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広がるクレジットカードでの積立投資、どのカードを選べばいい?

経済とお金のはなし 山下 耕太郎

広がるクレジットカードでの積立投資、どのカードを選べばいい?

【画像出典元】「Julia Tim/Shutterstock.com」

2019年に話題になった「老後資金2000万円問題」で、資産運用に関心を持つ若年層が増えています。そして、そうした若年層の投資の入り口として存在感を高めているのが、クレジットカードでの積立投資です。

規模はまだ小さいものの、将来の有力な顧客につながるとして証券会社も積極的に取り組み始めています。この記事では、クレジットカードでの積立投資にはどのようなメリットがあるのか、どのカードを選べばいいのかについて解説します。

増えるクレジットカードでの積立投資

通常、株式や債券の購入にはクレジットカードは使えません。しかし、投資信託の積立投資では、クレジットカード決済が認められています。クレジットカード決済の最大のメリットはポイントがつくことです。

決済金額の1%のポイントがつくサービスもあり、現金で積立投資をするよりもお得なのです。さらにクレジットカードの情報を利用すれば口座開設がしやすく、証券会社に入金する手間もかかりません。

クレジットカードの市場規模は拡大しています。矢野経済研究所の調査によると、2019年度のクレジットカードの市場規模は約70兆円まで拡大。そして、2020年度はコロナ禍によって落ちこみを見せるものの、2021年度からは拡大基調となり、2025年には約109兆円に拡大すると予測しています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により、現金よりも衛生的との意識からキャッシュレス決済が広がっています。二次元コードや電子マネーの普及も進みましたが、やはりクレジットカードの存在は大きくなっているのです。

そして、投資の世界でもクレジットカードの利用は広がっています。クレジットカードでの投資サービスは以下の通りです(2021年3月時点)。

クレジットカードでの投資は、金融庁の規制緩和で実現しました。ただし、「月間10万円までの積立投資」が条件になっています。2018年8月に最初にサービスを始めたのは、商業施設を運営する丸井グループ。子会社のtsumiki証券を設立してマルイグループが発行する「エポスカード」での投資信託の積立投資を可能にしました。

そして2018年10月に楽天証券が楽天カードを利用した投資信託の積立サービスを開始。2019年11月にはクレディセゾンが証券会社のスマートプラスと提携し、UCカードやセゾンカードでの投資を可能にする「セゾンポケット」を開始しました。

ネット証券最大手のSBI証券もクレジットカードでの積立投資に参入

クレジットカードでの積立投資には、ネット証券最大手のSBI証券も参入しています。2020年7月に高島屋ファイナンシャル・パートナーズと提携し、タカシマヤカードで投資信託を購入できるようになりました。

またSBI証券は、2021年6月30日に三井住友カードのクレジットカードで投資信託の積立投資ができるサービスを始めます。SBI証券の「投信積立サービス」で、三井住友カードが発行するクレジットカードで決済が可能(上限月5万円)になります。また、決済金額の0.5%分のポイントがもらえるのです。ポイントがつくので、現金で積立投資をするよりもお得になります。

クレジットカードでの積立投資で圧倒的にリードする楽天証券

トロフィーに手をのばす人々
【画像出典元】「stock.adobe.com/Blue Planet Studio」

クレジットカードでの積立投資で最も実績があるのは楽天証券です。楽天証券の2020年の口座開設数は133万件 で、ネット証券最大手のSBI証券(約80万件)を大きく上回っています。

30代以下の割合が6.5割、投資初心者の割合が7割と若年層や投資初心者を取り込んでいるのが特徴です。楽天カードの利用率 も高く、投資信託の積立投資の約70%がクレジットカードでの決済となっているのです。

クレジットカードで積立投資をするメリット

クレジットカードでの積立投資は、口座開設がしやすいというメリットがあります。クレジットカード会社と提携した証券会社は、カード会社に登録されている情報を利用できるので、利用者は名前や住所、生年月日を入力する手間が省けます。

本人確認書類とマイナンバーカードがあれば、スマホで撮影して送信するだけで口座開設できるので、早ければ数分で口座開設の申し込みが完了するのです。

また、ポイントがつくというのも大きなメリット。エポスカードでは年1回、積立額の0.1~0.5%相当のエポスポイントを還元。楽天カードでは毎月の積立額に対して1%相当の楽天ポイントが還元されます。

クレジットカードでの積立投資では日経平均株価などの指数に連動するインデックスファンドが多く、保有コストである信託報酬が1%未満に設定されているものがほとんどです。

そして、ポイント還元によりコスト負担がさらに減るので、投資信託の運用パフォーマンスを上げる効果があるのです。

積立投資に利用するカードの選び方

クレジットカードを持つ男女
【画像出典元】「stock.adobe.com/zinkevych」

三井住友カードのサービスが始まれば、クレジットカードで投信積立をできるカードは6種類になります。自分がよく使っているカードを選ぶのか、それともポイント還元の高いカードを選ぶのかは人それぞれですが、少しでもおトクになるサービスを選ぶようにしましょう。

また、投資信託の銘柄を選ぶのが大変だという人は、商品のラインナップが絞られているエポスカード(tsumiki証券:投信4本)やセゾンカード、UCカード(スマートプラス:投信2本)を選ぶといいでしょう。

一方、投資経験が豊富で多くのファンドの中から選びたいという人は、楽天カード(楽天証券:投信約2,500本)、タカシマヤカード(SBI証券:投信約2,500本)を選択するのがオススメです。

監修・ライター
金融メディアライター 山下耕太郎