家賃滞納すると強制退去に!?そのリスクと回避方法は?
毎月支払わなければならない家賃。さまざまな理由で家賃を滞納してしまったら、借りていた部屋からの強制退去を命じられる可能性があります。強制退去以外にも家賃滞納にはさまざまなリスクがあります。
今回は、家賃滞納した際に起こりうるリスクだけでなく、リスクを回避するための方法などについて詳しく解説します。
家賃滞納をしたら強制退去や給料の差し押さえも
家賃を滞納したら、どうなるのでしょうか。想定されるリスクについて説明します。
強制退去させられる
家賃滞納で発生するリスクとして代表的なものが「強制退去」です。ただし、すぐに明け渡しを命じられるわけではありません。まず、電話や手紙で支払いの督促があり、それでも長期間に渡り家賃を滞納したり、連絡を無視したりすると契約解除通知が送付されます。
そのまま放置すれば、明け渡し請求の裁判が行われて、裁判所を通して立ち退きの催促が届き、強制退去という流れになります。したがって、滞納から強制退去までは3カ月~半年程度かかる場合が多いようです。
給料・家財などの財産を差し押さえられる
強制退去の命令と共に、滞納金を支払うよう裁判所から通知されている場合は、財産を差し押さえられることもあります。給与だけでなく、家財や金券など部屋の中にある換金できるものは差し押さえの対象になります。
連帯保証人へ支払の督促が行われる
賃貸契約をする際、賃貸契約書に署名した連帯保証人は、借主と同様に家賃の支払い義務があります。そのため、家賃を滞納すると連帯保証人にも支払いの督促が行われます。財産の差し押さえは連帯保証人まで及ぶ場合もあります。
遅延損害金が発生する
遅延損害金とは、約束の期日までに家賃を支払わなかったとき、一定の割合で発生する加算金のことです。賃貸契約書に遅延損害金の割合が記載されていない場合でも、5%または6%の割合で請求されます。遅延損害金は支払い期日の翌日から発生し、家賃を支払うまでの日数分が加算されます。
リスク回避のための方法
さまざまなリスクがある家賃滞納ですが、どうしても支払えないという状況に陥る可能性もあるでしょう。少しでも回避する方法を紹介します。
大家さんへ家賃が支払えないことを連絡
大きな出費が続くなどで、家賃を支払えないということが分かったら、できるだけ早く大家さんに連絡し、謝罪すると同時に支払いについて相談してみましょう。払えない理由や、いつなら払えるかなどを説明し、家賃を支払う気持ちがあることを伝えれば、支払いを延期してもらえることもあります。全額が払えないのであれば分割払いを提案してみるのもいいでしょう。
何の連絡もなく滞納すると大家さんとの信頼関係が崩れてしまい、その後の督促や立ち退き命令などの手続きへの進み方にも影響してしまいます。
住宅救援給付制度を利用
離職や廃業など、経済的な困窮が家賃滞納の理由であれば、「住宅救援給付制度」を利用できるかもしれません。住宅救援給付制度は、住む場所を失う恐れがある離職者を救済する制度です。受給には要件があるので、早めに自治体の福祉課に問い合わせてみましょう。
お金を借りて家賃を支払う
一時的にお金を借りて家賃を支払う方法も考えてみましょう。滞納したときのリスクを考えると、親族に頼ったり、消費者金融などで短期的にお金を借りた方がリスクを軽減できる場合もあります。人間関係が壊れたり、多重債務に陥ったりする可能性もあるので、借りるお金は最低限にし、早めに返せるよう計画を立てましょう。
生活保護を受ける
離職などで家賃だけでなく生活自体の困窮が長期に渡りそうな場合は、生活保護の受給も検討しましょう。援助してくれる人がいない、病気やケガで働けないなどの要件はありますが、解決の糸口になる可能性があります。
滞納した家賃は債務整理で解決できる
家賃を滞納して支払いの目途が立たない場合は、債務整理で解決することもできます。債務整理とは家賃滞納分の総額を減らす手続きで、大きく3つの種類があります。
返済額を調整する「任意整理」
毎月の返済額を調整し、無理なく支払うことを目指した方法です。滞納した家賃分を3~5年に分割し、毎月少しずつ返済していきます。任意整理が始まると、遅延損害金の支払いはなくなり、大家さんからの支払い催促も止められます。
滞納家賃の総額を減額する「個人再生」
滞納した家賃を減額して完済を目指す方法です。裁判所を通して行われるため、任意整理より時間がかかります。最大90%減額でき、残りを3~5年かけて返済していきます。
一定以上の返済義務が免除される「自己破産」
生活に必要な最低限の財産以外をすべて換金して返済することで、残りの返済義務を免除してもらう方法です。裁判所に申し立てて手続きを行いますが、デメリットも大きいので影響を十分に考えて選択する必要があります。
家賃滞納分は債務整理できるが退去を命じられる
家賃滞納分を債務整理することで、お金の問題は解決できますが、立ち退きを請求される可能性が高くなるでしょう。債務整理する以上、その後の家賃の支払いも難しくなることが想定できるため、債務整理の通知を行った時点で退去を命じられるのです。債務整理を検討する際は、退去の可能性も考慮しておきましょう。
住まいだけは失いたくないという場合は、家賃以外の借金を債務整理し、家賃だけはきちんと支払うことで退去を免れる方法もあります。
実は家賃の滞納にも時効がある
滞納した家賃は借金と同じ扱いになります。そのため一般的な借金と同様に「時効」があります。時効の条件は以下の2つです。
- 最後の支払いから5年以上経過している
- 大家が督促や差し押さえなど回収手続きを行っていない
さらに、大家さんに対して「時効の援用」という申請をすることで時効が成立します。
生活の基本となる住居の確保はとても重要です。家賃の支払いはさまざまな支払いの中でも最優先で行わなければなりません。それでも、どうしても支払いが難しくなり、家賃を滞納する可能性が出てきたら、できるだけ早く連帯保証人や大家さんへ連絡し、相談することが重要です。
継続した支払いが難しい場合は、引っ越しや公的な補助を検討することも有効です。暮らしの基盤を失う前に、日々のやりくりには十分注意して過ごしましょう。