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実は利回りが高い?国債や地方債など債券投資のメリットとは (3ページ目)

ふやす 内山 貴博

5-2 利回りと利率の計算方法
1年あたりでどれだけリターンを得られるのか?を計算するのが利回り計算で、債券の場合は毎年どれだけ利息がもらえるかという割合である利率と、取引によって生じる差額を計算することで利回りを求めることができます。

預貯金であれば計算は簡単でしたよね?
100万円銀行に預けて1年間で1万円の利息がついた場合、「利回り1%だ!」と、すぐ分かりますよね。債券の場合は、「利息以外に運用成果に影響するもの」があるので、それを考慮することで利回り計算ができます。

ここで例題を見てみます。

残存期間1年、表面金利2%の長期国債(額面100円)を99円で購入した場合の最終利回りは?

上の問題の場合、債券を購入し1年後に100円が戻ってきます。その間、表面利率が2%なので、1年間で2円の金利を受け取ることになります。(利息は額面に対してなので、100円×2%=2円となります。)

ここまでは預貯金と全く同じです。ただ、債券というものは必ずしも額面どおりでは購入できません。高い金利などが人気となれば、多くの人が購入したいと思うため、額面100円のところが101円、102円というように高めで購入することになります。一方、人気がない場合は99円、98円など額面より低い価格で購入することができます。


今回の購入価格は99円です。1円安く購入していますよね。ただ、債券の大原則で、満期(1年後)まで保有すれば100円で換金されます。ということは、この差額分1円得をしたことになります。そして、利回りを計算する際に、この1円も利息とみなして計算しましょうということです。よって、99円で購入して1年間で3円の儲けがあったので、預貯金と同じように考えれば99円預けて3円のリターン(1年あたり)があったことになります。式で表すと以下のようになります。

これが債券の利回りの計算方法です。最初から所有しても、途中から所有しても全て発想は同じです。購入額に対していくらの利息(経済的利益)を受け取ったか? それを期間を考慮して計算するだけです。

また、計算方法から分かるように債券価格が下がると利回りが上昇し、債券価格が上がると利回りは低下します。100円で買うより99円で買った方が購入額も低くなり、最終的には差額の1円が利益になりますよね。99円ではなく98円だといかがでしょうか? 価格が下がるほど利回りが高まり、価格が上昇すると利回りが低下することもしっかりと覚えておいてください。

5-3 オーバーパー、アンダーパーとは
上記で紹介したように、発行時から必ず額面(100円)で発行されるわけではなく、さまざまな要因を考慮して101円や99円で発行する場合があります。100円をパーとして、100円より高い状況をオーバーパー、低い状況をアンダーパーといいます。


アンダーパー発行の場合、100円よりも低い価格で発行され、最終的には100円で償還されます。このような場合、利息収入以外の償還差益が期待できるため、利率よりも利回りの方が大きくなります。

6.初心者におすすめの債券投資とは?

額面(償還額)が100円であるにもかかわらず、発行価格は100円とは限らず、その後も発行体の状況、マーケットの状況次第で価格が変動するため、投資初心者にとってはやや難しく感じるかもしれません。よって、初心者におすすめの債券投資方法として「個人向け国債」が挙げられます。購入も1万円からで、価格の変動もありません。非常にシンプルで分かりやすいため、おすすめです。

ただし、個人に対して分かりやすい商品設計となっている分、金利水準は通常の国債よりもやや低くなります。そもそも超低金利の現状、日本の国債利回りは非常に低いため、通常の国債も個人向け国債も定期預金とほとんど変わらない水準です。よって、多少リスクを取れるということであれば高金利が期待できる外貨建て債券などもおすすめです。どの国がどのような債券を発行しているのか、一度調べてみてください。

7.債券投資は預貯金と株式とのつなぎ役

これまで見てきたように、債券は預貯金と株式の中間的な位置づけとなります。また、債券は株式とは一般的に逆の値動きをするといわれているため、株式と債券をバランスよく保有することでリスクを抑えた分散投資となりえます。サッカーでいうと、キーパーを中心としたディフェンスばかりでは点が取りにくい、かといって攻撃ばかりに力を入れているとたくさん失点をしてしまいます。そこでその中間的な存在であるミッドフィルダーが守備と攻撃のつなぎ役をしてくれますが、まさに債券も預貯金と株式のつなぎ役として期待できます。

利回りの計算など、やや複雑な点もありますが、何度か当コラムを読み直して理解に努めてみてください。あなたのバランスのよい投資に一役買ってくれるはずです。

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