幅広く活躍されています。
夢は広がっていく。みんなで共有したい「シェアワーク」
7年間、ずっとがま口を作り続けてきた山本さん。今の夢は「がま口バッグを作ること」だけではなくなりました。今、力を入れているのが、『シェアワーク』です。
1人の制作では作業が追いつかなくなってきたので、周囲のママ友にもお願いしてみたところ、快く引き受けてくれる方がとても多かったのです! そう。ママたちの「何かしたい」という気持ち・・・それは以前、自分自身が感じていたものでした。
「生地を切ってくれるだけの人がいてもいいし、縫ってくれるだけの人がいてもいい。子どもがいると子どもの病気でパートを休まなくてはいけない時に気が引けて、なかなか働く一歩が踏み出せない人がたくさんいます。子どもともいっぱい過ごしたいけど、それだけでは物足りない人もいる。いろんな人がちょこっと働ける場になったらいいな、と思います」と山本さん。
山本さんご自身も、子どもたちのスケジュールや体調に合わせて臨機応変に動くことができる今の働き方にとても満足しているそう。
「催事などの長丁場は、主人の理解や家族の協力、応援があるから叶っていますし、周囲からも羨ましがられるくらい家族にはこの働き方を理解してもらっているようです。ありがたい限りです」。山本さんの家族への感謝が伝わります。
「何かしたい」という思いからはじまった、山本さんの「がま口デザイナー」としての道。
今回の取材で感じたのは、人とのつながりが、事業の規模を大きくしてくれること。本気で始めれば、家族も味方になって応援してもらえるということでした。人と人の縁が繋がり、それにつれて幸せの輪もまわりに広がっているようです。
あなたも興味があることから、まずは始めてみませんか?