夫の国民健康保険・国民年金が未納…どうすればいい?パート妻の相談
目次
給与から天引きされるため、普段は細かいところまでは意識することが少ない健康保険と年金の制度。今回の「FPに聞きたいお金のこと」のご相談は、国民健康保険と国民保険に関するご相談です。自営業の夫の国民保険が未納という状況を改善したいというお話です。
20代女性Hさんの相談
国民保険についての相談です。前職で加入していた私学共済制度が来年の3月には終了するため、4月から国民保険になります。調べていると、国民年金は保険料の他に世帯で国民年金税も納めないといけないと知りました。
私は現在パートタイマーの保育士で、夫は自営業です。夫は国民保険に未加入なのですが、私が国民保険に入るとそのことがばれてしまうのでしょうか・・・。
また、夫が自営業、妻がパートタイム勤務といった場合、出費ができるだけ少なくできる方法を教えてほしいです。
【1】「国民健康保険」と「国民年金」の制度について
会社に勤めていると、給与から天引きされるので細かいところまでは意識することが少ない健康保険と年金の制度。今回はご相談内容を二つに分けてお答えしていきたいと思います。
まず、Hさんのご相談内容に国民保険という表現がありますが、おそらく悩んでおられている内容は「国民健康保険」と「国民年金」の二つのことであろうかと思います。その前提に基づいて各制度を簡単に解説していきます。
国民健康保険
日本はすべての国民が何らかの保険制度に加入していることという国民皆保険制度をとっています(※外国籍の場合でも、条件によっては加入資格があり)。一般的に会社にお勤めの場合は健康保険、それ以外の方は国民健康保険という健康保険制度に加入することになります。この制度に加入していることで医療機関での支払いが3割負担で済んだり、入院時の高額療養費制度を利用することができたりします。
国民年金
20歳から60歳までの方は年金保険料を納める必要があります。年金制度は国民年金か厚生年金のどちらかになりますが、厳密に表すと3つに区分されます。少し難しくなりますが大事な部分です。
第1号被保険者⇒自営業者等
第2号被保険者⇒会社員・公務員
第3号被保険者⇒第2号被保険者の配偶者
相談者の夫は自営業ということで第1号被保険者=国民年金、妻のHさんは厚生年金の任意継続制度を活用している第2号被保険者である状態と推測されます。その上で任意継続制度は2年までになっているため、その後どうなるのか?ということだと思います。
【2】未納なのは国保?国民年金?それとも両方?
まず大前提になるのは、国民健康保険や国民年金は、監督官庁などの行政側で未払いは100%把握しています。そのためHさんの任意継続制度が終了するのがきっかけでバレるという認識は捨ててください。
国民健康保険が未払いな場合
未払いの場合はお住まいの自治体から支払いの督促状が届きます。それを無視していると銀行口座の差し押さえなどの行政措置が取られます。また支払いをしていない状態が続くと医療費を一時的に全額負担する必要が出てきます。いずれにしても、支払いについてお住まいの自治体に相談する必要があるでしょう。
国民年金が未払いの場合
長期で未納を続けた場合、どのようなことが起きるのでしょうか。例えば通常65歳以上でもらえる老齢年金が減額される、もしくはもらえなくなる可能性があり、病気やけがで障害が残った場合にもらえる障害者年金も給付されなくなります。付け加えて、死亡した際に遺族の生活を支える遺族年金ももらえなくなります。
また収入があるのに滞納している場合には、強制徴収により財産差し押さえをされる可能性もあります。長期で未納を続けると催促状が届き、最終催告状から2年以内には財産の差し押さえがある場合もあります。まずはお住まいの住所を管轄している年金事務所に相談しましょう。
国民年金税という税金はありません
質問のなかでご心配をされている国民年金税という税金は存在しません。おそらく国民健康保険の保険料を算定する際の所得割・均等割・世帯割などのことだと思います。
福岡市:https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/kokuho/hp/seido/06-02.html
上記の図は福岡市の例ですが、国民健康保険の保険料は自治体ごとに異なります。自治体ごとに独自の掛け率を設定して保険料が決まるので、お住まいの地域の保険料は自治体で確認してください。
また世帯の保険料を決めるのは世帯の所得と人数が関係しており、ご相談者の家庭で言えばHさんが国民健康保険に切り替えることで世帯の所得と加入人数が増えることになります。
【3】未納は100%バレている!滞納は必ず行政に相談を
ご主人の件に関しては、未納が100%バレていますので、いつどうやって支払うか行政側と相談するしかありません。Hさんに関しては、まず今のパート先で社会保険に加入できるかどうかを相談してください。ご主人が自営のままであれば、「扶養の範囲で働く会社員の妻」として控除を受けることもできません。夫の自営業を法人化して社会保険適応すれば妻は扶養範囲で働くということも将来的には選択肢になるかもしれませんが、すぐには難しいでしょう。
Hさんのお勤め先で社会保険に加入することができれば、問題はご主人の未納のみとなり、Hさんの現状としては大きな状況の変化はないかもしれません。社会保険の加入が難しければ、国民健康保険と国民年金に加入することになります。社会保険のある職場に転職するということも検討されるとよいでしょう。
いずれにしても未払い分があるとすれば無視することなく、自治体や年金事務所に相談されることをおすすめします。
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