映画の世界のような「仕手」って?その大きすぎる存在【初心者株投資28話】
監修・ライター
一瞬夢見た銘柄は下がり続け、でも利確できず。そんな時によぎる「仕手」の存在
さて前回、突然値が上がり、「もしやテンバガーか!?」の夢を見せてもらった、鬼滅の刃関連銘柄でボロ株でもある「中外興業<1491>」のその後ですが、8/4につけた高値69円を最後にスルスルと下がり続け、これを書いている9/4の終値は、32円です。
私は20円で300株購入しておりますので、今もプラス3600円ではあるのですが、一度夢見てしまった景色が忘れられず、利確できないまま1カ月。
いや、だって絶対、まだまだ上がると思うんですよね、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の映画公開は10月だし…。
ただ前回の上がりは金の相場も好調だったという理由が、その後金が暴落したため株価も沈んでいったとの見方もあり。つまり「鬼滅は関係ないのでは?」との思いが無きにしもあらず。
いや、そもそも金も関係なく、「仕手」による大量購入での価格操作なのでは?なんて気持ちも。
しかし、「仕手」って。この連載でも何度か出してきましたし、株関係の話題を見ているとよく出てくる単語ではあるのですが、そもそも一体どんなもので、どんな影響があって、遭遇したらどう対応したらいいのか。いまいちよく分かってないので、今回は改めて「仕手」について勉強してみようと思います。
まるで映画の世界!作られる「急騰」に伸るか反るか!?
仕手とは、「巨額の投資資金を武器に銘柄の価格などを意図的に操作する団体」のこと。つまり、すっごくたくさんお金を持っている人たちがいて、その金額は株価を操作できちゃうほどで、それにより多くのお金を得ているなんて、映画の世界の話のようです。しかしそれが株取引の世界ではよくあることなんだそうで、びっくりです。
本来株価は、企業の業績やニュースなどによる「材料」の影響を受け、売り手と買い手の需要によって決まりますが、「仕手」によってターゲットにされた銘柄=「仕手株」にはそのような材料はなく、突然株価が上がるのだそうです。
大量の資金が投入される=大量の買い注文が入れば、株価が上がるのは想像できます。そして株価が急騰すれば注目もされ、仕手以外の投資家も集まってきて、株の人気が高まり、ますます株価が上がっていくという流れ。そして上がったところで保有した大量の株を売却、そうすると株価が下がる、皆も「これはヤバイ」と気づいて今度はどんどん下がる、下がり続けて最悪大暴落……。
こう書くと簡単なことのように思えますし、そんなものにだまされるなんて、と思うのですが、考えてみれば、私も銘柄検索で急上昇中の企業を探しています。なぜ上がってるんだろう、と理由を探しはしますが、それが果たして本当に「材料」なのか「仕手」による操作なのか。金だからなのか、鬼滅だからなのか、確約はありません。
しかも「仕手株」に選ばれがちな銘柄の特徴として挙げられるのが、株価の安い低位株やボロ株だそうで。確かに購入金額が低くて株を買い集めやすければ、株価操縦もしやすくなるでしょう。となると、やはりあれは仕手による急騰だったのか、金も鬼滅も関係なかったか……と、うなだれます。
時はコロナ禍、いつ回復するか分からない状況。ボロ株で価格を操作してもうけを出そう、と考えたとしてもおかしくないな、というところまで想像できました。
目指せ売り抜け!眺めているだけの私にサヨナラできるか?
しかし今回、私の場合は元々安値で購入していたので、特に損をしたわけではありません。なんなら値が上がったことで夢を見られましたし、69円で売っていたら+1万4700円でした。「ボロ株も上がることがある」というのは、高額な銘柄を買えない私としては希望でもあります。そう考えることで、「仕手」を無闇に怖がる必要もないのかなと思えてきました。
となると、今後どうするか。現状プラスになってるうちに利確するか、また次の光を待つか。
世の中には、仕手株にうまいこと乗っかって利益を得ることを目指す人もいるそうです。その場合は、高値を深追いせず、上昇中に売り抜けられるかが勝負の分かれ目になるのでしょう。私にそれができるのでしょうか。
でも私、どんどん上がっていくと、「どこまで行くんだろう」とワクワクしちゃうんです。だって、20円だったのが69円って。で、見届けたくなっちゃう。勝手に物語を楽しんじゃって、そのままズルズルと利確できずに、はや1カ月。いい加減、これはいかん!
仕手でもいい、もう金でも鬼滅でもなんでもいい。上がってくれ!そして次こそは、ここぞというところで利確して、売り抜ける!!と決意を新たにしたのでした。