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自営業者と会社員の大きな違いは社会保険!種類や内容を知って働き方を考えよう

そなえる 中村 賢司

自営業者と会社員の大きな違いは社会保険!種類や内容を知って働き方を考えよう

【画像出典元】「iStock.com/takasuu」

社会保険とは、一般的に「公的医療保険」、「公的年金」、「介護保険」、「雇用保険」、「労災保険」の5つを指します。専業主婦や会社員、公務員、自営業者など職業によって加入するものが違います。アルバイトやパートという働き方では、働く時間や収入によって社会保険に加入するかしないかが分かれます。今回は、この5つの公的な社会保険とはどのようなものか、またどのような種類があるのかについて、FP(ファイナンシャルプランナー)が詳しく解説します。(2020年6月更新)

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自営業と会社員では保険料や入れる社会保険が違う

まず、会社員と自営業(フリーランスなど個人事業主を含む)では、加入できる社会保険の種類と保険料が異なることを知っておきましょう。基本的に、自分自身で備える必要がある自営業に比べ、会社員は加入できる社会保険の種類が多く、所属する会社が保険料を半額から全額、負担してくれます。

次から社会保険の種類について、詳しく見ていきましょう。

1.医療費を負担してくれる公的医療保険

社会保険の種類の中で、一番大きな役割を果たしているのが医療保険です。
この医療保険は、加入者とその家族を病気やケガから守ってくれるもので、病院にかかる医療費を一部負担してくれます。

日本では全国民がこの医療保険に加入する義務があり、このことを国民皆保険制度といいます。

公的医療保険には、次のような種類があります。

①健康保険
健康保険の種類には、組合健保と協会けんぽの2種類があります。
大手企業や同業種の企業が集まり運営団体を作っている健康保険が組合健保で、それ以外の中小企業が加入する全国健康保険協会が運営している健康保険が協会けんぽです。

この健康保険の給付の種類には、業務外の病気やケガの治療費を一部負担してくれるだけでなく、治療のため長期で会社を休んだときの傷病手当金や、出産したときの一時金、死亡したときの埋葬費などもあります。

②船員保険
海上で働く船員という特定の労働者とその家族を対象に、業務外の病気やケガの治療費、休業したときの手当金や出産一時金、死亡の埋葬費など保障することが目的とされています。この船員保険も、全国健康保険協会が保険者となっています。

もともと船員保険は、船員に関する社会保険をすべて保障する制度でしたが、年金は厚生年金、業務上の病気やケガは労災保険、失業したときは雇用保険へとシフトされ、健康保険だけこの船員保険制度として、船員とその家族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的として継続されています。

③共済組合等
国家公務員や地方公務員、私立学校の教職員を対象とした医療保険です。
この共済組合は、組合組織でありますが正式には法律により法人格を有しています。国家公務員共済組合や各種地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度などがあります。

④国民健康保険
国民健康保険は、個人事業主や農家、会社員や公務員を退職した方を対象とした医療保険です。昭和13年から続く制度ですが、当初は組合方式でした。しかし、時代とともに市町村が運営するようになり、今ではその方式が義務づけられています。

この国民健康保険も今まで見てきた医療保険同様、業務外の病気やケガの治療費、休業したときの手当金や出産一時金、死亡の埋葬費など保障することが目的とされています。保険者は、市町村や国民健康保険組合となっています。

⑤後期高齢者医療制度
2008年(平成20年)に施行した医療保険制度で、被保険者は75歳以上の人と65歳以上75歳未満で一定の障害があり認定を受けた人が加入します。65歳以上75歳未満で、一定の障害者を除く前期高齢者は、現役世代(0~64歳)と同じ医療保険に加入します。

2.老後の生活を保障する公的年金

手を取り合う若い女性とシニア女性
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公的年金とは、主に老後の生活を保障してくれる終身年金で、現役世代と同水準の生活を送ることができるよう国が行う年金制度です。公的年金には老後に受給できる老齢年金のほか、障害状態になったときに受給できる障害年金、被保険者が死亡したときに残された配偶者や子どもが受給できる遺族年金があります。

この公的年金は積み立て方式ではなく、世代間扶養を前提とした賦課方式となっています。また、加入するかどうかの選択肢はなく、20歳以上60歳未満の日本国内に住む国民は加入が義務づけられています。

公的年金も公的医療保険同様、働き方によって制度が異なりいくつか種類があります。

①国民年金
国民年金は、すべての国民に共通する年金制度で、自営業者や学生は第1号被保険者、会社員や公務員は第2号被保険者、専業主婦は第3号被保険者に分けられます。公的年金は2階建てとよくいわれますが、国民年金は1階部分にあたります。

国民年金の給付は3種類あり、老後受給できる老齢基礎年金、障害が残ったときに受給できる障害基礎年金、被保険者が死亡したとき配偶者や子どもが受給できる遺族基礎年金があります。

②厚生年金保険
厚生年金保険は、国民年金と同様、老後、障害、死亡のとき年金が支払われます。国民年金を上乗せの給付で、前項で説明した国民年金の2階部分にあたり、それぞれ老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金が上乗せして受給されます。

厚生年金保険は、主に会社員が加入する制度でしたが、次項で説明する国家公務員や地方公務員、私立学校の教職員も今は、厚生年金保険に制度統一されています。

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