お金

実は利回りが高い?国債や地方債など債券投資のメリットとは (2ページ目)

ふやす 内山 貴博

2-1 公共債(国債、地方債、政府保証債)
国や地方などが発行する債券です。公共債の代表例は国債、地方債、政府保証債です。以下概要を紹介します。

・国債:国債は「国庫債券」の略称で、国が発行する債券です。日本の国債の中では「10年国債」が最もメジャーで、長期国債と呼ばれ毎月発行されています。2016年1月以降、マイナス金利の発動の影響で、今現在の金利水準はほぼゼロ付近で推移しています。

・地方債:一部の都道府県とすべての政令指定都市に発行が認められている「全国型市場公募地方債」などがあります。地方債とはいえ、全国の投資家を対象に発行することができます。その他、原則として購入者を発行団体内に居住している個人などに限定した「住民参加型市場公募地方債」など一定のルールの下、地方債は発行されています。

・政府保証債:特別な法律によって設立された政府関係機関などが発行する債券をいいます。元本の返済や利子の支払いに対して政府保証が付せられており、国債と同等の信用力を有しているとみなされています。日本政策金融公庫や高速道路関係の機関などが発行体の代表例です。

2-2 民間債(社債、金融債)
民間債は一般企業が発行する債券のことをいいます。国債などの公共債よりも民間債の方が期間が同じであれば、やや利率は高くなります。民間債の代表例は社債と金融債です。

・社債:文字通り民間の会社、つまり企業が発行する債券です。

・金融債:特定の金融機関がそれぞれの特別な法律に基づいて発行する債券です。

3.債券投資のメリットは?

債券投資のメリットは安全性を追求しながら安定した利息収入を得られることです。通常、預貯金よりもやや利率が高いため、「リスクはそれほど取れないけれども、やはり少しでも高いリターンを追求したい」という人には向いています。途中で売却する場合は額面を割り込むなど損失が生じる場合がありますが、償還期限まで保有すれば額面で償還されるため、それほど価格変動を意識する必要がないのもメリットです。

また、既発債は同じ発行体であっても償還期限や利率などさまざまです。債券を数多く取り扱っている証券会社などと取引をすれば、資金計画や方針次第でさまざまな債券を組み合わせることが可能で、リスクを抑えながら多様な運用手法が行えるのもメリットの1つです。

4.債券投資のデメリットやリスクは?

債券に限らず金融商品はメリットがあればデメリットもあります。あるいは、メリットを違う見方をするとデメリットになる場合もあります。償還日に額面で償還される安心感などがその典型例で、逆にいうと株式のように大きな値上がり益は期待できません。利率も当初定めた利率を受け取るのが原則で、株式の配当のように業績次第で増えることもありません。

また債券は「債権・債務」の関係となり、債券を発行している側は「債務」を抱えていることとなります。つまり「負債」です。業績が悪化し債務超過のような状況になると、発行している債券の一部または全部が戻ってこなくなるというリスクもあります。これはデフォルトなどといわれますが、しっかりと認識しておきたいデメリットです。実際に企業のみならず国(アルゼンチンやギリシャなど)が発行した債券がデフォルトしたケースが過去何度もあります。

5.債券価格と金利(利回り)の関係とは?

債券投資をする上で重要な考え方が「金利と利回り」です。通常、「A債券よりもB債券の方が金利が高い」という場合、実際の利率ではなく、利回りを表すことが多いです。
ここまで聞いて、頭の中に「?」が浮かんでいる人も多いと思います。「金利と利回り」の関係は少し難しいので、以下1つ1つ説明していきます。

5-1 利回りと利率の違いって?
特に利回りの考え方は重要なので、それを理解するために債券の基本的な仕組み、用語の確認をしましょう。債券は現在、ペーパーレスとなっていますが、以前は実際に券面が発行されていました。「10年後に100円返すのでお金を貸してください。毎年3%を利息としてお支払いしますので」といった条件が券面に記載されていたのです。

債券
【画像出典元】「iStock.com/tupungato」

この場合の100円を額面といいます。そして10年を償還期間、3%が利率となります。もし銀行預金であれば、100円を預けて毎年3%の利息をもらえるため、利率=利回りとなりますが、債券の場合は必ずしも100円で取引されるわけではありません。この場合の額面はあくまで「10年後に返す金額」であり、発行時や経過途中においては、さまざまな要因によって100円よりも高く、または安い価格で取引されることもあります。

つまり100円をベースにしながら日々価格が変動しているため、売買のタイミング次第で「利率以外にも運用成果に影響する部分」があるのです。よってこれを考慮したものが「利回り」となります。

もう一度確認します。利回りとは、投資額に対する1年あたりのリターンです。そして、このリターンが利息+(売買または償還差額)となるのが債券の特徴です。最終的には額面で返還されるとはいえ、最後まで保有せずに途中で売却するかもしれませんし、そもそも購入額が100円ではない場合も。よって、利息以外に運用成果に影響を与える部分を考慮したものが、利回りということになります。そして、利回りは1年あたりで考えるのが大前提です。