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正社員と契約社員の違いって?仕事を決める前に知るべきこと

ためる 中村 賢司

正社員と契約社員の違いって?仕事を決める前に知るべきこと

【画像出典元】「Ezume Images/Shutterstock.com」

これから希望の会社に入社できるとしたら、あなたは正社員と契約社員のどちらで応募したいですか。正社員ならば安定した収入や、キャリアアップ、充実した福利厚生を使えるなどメリットが多いように見えますが、契約社員として働くほうが自分のライフスタイルに合っている場合もあります。今回は正社員と契約社員の働き方の違いや、それぞれの賃金の平均などを見ていきましょう。

正社員と契約社員の違いは

まず大きな違いは雇用期間の違いです。契約社員は雇用期間が決まっている「有期雇用」で、雇用期間が終われば雇用契約も終了します。引き続き同じ企業で働きたくても会社が契約を更新してくれなければ次の日からは職を失うこととなります。

一方、正社員は雇用期間が決まっていない「無期雇用」です。本人自ら退職を希望するか会社から解雇されない限り定年まで働くことができます。よって一度入社すると収入が安定するため生活設計も立てやすくなります。

次に給与制度や福利厚生などの待遇にも違いがあります。契約社員は契約期間の給与が決まっているので、仕事の成果に応じて昇給することは無い会社が多いでしょう。さらに会社の業績が良い場合にもらえる決算賞与や業績給なども支給されないケースが多いようです。

社会保険制度には正社員・契約社員どちらも加入できますが、契約社員はキャリアアップのための研修制度や社宅制度を利用できないなど、福利厚生には差があります。

また、働き方や仕事の責任にも違いがあります。契約社員には管理職や役員への昇格や昇給が無いケースが一般的です。しかし契約の更新時に、それまでの仕事ぶりで昇給や昇格のチャンスがある場合もあります。一方で、正社員に比べると仕事内容が限定されている、責任の範囲が小さい、などの違いがあります。

正社員・契約社員それぞれのメリット・デメリット

冒頭で述べたように正社員として働く方がメリットは多いように見えますが、契約社員の方がご自身のライフスタイルに合っているという場合もあります。そこでこの章では、正社員、契約社員、それぞれのメリット・デメリットについて確認してみましょう。

正社員のメリット・デメリット

正社員のメリット
・収入が安定している
・年次や仕事の成果に応じた昇給、昇格がある
・業績給や賞与が期待できる
・社内研修制度や教育訓練制度などキャリアアップ制度がある
・定年退職金がある(退職金規定が無い企業もある)

正社員のデメリット
・会社の人事制度に従って部署の異動や転勤があり、業務内容や勤務地を自分で選べない
・就業規則に残業や休日出勤が明記されている場合、会社から指示があればプライベートの時間を割くこともある
・契約社員・パート・アルバイトよりも仕事の責任が重い

契約社員のメリット・デメリット

契約社員のメリット
・正社員よりも仕事の責任の範囲が小さい
・社会保険に加入できる(条件あり)
・正社員同様、有給休暇を利用できる
・正社員では採用が難しい大企業でも比較的採用が多い
・契約の業務範囲次第では、より専門性の高い仕事ができる
・副業を認められる場合が多く、多様な働き方ができる
・勤務地や勤務時間に制限があっても、働き先が比較的多い
・契約満了の都度、新しい会社で働くなど環境を変えることができる

契約社員のデメリット
・有期雇用のため雇用や収入が安定しない
・賞与や退職金の制度がないことが一般的
・雇用期間中の給与は契約で決まっているため、昇給や昇格が期待できない
・社内研修制度や教育訓練制度などのキャリアアップ制度を利用できないケースがある
・福利厚生が正社員よりも充実していない
・住宅ローンなどのローン審査が厳しめ

一般に正社員雇用の方がメリットが多いイメージですが、こうしてメリットとデメリットを確認すると、契約社員で働くことは、仕事以外のプライベートを優先させたり、さまざまな会社で仕事を経験できてスキルアップに繋がるなどメリットを感じる方もいるのではないでしょうか。

契約社員の契約が終了したらどうなる?

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【画像出典元】「stock.adobe.com/LIGHTFIELD STUDIOS」

契約社員は、雇用期間が定められている有期雇用のため、1年や2年などの契約期間が決められています。この契約期間が終了すると雇用期間も満了となり、契約を更新するか次の仕事を探さなければいけません。

契約を更新する場合は、企業と労働者が合意することで継続して働くことができます。ただし同じ職場や同じ仕事内容で契約を更新できるとは限らないので、契約更新時にはよく確認するようにしましょう。

企業側の都合により契約が更新されないことを「雇止め」といいます。この場合、次の仕事を探す必要があります。

契約社員で働いている間、とても頑張って企業にも必要な人材と認められていても、企業業績が悪い、景気が低迷しているなどの理由で契約が更新されないこともありますので、契約社員は立場が弱いといえます。

しかし一方で、企業側から契約更新を打診されても労働者側で更新するかしないかを判断することもできます。仕事内容や人間関係などさまざまな理由で契約を更新しないことを選べるのも契約社員の魅力ともいえます。

5年ルールも確認を

上記の他に、有期雇用から無期雇用へ雇用期間を転換できる「5年ルール」があります。これは契約社員の雇止めを防ぐため、2013年4月に労働契約法が改正されてできたルールです。

この5年ルールは、「契約社員として5年以上同じ会社で働いた場合、企業規模に関係なく次の契約更新時に、期間の定めのない無期雇用に転換しなければならない」という制度です。このルールにより、契約社員は契約満了に伴う雇止めに不安を抱えることなく継続して長く勤務することができます。

例えば1年契約の有期雇用で働いている契約社員の場合は5回目の契約更新時に、2年契約の有期雇用の場合は3回目の契約更新時に、この権利が発生します。

所定の要件とは

です。例えば契約期間が6年以上ある契約社員の場合は、5年が経過してもその時点では権利が発生せず、2回目の更新時にこの5年ルールが適用となります。

契約を終了する場合は、次の仕事を探すことになります。仕事を探している間は無収入になりますが、雇用保険に加入していた場合は「失業手当」が支給されます。ただし、ハローワークへ行って求職活動をしていることを証明しなければならなかったり、雇用保険の加入期間が過去2年間で通算12カ月以上といった条件があります。ご自身の条件を確認してみてください。

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