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公務員や会社員でも節税できる!手取りを増やせる税金対策まとめ

ためる 中村 賢司

公務員や会社員でも節税できる!手取りを増やせる税金対策まとめ

【画像出典元】「Rostislav_Sedlacek/Shutterstock.com」

皆さん、最近お給料増えていますか。私のところに相談に来られるサラリーマンや公務員の方々から口々に、お給料が増えないとか、残業が減って給料が下がった、という話をよく聞きます。その一方で社会保険料の負担は増えたりして、家計のやりくりが大変になっています。

生活費の【節約】は大切ですが、毎月1万円節約しようと思ったらどれだけの努力がいるでしょうか。そこで今回は、節約よりも大きな効果がある【節税対策】についてお話しします。会社員でも利用できる控除制度を使って税金対策をすれば、手取り額を増やすことができますよ。

公務員やサラリーマンも節税対策できる

そこで今回は、節約よりも大きな効果がある【節税】についてお話しします。サラリーマンや公務員は、節税や税金対策ができないと思っていませんか。自営業者の場合、売り上げに対してどれぐらい経費がかかったかで税金を計算しますが、サラリーマンや公務員の場合は、経費という概念がありませんので節税ができなさそうですが、実はたくさんあるんです。

皆さんは税金を計算する際の「所得控除」というものをご存知でしょうか。今回はサラリーマンや公務員の方でも利用できる所得控除について解説します。どれか利用できそうな制度をみつけて今年は皆さんも節税にチャレンジしてください。

医療費控除とセルフメディケーション税制

医療費
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これは有名な所得控除のひとつですね。家族全員分の医療費が年間10万円を超えると、その超えた金額が所得から控除されます。(総所得金額200万円未満の場合は、総所得金額等×5%を超えた額となります。)

ここでいう医療費とは、病院にかかった医療費の自己負担分だけでなく、薬局で買った薬や通院に必要なタクシー代なども含まれます。

※医療費控除の対象となる医療費については国税庁のホームページをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

10万円ってなかなか超えないだろうと思っている方も多いと思いますが、家族全員分だと意外と超えているご家庭もあります。なので普段から薬局で買った薬や病院のレシート等はマメに保管しておきましょう。

医療費控除を申告するには、このレシートや領収書が必要となります。また入院をして生命保険等を受け取った場合は、その金額は申告する医療費から差し引かなければいけません。また人間ドックなどの健康診断費用や自己都合で使用した個室代(差額ベッド代)や美容整形等は対象となりません。

また、「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例があります。皆さんはちょっとした風邪だったら、わざわざ病院へ行かず市販薬を服用して治そうとしませんか。そんな時使えるのがこの制度です。具体的には、薬局で買った市販薬が年間1万2,000円を超えた場合、その超えた金額(8万8,000円が上限)が所得から控除されるというもの。

この制度を利用すると従来の医療費控除を受けることはできませんが、10万円も医療費はかかっていないが、風邪薬や胃腸薬など市販薬を買って自分で治そうとした人にはとても良い制度です。対象となる薬は薬局に行くと教えてくれますし、薬のパッケージに「セルフメディケーション税制対象」というシールが貼られたりしています。詳しくは薬局でお尋ねください。

住宅ローン控除

住宅ローン控除
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これも有名な制度なので、ここで改めて詳しく説明する必要はないかもしれませんが、簡単に紹介します。

家を購入する際、ほとんどの方が住宅ローンを利用されます。その住宅ローンの年末借入残高の1%を税金から控除してくれるという制度です。年間最大40万円(中古住宅などの場合は20万円の場合もあります)が10年間も税金から還付されるので、住宅購入者にとっては嬉しい制度です。

たまに40万円という金額だけが頭に残り、借入残高や納めた税金の金額に関係なく40万円が還付されると勘違いしている人もいますが、納めた税金以上は戻ってきませんのでご注意ください。

個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)を利用した節税

この制度は、公的年金や企業年金の上乗せとして老後の年金を自分で積み立てるという制度です。今年から公務員や専業主婦(主夫)も加入できるようになり、利用者は倍増しています。

この制度の最大の魅力は、掛金が全額所得控除になるという点です。ただし下記の通り上限が決められています。

(1)公務員
月1万2,000円(年間14万4,000円)
(2)企業年金制度のない会社に勤めている会社員、専業主婦(主夫)
月2万3,000円(年間27万6,000円)
(3)企業年金制度がある会社に勤めている会社員
月1万2,000円か月2万円(制度による異なる)
(4)自営業
月6万8,000円(年間81万6,000円)

例えば、課税所得400万円の会社員が毎月1万円のイデコに加入した場合、年間12万円の所得控除を受けることができるので、節税額は「3万6,000円」になります。これを20年間継続した場合、72万円の節税効果があります。これは大きいですね。(所得税20%+住民税10%で計算。)

もうひとつの特徴は、毎月の掛金の運用先を自分で決めないといけないという点です。運用商品は、窓口となる金融機関(銀行や証券会社)によって様々ですが、リスクを取らない「定期預金タイプ」もあれば、リスクの高い「投資信託」なども選べます。

また、運用期間中の運用益は非課税で、老後受け取る時には「退職所得控除」や「公的年金等控除」といった税制優遇もあります。

サラリーマンにも経費が認められる「特定支出控除」

特定支出控除とは、サラリーマンでも自営業者のように仕事に必要だと思われる経費を所得から控除してくれるという制度です。具体的にどのようなものが経費として認められるのかまとめてみました。

(1)通勤費
一般の通勤として通常必要であると認められる通勤のための支出
(2)転居費
転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出
(3)研修費
職務に必要な技術や知識を得ることを目的とした研修を受けた場合の支出
(4)資格取得費
弁護士、公認会計士、税理士等の資格が職務に必要な場合、その取得のための支出
(5)帰宅旅費
単身赴任などで勤務地から自宅へ移動する際の支出
(6)勤務必要経費
書籍、定期刊行物等職務に関連するための本を買った場合(図書費)
制服や事務服、スーツなどを勤務場所で着用することが必要とされている場合(衣服費)
交際費や接待費で仕事の得意先や仕入先等の接待や譲渡その他これに類する行為のための支出(交際費等)

以上のようなものが経費とみなされ、勤務先の会社から証明書をもらうことができれば、確定申告をして税金が還付されます。控除される金額はその年中の給与所得控除額×1/2となっていますので、少々ハードルが高いかもしれません。

子どもの国民年金保険料

大学生のお子さんの国民年金の保険料を親が代わりに払った場合、その額が親の所得から控除されます。本人の社会保険料ではないので見落としがちですが、親が代わりに支払うことをも認められていますので、このような場合は確定申告をして税金の還付を受けましょう。

また、学生の間は申請により保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」があります。学生の間支払わなかった国民年金の保険料は、社会人になってからまとめて納付することができます。この場合のお得な納付方法は、社会人1年目の所得が低い時ではなく、社会人2年目のちょっと所得が高くなった時に追納した方が、還付される税金が多くなる場合もあります。ちなみに保険料の追納は10年以内であれば保険料を遡って納めることができるので、社会人になって慌てて追納しなくてもいいかもしれません。

ふるさと納税(寄付金控除)

この制度もだいぶ有名になりましたが、まだ利用されている方は少ないように思います。納税という名前がついていますが、これは寄付金控除の一種です。簡単にいうと、自分の故郷や応援したい自治体などに寄付をすることで、自分の税金が安くなるという制度です。

これは節税というより、本来自分の住んでいる自治体に納めていた税金を故郷や応援したい自治体に振り替えるという制度なので、実際に税金が安くなっているわけではありません。

しかし、このふるさと納税のメリットは、なんといっても寄付をした自治体から送られてくるお礼の返礼品ではないでしょうか。肉やお米など豪華な返礼品が送られてくる自治体が多いので毎年欠かさずされている方もいます。

確定申告が必要だったこの制度も平成27年度より「ワンストップ特例」という制度がスタートし、サラリーマンや公務員の方であれば確定申告をしなくても所定の申請書を寄付をした自治体へ提出するだけで、翌年の住民税が安くなるという便利な制度がスタートしました。

これによってふるさと納税の利用者は急激に増え、その寄付額も大幅に伸びています。これから年末にかけてまだ間に合いますので、興味のある方はぜひ利用してみてください。利用にあたっては、インターネット上にふるさと納税のポータルサイトがたくさんありますのでそちらを利用されると便利でしょう。

確定申告も忘れずに

確定申告
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いかがでしたか。今回ご紹介した6つの節税方法の中にあなたが活用できる制度が必ずあるはずです。サラリーマンや公務員でも制度を理解していれば賢く節税することができますので、気になっている制度があればよく調べてみてください。

また税金の還付を受けるためには確定申告が必要になります。確定申告と聞くと難しそうなイメージがありますが、国税庁のホームページから簡単に入力できて申告書をプリントアウトすることができます。また確定申告の時期(2月16日から3月15日まで)には、各所轄の税務署で相談会などが開催されていることが多いので、そちらを利用されてはいかがでしょうか。

これからは【節約】より【節税】!

皆さんも今年はチャレンジしてみてください。