こんにちは、ライター／ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

皆さんはこの現実世界こそが、自分の生きる世界だと思っていませんか？

突然何を言うのかと思われるかもしれませんが、この現実世界ではない仮想空間に私たち人間が生きるもうひとつの世界が作られようとしています。
それが「メタバース」です。

メタバースとは一体どんな技術で、どんなことができるのか、わかりやすく解説します。

インターネット上に存在するもうひとつの世界「メタバース」

私たちが生活をしている中で、食事をし、仕事に行き、誰かの顔を見て話しているこの現実世界に対して、インターネット上に構築されるもうひとつの世界のことを「メタバース(metaverse)」といいます。これは「メタ（meta＝超）」と「ユニバース(universe＝宇宙)」の組み合わせからなる造語で、日本語では「仮想空間」と呼びます。

メタバース上では、さすがに食事をすることはできませんが、誰かと話したり、ゲームをしたり、仕事をしたりすることができます。ちょうどここ数年で一気に浸透した、オンライン飲み会やリモートワークをイメージすると分かりやすいかもしれませんね。あとは、SNSでも似たようなことができていたかもしれません。

しかし、メタバース上では、アバターと呼ばれる自分の分身を登場させることで、三次元的でよりリアルな交流・経済活動が可能になります。そこでは、現実世界の自分と同じ人格で生きることもできますし、全く別人格として現実世界とは違った生活を送ることもできます。

FacebookからMetaへ、SNS大手の新しい挑戦

メタバースという言葉は、2021年10月にSNS大手のFacebookが社名を「Meta（メタ）」へ変更したことでも大きな話題を呼びました。同社はメタバース事業を今後の事業の軸に据え、新しい挑戦を行っています。

Meta のHPトップに記載されたキャッチコピーは『つながりと共に進化する』。
『ソーシャルの場となるメタバース』と題した項目では、『メタバースの3D空間では、人々との交流、学習、コラボレーション、遊びが可能になります。』とあります。

具体的に行っている取り組みの中には、仮想空間上でも物に触れたり持ったりする感覚を得られる「触覚手袋」 の研究・開発、バーチャル空間上でのコミュニケーションやビジネスを円滑なものにする「Horizon Workrooms」 と呼ばれるプラットフォームの構築に取り組んでいます。

MetaはSNS事業のノウハウを活かしたプラットフォームの構築・改善を行いながら、メタバースの世界をよりリアルなものにしてくれるデバイスの開発を行っています。いずれは現実世界とメタバースの垣根がなくなり、両方の世界を当たり前に移動しながら暮らす時代がやってくるのかもしれません。

時代が追いついた？メタバースの先駆けセカンドライフ

ここまでメタバースを最新の技術のように紹介してきましたが、実は2003年に「Second Life」という、メタバースの先駆けのようなプラットフォームが登場しています。

そこでは服を買ってアバターに着せたり、他のユーザーと冒険に出かけたり、土地を買ったり、家を建てたり、他のユーザーと結婚したりといった、文字通り第二の人生を送ることができます。
現在ではこうした機能に加えて、現実世界の試みとリンクさせた展示会も実施されているようです 。

セカンドライフ上では仮想通貨「リンデンドル」が流通しており、ゲーム内で手に入るコンテンツをユーザー間で取引することも行われています。

もっと巨大でもっと有名に、メタバースの未来

メタバースの利用やそこで繰り広げられる経済活動は、個人間だけでなく企業間でも進んでおり、その規模は巨大なものになりつつあります。
カナダの投資会社Tokens.comを例にあげると、同社はVRのプラットフォーム「Decentraland」内にあるFashion Street地区の116区画、約566㎡の土地を約2億8000万円で購入しました。
ほかにもメタバース・トークンと呼ばれる、メタバースでも用いることができる仮想通貨は高騰傾向にあり、スポーツ用品大手のアディダスも「adiVerse」と呼ばれる仮想通貨を発表しています。仮想通貨とメタバースの相性は良く、今後も密接な関係を築いていくでしょう。

市場規模も上昇していくとみられており、2020年には4787億ドル(約54兆円)のだった市場が2024年には7833億ドル(約89兆円)になると予測されています。 

今後は、メタバースをよりリアルかつ簡単に楽しむための技術革新が普及に一役買うでしょうし、大手企業や有名人らの参入が一般ユーザーの心理的なハードルを取り払う可能性があるでしょう。

そこに法整備が追い付くかどうか、メタバース事業を提供する企業がユーザーのセキュリティを守れるかどうかが気になるところではありますが、新しいイノベーションを阻害することのない絶妙な舵取りが求められそうです。

もしかすると、10年も経たないうちに、「現実世界で生きるよりも、メタバースで生きている方が楽しい」「メタバースの方が自分の能力を発揮できる」そんな時代がやって来るのかもしれませんね。
私も今のうちから、メタバースではどんな人生を送りたいか考えておこうと思います。