FPが回答「20代はいつからどんな年金保険を始めたら得?」
《相談内容》
「年金の保険のようなものはいつから始めたら得なのか知りたい」(10代男性)
こんにちは。FP(ファイナンシャルプランナー)の内山です。
今回は10代男性からのご相談にお答えします。10代から年金のことを考えているとは!すばらしいですね。それでは、国民年金・厚生年金以外に検討すべき年金保険にはどんなものがあるのか、また開始時期についても考えてみましょう。
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まず、“年金の保険のようなもの”は、公的年金を除いて大きく2つあります。1つは保険会社が販売している個人年金商品で、もう1つは現在iDeCo(イデコ)といった愛称でもおなじみの確定拠出年金(個人型)です。
以下にそれぞれ紹介していきます。
保険会社が販売する個人年金に加入する際に考えるべきメリット・デメリット
まず、保険会社が販売している年金は「個人年金」と呼ばれるもので、60歳や65歳などターゲットを定め、コツコツ保険料を積み立てていきます。
毎年一定額を10年間に分けて少しずつ受け取るなどいくつかの受取方法があります。また、払った保険料に応じて最大4万円が所得税を計算する上での所得控除となりますので「節税効果」も期待できます。
さて、この個人年金ですが、「将来いくらもらえるか?」といった商品のスペックは、原則として加入時の金利状況(予定利率といいます)に左右されます。昨今は金利が非常に低いこともあり、長年積み立ててもほとんど増えない状況ですので、10年、20年前のような大きなリターンは期待できなくなっています。それでも、それでも所得控除のある貯金として考えれば、特に貯金の苦手な人にとってはメリットあり。ただし、途中で解約すると払い込んだ保険料を下回ることもあるため注意が必要です。
老後に向けて何も準備しないよりは、こうした個人年金などを活用し、コツコツ積み立てていくことは良いことです。現在は、ドルや豪ドルなど外貨建ての年金などを取り扱っている保険会社もありますし、金利の動向に応じて、予定利率が変動するタイプのものもあります。ご自身に合った年金商品を探してみてください。
iDeCo(イデコ)が公的年金だけでは足りない部分を補完できる理由
もう一方のiDeCo(イデコ)は国民年金や厚生年金といった公的年金を補完する私的年金制度です。平成29年1月から原則20歳以上の方は働き方などを問わず加入できるようになりましたので、今のうちから調べてみるのもよいと思います。先に紹介した個人年金との大きな違いが3つあります。
イデコと個人年金保険の違い
〈iDeCo(イデコ)〉
・60歳まで引き出せない
・自分で運用方法を決める
・全額が所得控除となる
〈個人年金保険〉
・途中解約可
・保険会社に運用を任せる
・最大4万円の控除上限あり
個人年金は途中で解約することができますが、iDeCo(イデコ)は60歳まで引き出すことができません。また、保険会社に運用を任せる個人年金とは違って、その運用方法をさまざまなリストから自分で選ばなければなりません。そのため、投資信託といった金融商品の知識などを今のうちから勉強しておきたいところです。
※個人年金でも自ら運用方法を選ぶタイプ(変額個人年金)もあります。
最後に大きな違いが税務面です。個人年金は最大4万円と年間の所得控除(所得税)に上限がありましたが、、iDeCo(イデコ)は払った金額全額が所得控除とみなされますので、より節税効果が大きくなります。
ただし、20歳になった大学生などは国民年金保険料の納付をしなくてもよい「学生納付特例制度」を利用する方が多いのですが、この特例期間中は、iDeCo(イデコ)に加入できませんのでご注意ください。
いずれも準備を早く始めることに大きなデメリットはありません。1つのタイミングとして、就職や結婚などを機に加入することを検討してください。ただ、どちらも老後に使うお金であることが前提になります。これから住宅購入など大きなライフイベントがたくさんありますので、それらも視野に入れ、無理のない金額で始めてくださいね。
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