今さら聞けない「株初心者のための超入門編」をFPが解説
目次
超低金利時代の現在は、銀行にお金を預けておくだけでは、なかなか増えません。少しでもお金を増やすためにおすすめな方法の一つが株式投資です。
今回は入門編として、株式投資未経験や初心者のみなさんに、「資金はどうするのか、少額からでも大丈夫なのか、銘柄の選び方や始め方、税金はどのようになるのか?損失が出たら…」など、基本的な疑問にファイナンシャルプランナーの立場でお答えしていきます。そもそも株式投資とは何か、基礎の部分からしっかりと理解していきましょう。
株式投資の初心者がやりがちな失敗とは?大損しないため「しくじり」に学べ!
そもそも株式投資って何?
株式投資とは、株式市場に上場され売買ができる株式を購入・保有・売却することで、利益を増やしていく投資方法です。毎日のニュースで「今日の東京証券取引所の終値は…」という言葉を聞くことがあると思います。株式投資は、まさにこの毎日のニュースに出るような世界的に大きなマーケットで、資産を増やすことを目的にした投資方法です。
株式投資のメリットってどんなところ?
株式投資のメリットはいくつもあります。
例えば、
■株式の売買を行うことによって得られる利益(キャピタルゲイン)
■企業が稼いだ利益を分配する配当金(インカムゲイン)
■忘れてはいけないさまざまな株主優待制度
■市場価格が上昇することによりインフレに対応できること
他にも多くの魅力がありますが、代表的なものとして上記に挙げたものになるでしょうか。
もちろん株式投資には、リスクやデメリットもあります。一番大きなリスクは企業が倒産したり、業績の悪化に伴う株価の低迷により、資産を大きく減らしてしまう可能性があることです。また、始めるには、ある程度の資金が必要なことも株式投資を始めるにあたってハードルになる場合もあるでしょう。
ちなみに配当金の受け取り方は4つあります。
(1)郵便局や銀行で直接受け取る 「配当金領収証方式」
(2)銘柄ごとに指定の金融機関に振り込んでもらう 「個別銘柄指定方式」
(3)証券口座で受け取る 「株式比例配分方式」
(4)銀行口座で受け取る 「登録配当金受領口座方式」
じっくりと長期投資を考えている方は証券会社の証券口座で受け取り、配当金をさらに投資に回す株式比例配分方式がおすすめです。
株式投資だけではありませんが、投資を始めるにはメリットだけではなく、デメリットやリスクもきちんと考えてスタートしたいですね。
投資初心者が株式投資を始めるのにおすすめの具体的な方法は?
2012年の年末に、安倍政権に代わりアベノミクスがスタートしました。スタート当時の日経平均株価は約8000円でしたが、2018年9月には2万4000円前後まで上昇してきました。もし、このタイミングで株式投資を始めていたら、どれだけの恩恵を受けることができたのでしょうか?
個別の株式の上昇率で比較するのは難しいため「日経平均株価」に連動する投資信託の価格で比較してみましょう。2012年12月に約9800円だったものが、2018年10月で2万5000~2万6000円となっています。おおよそ2.5倍ですね!(※株価の上昇で目立つものは小型株ですがギャンブルの要素があるため、あえて投資信託の価格で比較してみました)
株式市場に投資をする株式投資は、その時の景気や政策、海外情勢などに強く影響を受けます。また自分が投資をすれば、やはり株価の推移が気になります。このことから投資目的だけではなく、「なぜ上がるのか?なぜ下がるのか?」を分析することで「経済の勉強」という側面が株式投資にはあります。
まずは取引口座の準備から~証券口座を作ろう
株式投資に興味が出てきて、株式投資を始めたくなったら、まずは証券会社に証券口座を作りましょう。株式の売買は、証券会社の証券用の口座を通じて行います。そのためには、何はともあれ証券会社で証券口座を開設することが初めの一歩になります。
証券口座を開設する際は、ぜひNISA口座も同時に申し込みましょう。株式投資で得られた利益には通常20.315%の税金がかかりますが、NISA口座という非課税口座で売買して得られた利益には、税金がかかりません。このお得な制度を活用しない手はありませんね。
なお、口座を開設する際には身分証明書とマイナンバーもしくは通知カードが必要です。
証券会社の選び方の3つのポイントとは?
口座を開設する証券会社を選ぶには、いくつか大事なポイントがあります。
【ポイント1:手数料の金額】
株を買うとき、売るときそれぞれに売買手数料が必要です。売買手数料は証券会社によって異なりますが、一般的にはネット専業の証券会社は、低めに設定されていることが多いようです。各証券会社のホームページに売買手数料は掲載されています。ぜひ、ご自身で確認されることをおすすめします。
【ポイント2:売買に必要な情報がわかりやすいか】
株式の銘柄情報や株価の推移を表したチャート、株式の売買に使う注文画面などがセットになった取引画面を各証券会社は準備しています。パソコンで見るもの、スマホのアプリで取引できるものなど、取引ツールも多様化しています。使い勝手や安定性が高いものがおすすめです。
【ポイント3:提供される情報・サービスの量や質】
証券会社は、今までの業績の推移や各種のレポートなど、株式投資に必要な情報をさまざまな形で提供してくれています。これらの情報が多い証券会社の方が良いでしょう。
3つの条件を当てはめると大手のネット証券会社を選んでおけば問題なさそうです。もちろん担当者がいる方が安心ということであれば、各証券会社の支店で口座開設することも選択肢に入ります。
株初心者に必要な資金はいくら?1万円の少額から投資できる?
さて、いよいよ株式投資をスタートするにあたって、株初心者の皆さんが一番気になるテーマです。株式投資を始めるのには、資金が必要です。
必要資金を表す式は、
必要資金=「現在の株価」×「購入株数」+「証券会社の手数料」となります。
ちなみに東京証券取引所では、2018年10月から全銘柄が1単元=100株単位で売買できるようになりました。つまり最低必要額は、現在の株価を100倍にした金額+手数料となります。
したがって、その銘柄の株価によって株式投資を始めるのに必要な金額は異なります。株価の一覧を見てみると、安い銘柄では100株あたり1万円程度で購入できますが、株価の高いものだと数十万円・数百万円が必要な銘柄もたくさんあります。つまり、自分で買いたい銘柄が現在いくらなのか?により金額は左右されます。
そう考えると、まとまった資金がなくても手元の余裕資金で買い付けが可能な、比較的安い株価の銘柄から売買を始めることができそうですね。
株初心者におすすめの少額で購入できる株式投資・銘柄は?
思ったより少額で株式投資を始めることができそうですね。
インターネットで「株 少額 一覧」等で検索すると、上場している株式の銘柄のうち、少額で購入できる銘柄がたくさんでてきます。1単元あたり1万円程度で購入できる銘柄は、株初心者の皆さんの想像よりも多く、中には名前を知っている会社もあると思います。
株式投資を始めるにあたって銘柄選びは楽しくも難しいところですが、名前を知っている企業というのは少なからず安心感に繋がるのではないでしょうか?
もちろん、名前を知っているから大丈夫ということではありませんが、名前を知っている人気企業の株価が少額で購入できるのであれば、銘柄選びの目安の一つにはなりそうです。
株の銘柄の選び方のコツや買い方は?
株式投資を始めるにあたって銘柄選びは楽しくも悩ましい問題です。投資ですからこれから値上がりが期待できるか?配当金は出ているか?など銘柄選びは考えだすとキリがありません。例えば、東証一部には約2000もの銘柄が上場されており、この一社一社をすべて比較するというのは現実的には難しいところです。
では、銘柄を選ぶ上で大事なポイントはどこでしょう?株式投資は老後の資金のためでしょうか?株主優待など期待するのか?高配当銘柄で配当金を狙うのか?
株式投資の目的が決まると、どのような銘柄を選ぶのかが絞られてきます。
老後資金を目的にするなら、長期保有でゆっくり投資する方針で良いと思います。周りに流されて投資をスタートしてしまうと、そもそもの投資目的を定めるのが難しい場合もあります。その場合は、「長期保有でゆっくり」や「中期保有」、もしくは「積極的に短期売買」したいのかだけでも決めておくと銘柄選びの参考になりそうです。
株初心者や主婦に、少額・1万円から始めるおすすめの「ミニ株」とは?
「いろいろ難しいそうだけど、やっぱり名の知れた一流企業の株を買ってみたい!」という株初心者の方には、一部の証券会社が設定しているミニ株がおすすめです。通常は、株式投資には100株当たりの購入資金が必要ですが、このミニ株は1万円からスタートできる仕組みです。
例えば、100株単位の銘柄を買おうと思った場合、その銘柄が1株1000円であれば、100株×1000円で10万円の元手資金が必要となりますが、このミニ株は10分の1の株数から購入できます。この例の場合なら1万円で買うことが可能です。
このようにミニ株を使って株式投資をすることで、少額の資金でも投資先を分散する効果も期待できます。
株初心者が考えるべき株式投資のリスクとは?
さて、ここまで株式投資の良い面に関してお話ししてきましたが、やはりリスクに関してもきちんと理解をしていきましょう。
【リスク1:値下がり】
値下がりリスクは、株価(株の価値)が下がるリスクのことです。株は、そのときの時価で取引されますから、上がることもあれば下がることもあります。
【リスク2: 流動性】
売ることができなければ、株券は現金化できません。取引が活発でない銘柄では、売りたくても売れないということも考えられますので注意が必要です。取引が少ないと安値で売るしかない場合もあります。また、実際に現金になるまでには売却した日を含め4営業日が必要です。
【 リスク3:倒産】
会社が倒産してしまうリスクです。もし投資先が倒産してしまったら、株券は資産価値がなくなり紙くずとなります。絶対に会社が倒産しないということはありません。ただし、銘柄選びを慎重に行えば、投資先が倒産してしまうリスクは、かなり減らすことができます。
株初心者はまず株式投資にかかる税金について知ろう
投資を行う際に忘れてはいけないのが、税金です。株式投資における所得は2つに分かれます。
1つめは株式の売買による譲渡所得、もう1つは、株式を保有していることで得られる配当所得です。どちらの所得にも、得られた利益に対して20.315%の税率が課税されます。例えば、株式の売買で1万円の利益が得られたとすると、税金がおよそ2000円程度かかるというイメージです。
ただし、NISA口座であれば投資額に制限はありますが、その口座内で得た利益には、課税されることはありませんので節税対策としてもおすすめです。
また、一般口座や特定口座など利用をされている証券口座によって税金の申告方式が変わりますのでご注意ください。
株式投資を考える初心者さんにおすすめのお金の本
株式投資を行う前には、お金に関する本を事前に読むこともおすすめです。数年前から熱い視線が注がれているiDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)の他に、生命保険や相続についてなど、お金に関する広い知識を得ることができます。また日本経済の情勢や仕組みなどを勉強して理解が深まれば新たな気づきも得られるでしょう。
以前にFPがおすすめする本を紹介した記事がありますので、ぜひ参考になさってください。
<FPおすすめのお金の知識が増える本>
・お金のプロ推薦!「お金の知識が増える本&情報紙ベスト4」
┗ ウォール街の金融マンも学んでいる お金持ちになる心理学(日本実業出版社)
┗ 日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由(河出書房新社)
ほか
・20代必読!若いうちから身につけたい簡単「お金」の教養本3選
┗ 知らないと損する 池上 彰のお金の学校(朝日新書)
┗ アメリカの中学生はみな学んでいる 「おカネと投資」の教科書(朝日新聞出版)
┗ マネーという名の犬 12歳からの「お金」入門(飛鳥新社)
そしてWallet⁺(ウォレットプラス)のアプリを使って「THEO+」(テオプラス)で投資信託を行っているタレントの山口玲香さんの体験レポートも覗いてみましょう。アプリを使った投資の始め方や、どのくらいの資金でどのように運用しているのかなど参考になる部分があると思いますよ。
<山口玲香さんの投資アプリ体験記>
・「THEO+福岡銀行」で投資デビューしてみました!
株初心者の入門編、株式投資のまとめ
株式投資の入門編いかがでしたか。証券会社の選び方や口座の準備、銘柄選びのコツ、税金はどのくらいかかるのか、配当金の受け取り方まで初心者が知っておくべき株式投資の始め方を紹介してきました。株式投資の最大の魅力は、経済のダイナミズムを感じられるとこではないでしょうか?自分で選んだ銘柄が値上がりしたり、配当金をたくさん出してくれるとうれしいものです。
一方で資産価値が0になるリスクも秘めています。株初心者の方はメリット・デメリットもあることも踏まえ、まずは余裕のある資金で少しずつスタートしてくださいね。
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