妻が退職、退職金や年収があっても、自営業の夫の扶養にはすぐ入れる?
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Wallet+ユーザー様からいただいた「FPに聞きたいお金のこと」に、白浜がお答えします。今回は、正社員を辞めた妻Rさんからのご相談。退職後すぐに自営業の夫の扶養に入りたいけれど、退職金とそれまでの収入があってもすぐに入れるのか、また、収入が減った後の生活をどうするかについてです
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夫が自営業の妻30代女性Rさん。退職金があってもすぐに扶養に入れる?
ずっとフルタイム正社員で共働きでしたが、私は3月末で退職しました。退職金は67万円ほど。今までは夫婦合算で、月手取り60万円くらいで生活していました。夫は自営業経営者です。私も働く気はありますが、子供が小さいため今は扶養に入る範囲で働いていこうかと考えています。
しかし、退職金や3月末までの収入があるため、今年は扶養に入れるのかどうか、そして月収60万円での生活ができなくなるため、今後気を付けなければならない点などを教えていただきたいです。
扶養は、社会保険と税金で分けて考えます
退職後の扶養についてと、家計についてのご質問ですね。
3月に退職されているので、恐らく今は失業手当(雇用保険の基本手当)を受給されていると思います。正社員でお勤めだったので失業手当はしっかりした金額でしょうから、今は扶養に入られていない状況なのではと想像します。
それでは失業手当の受給後にRさんは扶養に入れるのかどうかから確認していくことにしましょう。
扶養を考える時は税金と社会保険を分けて考える必要があります。なぜならそれぞれ基準や考え方が違うからです。
夫が自営業(個人事業主)の場合は、社会保険の扶養には入れません
まずは、社会保険からみていきます。Rさんの夫が加入している社会保険の種類が分かりかねますので、ここでは一般的なケースを紹介していきます。
自営業であれば、恐らく加入されている社会保険は、
・健康保険→国民健康保険
・公的年金→国民年金
だと思います。
その場合、残念ながらRさんは扶養に入れません。
なぜなら、自営業の方が加入する国民健康保険や国民年金は、そもそも扶養という考え方がないからです。ですので、Rさん自身が社会保険に加入し保険料を納めることになります。
もし勤めていた会社の健康保険を任意継続されているのでしたら2年間はそちらに加入できますので、その後に国民健康保険となります。
Rさんの夫の事業が株式会社のような法人格をもつ会社でしたら、加入されている社会保険は、
・健康保険→協会けんぽ(全国健康保険協会)
・公的年金→厚生年金
だと思います。
そうなると、Rさんは要件を満たせば扶養に入ることができます。
扶養に入るための要件とは、今後の「収入の見込みが年130万円未満」であることです。
3月までの給与と退職金、失業保険を合わせると130万円以上だから扶養に入れないのでは、と誤解されることがありますが、そうではなく「収入の見込み」という部分がミソです。
失業保険の受給後、特に収入がないようでしたら見込み額は0円となり、夫の扶養に入ることができ、支出が抑えられます。
税金に関する扶養は、1月から12月までの収入で決まります。
次に、税金に関する扶養の取り扱いについてです。
Rさんが扶養に入ると、夫の所得から「配偶者控除、または、配偶者特別控除」を差し引くことができるようになり、結果、納める税金が安くなります。
扶養に入るための要件は、次のようになります。
■夫の合計所得金額が900万円以下の場合
・配偶者控除・・Rさんの合計所得金額が48万円以下
・配偶者特別控除・・Rさんの合計所得金額が48万円超~133万円以下
失業手当は計算に含めなくて良いので、1月~3月までの給与所得と退職所得のみで判断します。
合計所得金額が分かりにくいので、簡単に説明しておきます。
まず、Rさんの合計所得金額は、3月までの給与所得と退職所得の合計で求めます。
合計所得=給与所得+退職所得
それぞれの所得は次のように計算します。
給与所得=給与収入―給与所得控除
退職所得=退職金―退職所得控除
例えばRさんが、
・給与総額 90万円(1月~3月まで)
・退職金 67万円(勤続7年)
だったとします。
その場合の給与所得は、
(給与90万円)―(給与所得控除55万円)=35万円・・①
退職所得は、
{(退職金67万円)―(退職所得控除40万円×7年)}×1/2=0円・・②
つまり合計所得は、
①+②=35万円 < 48万円←配偶者控除を受ける時の合計所得の上限
となり配偶者控除の対象になることが分かります。Rさんの実際の金額に置き換えて計算してみてください。
「収入が減っただけ貯蓄ができない」ことをしっかり自覚する
今後の家計で気を付けることは、「生活費を見直さなければ、収入が減った分だけ貯蓄ができなくなる」ということをしっかり受け止めることです。
何気なくこれまでの生活を続けていると貯蓄をするどころか、これまで貯めた貯蓄がジリジリなくなっていくことにもなりかねません。
不愉快に感じられるかもしれません。でもなぜ、あえてこのような事を申し上げるかというと、同じようなケースで生活をあまり変えられず、何年もたってからご相談に来られるケースも少なくないからです。
あまり気負い過ぎることはありませんが、今がマネープランの節目になる大事な時ですので、改めて夫婦で将来のことを話し合い、今後の貯蓄目標を決めるなど計画的に進めていくことが大切です。
また、しばらく仕事をセーブするのでしたら、Rさんの夫が加入している死亡保障も確認しておきたいところです。もし万一のことがあった時の保障が不足するようでしたら、追加で保険に加入しカバーできるようにしておくと安心です。
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今回は、社会保険と税金の扶養を中心に回答させていただきました。状況の違いにより取り扱いが異なる場合もありますので、詳細は、社会保険労務士や税理士など専門家、各種機関に確認してください。
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