節税できる年金「イデコ」を20代から始めるべきシンプルな理由
ファイナンシャルプランナーの権藤知弘です。
最近、TVのCMなどでも耳にする機会の多いiDeCo(イデコ)。自分の老後に備えるためのものだとなんとなくはわかるけど、結局どうなの?って思っている方も多いのではないでしょうか?
20代のあなたにとってiDeCo(イデコ)ってどうなの?という視点で見ていきましょう。
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1.iDeCo(イデコ)って何?どのような仕組みなの?
iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金制度の略称です。もともとは2000年代初めにスタートした年金制度です。年金制度には国民年金や厚生年金がありますが、それに加えて自分で資金を積み立て運用し、60歳以降に受け取りができるというのがiDeCo(イデコ)です。
30年から40年先のことなので今一つピンとこないとは思います。社会に出てすぐに60歳以降のことは想像できないですよね?
ただ、よくよく考えると20歳を超えた皆さんは、ご自身で納付や給与引き去りで国民年金や厚生年金の保険料を納めておられると思います。これは従来の年金制度が「現役世代が引退後の世代を支える」という仕組みになっているからです。「将来、年金ってほとんどもらえないかもしれないのに、こんなにおカネが引かれてる!」と思われている方も多いでしょう。ですが、iDeCo(イデコ)は「毎月当たり5000円から、自分で自分のために運用しながら積み立てる」制度ですので、考え方としてはシンプルですね。
iDeCo(イデコ)の基準は下記のようになっています。
1) 日本在住の20歳以上60歳未満の方であれば、原則誰でも始めることが可能です。
2) 月額5000円から始めることができます。
3) それ以上積み立てたい場合は1000円単位で上乗せできますが、加入者のご職業等によって上限金額が定められています。
4) 金融機関に専用口座を開設する必要があります。
2.iDeCo(イデコ)のメリット・デメリット
iDeCo(イデコ)ですが、3つの税金上のメリットがあります。
1) 掛け金が全額所得控除
2) 運用中の利益は非課税
3) 受け取り時も退職金や年金での受け取りになり、場合によっては非課税で受け取れる
この中で20代の皆さんに一番わかりやすいのは「掛け金が全額所得控除になる」というところです。皆さんがお給料をもらうときに所得税や住民税が天引きされていると思います。この所得税や住民税はお給料の金額に応じて変わってきます。単純に考えると「お給料が多ければ税金も多い」ということです。掛け金を所得から控除するということは「掛け金の分だけお給料の金額を少なく計算するので、所得税や住民税が連動して安くなる」ということになります。
実際にiDeCo(イデコ)で運用したと試算すると、下記のようなイメージとなります。
加入年齢 :25歳
税引き前年収 :300万円
毎月の掛け金 :5000円
企業年金制度 :なし
運用方針 :3%を目標にリスクを取りながら運用
運用期間 :35年
所得税率 :5%
この条件で運用をしていくと
毎年の節税額 :9000円 *35年間で約31万円が節税できます。
積み立て元金+運用益=370万円(元金計:210万円+運用益:160万円)
この節税した9000円は年末調整や翌年の住民税の減額という形で戻ってきます。また、iDeCo(イデコ)を活用し、運用することで160万円の上乗せが期待できます。すごいですね!
さて、メリットいっぱいのiDeCo(イデコ)ですがデメリットもあります。
1) 場合によっては元本割れすることもある
2) 60歳までは引き出しができない
iDeCo(イデコ)は元本確保型と元本変動型の大きく二つのタイプに分かれます。元本変動型は投資信託という金融商品を使い運用していき、元本確保型は個人年金や定期預金を活用していきます。
元本確保型→元本割れすることはないが、リターンもほとんど期待できない。
元本変動型→運用成績により受け取る金額が上下する。大きなリターンも期待できるが元本割れの可能性もある。
これは商品に優劣があるわけではなく運用方針が違うだけです。
60歳までは取り崩しができませんので、20代の方はiDeCo(イデコ)に関しては元本変動型の投資信託でリスクを取る運用方針で行きましょう。
3.20代にとってiDeCo(イデコ)は結局、損なの?得なの?
iDeCo(イデコ)は節税効果まで含めれば非常に得な制度です。運用期間が長い方がリターンも期待できます。ただし投資信託で運用をしますのでキチンとバランスを取りながら、なるべく手数料が割安なものを選ぶなど注意が必要です。
もう一点、60歳までは引き出しができません。20代から30代にかけては大きくライフスタイルが変わる時期です。いざというときに手元に現金がないと支障が出ますので、毎月のやりくりの中で貯金に回すことができる余裕資金の1/3から多くても半分ぐらいまでにしましょう。
結論、初めから無いものと思って、毎月5000円からスタートしましょう。
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