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住宅ローンの繰り上げ返済をしていい人といけない人、その理由は? (2ページ目)

かりる 内山 貴博

1つの節目は住宅ローン減税終了後

繰り上げ返済を行う最も良いタイミングの1つは「住宅ローン減税」が終わってからです。住宅ローン減税はローンを組んだ年によって控除率や期間等が異なりますが、通常、ローン残高の1%が10年間にわたり税額控除されます。なお、2022年より控除率が0.7%に引き下げられました。

例えば年末時点で2000万円の残高があれば所得税・住民税の負担が20万円も減るのです。非常に大きな減税効果であるため、住宅ローン減税期間中はお金を貯めることを優先して、ローン減税が終了した後に繰り上げ返済を行っていくというのも賢明なプランとなります。

繰り上げ返済を行うなら、利息軽減効果の大きい「返済期間短縮型」が良い?

返済期間を短縮する方が利息軽減効果が大きいため、「繰り上げ返済を行うなら返済期間短縮型」と判断するのは正しいでしょうか?いえ、「返済額軽減型」にするメリットもあるので、利息軽減効果だけで判断しないでください。

例えば、「家を買ってから生活がギリギリ。30年以上のローンを組んで老後が心配」こういった声をよく聞きます。夏・冬の賞与などを繰り上げ返済に充てて、精神的にも楽になりたい、少しでも多く利息負担を減らしたいという気持ちもよく分かります。

ただし、利息軽減効果では劣るものの「返済額軽減型」にすることで月々のローン返済額が少なくなることの方が、家計にとってプラスに働くケースもありそうです。

例えば、月5000円返済額が軽減されれば、その分、iDeCoに加入する、または掛金を増額することで老後資産づくりを行うことができます。iDeCoに限らず、投資信託や外貨預金、純金積立など、気になる投資商品があっても家計収支に余裕がないため実践できていないという人もいるでしょう。

その時過ごす「時間」の価値にも目を向けて

投資は「分散投資」「長期投資」が原則です。いくつかの投資対象に分散させて長期間運用することで大きな成果を得やすいのです。よって、「返済額軽減型」の繰り上げ返済を行うことで月々余裕が生まれた分は積立投資に回すといった考え方もできます。

「時間」に目を向けることも忘れないでください。住宅を購入して住環境が良くなったとしても、月々のローン返済で家計に余裕がなく、家族で外食や旅行を楽しむ機会がすっかり減ってしまったというケースもあります。その間に子供はどんどん大きくなり、気付けば部活動や友人との時間を優先するようになり、家族全員で過ごす時間が減ってしまったということにもなりかねません。

子供がいない場合も同様です。時間は日々流れており、私たちは1つ1つ年齢を重ねていきます。今しかできないこともたくさんあります。「月々の返済額が減ることで余裕が生まれたので習い事を1つはじめたい。」こんな考え方も素敵ですよね。

家計、収支、ライフプラン、全体のバランスを大切に

HOUSE and MONEY
【画像出典元】「stock.adobe.com/tamayura39」

ここまで述べてきたことをまとめると以下のようになります。

皆さんは一度はオセロゲームをしたことがあるのではないでしょうか?白と黒の石を使い、相手の色を挟むと自分の色に変わるため、ボード上を自分の色が増えるようにと必死に相手の色をひっくり返していると・・・終盤、角を取られ、一気に相手の色が多くなり結局負けてしまう。そんな経験はありませんか?

オセロゲームは住宅ローンの繰り上げ返済によく似ている気がします。目先の枚数ばかりにこだわらず、相手の様子、全体の流れをゆっくり捉えながら落ち着いて対応していくことが大切です。

「繰り上げて利息の負担を減らす」ということも大切ですが、そればかりに気を取られていると思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。しっかり先を見据えながら上手に繰り上げ返済を行ってください。

住宅ローンの繰り上げ返済に関するQ&A

Q.期間短縮型の繰り上げ返済を行い、ローンの残り期間が10年未満になっても住宅ローン控除は適用できますか?

A.償還期間で10年以上あれば大丈夫です。住宅ローン控除は10年以上のローン期間が条件ですが、この10年は借入当初から返済までの期間を指します。よって、期間短縮型の繰り上げ返済を行い、残りの期間が10年未満になっても当初から10年以上あれば引き続き住宅ローン控除を適用することはできます。

Q.全期間固定金利の住宅ローンですが、繰り上げ返済をしてもよいですか?

A.一般的に「変動金利+繰り上げ返済」が相性が良いとされています。変動金利の場合、将来金利が上昇する可能性があるため、低い金利で借りて積極的に繰り上げていくというプランです。「固定金利+繰り上げ返済」はミスマッチという指摘もありますが、将来金利が上昇しないという安心感を得ながらも余裕があれば繰り上げ返済をしたいという考え方は決して間違いではありません。ぜひ検討してください。

 

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