電気代の値上げどのくらい?節約の鍵となる2つの見直しポイントは
電気代の値上げが続いており、2023年5月以降には更なる値上げが行われる可能性もあります。何もしないと家計が苦しくなる一方ですが、電気代はちょっとした工夫で節約することもできます。
今回は、値上がりが続く電気代事情に触れつつ、電気代高騰に備えて、家庭でできる対策をご紹介します。
この春どのくらい電気代が値上げされるの?
電気代は2021年の2月頃より上昇が続いています。一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット」の電力市場データをみると、2021年2月(19.43kWh)と2022年10月(29.25kWh)では、電気代が「151%」も高騰していることが分かります。
その上で、電力大手7社は電気料金の更なる値上げを国に申請しています。2023年5月以降に再び値上げが行われる予定です。
“電気料金の原価で大きなウエートを占める燃料費の増加を抑え、家計への影響を可能な限り小さくするのが狙い。厳格に審査する期間を確保するため、引き上げ時期は5月以降にずれ込む方向だ。”
“各社は値上げ申請の根拠となる燃料の輸入価格について、申請直前の3カ月平均で算定した。昨年11月に申請した東北など5電力は同7~9月、今年1月に申請した東京と北海道はそれぞれ昨年8~10月、同9~11月の平均値を使った。”
時事ドットコム「電気料金、値上げ幅圧縮へ 経産省、燃料費低下を反映 引き上げ5月以降に」より引用
2023年9月までは国からの補助も
一方で、良いニュースもあります。電気代やガス代高騰への対策として「電気・ガス価格激変緩和対策事業」とよばれる補助が2023年1月からスタートしました。
「電気・ガス価格激変緩和対策事業」によって、一般家庭の電気料金に対し、2023年1月~8月は7円/kWh、2023年9月は3.5円/kWh補助されます。例えば一般家庭で月200kWhの電気を利用した場合、2023年1~8月は月1400円、2023年9月は月700円が補助される計算となります。この補助制度はとくに申請は不要であり、電気代から補助分が自動的に差し引かれます。
なお、補助は2023年9月使用分まで予定されており、10月以降延長されるかはまだ未定です。
節約をする上で電気代の仕組みを知ろう
電気代の値上げが続く中、少しでも節約を図りたいところですが、まず電気代の仕組みを理解することが大切です。
電気代は、「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つに分けられます。
電気代=「基本料金」+「電力量料金」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」
基本料金:毎月発生する固定料金、契約アンペア数によって決まる
電力量料金:電気の使用量によって金額が変動する従量課金型の料金
再生可能エネルギー発電促進賦課金:太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーで発電した電気を買取る際に発生する料金。経済産業大臣が毎年単価を決定しており、全国一律
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は国で一律に決めていますので変えることはできません。節約の余地があるのは、「基本料金」と「電力量料金」の2つです。では、この2つを節約するにはどうしたらいいのでしょう。
基本料金の節約方法
「契約アンペア数」を見直す
基本料金を節約したい場合、まず見直すべきは「契約アンペア数」です。
通常、基本料金は契約アンペア数の大小によって決まり、10~60A程度の範囲で選択できます。目安として1~2人世帯の場合は30A、大家族やオール電化住宅などでは60Aを使うことが多いです。
契約アンペア数は変更可能ですので、低いアンペア数に変えることで基本料金を抑えることができます。「5A生活」や「10A生活」のようなワードも節約ネタとして度々話題になります。
ただし、契約アンペア数というのは同時に使用できる電気の量を意味しますので、契約アンペア数を低くしすぎるとブレーカーがすぐに落ちてしまいます。例えば、一般的に冷蔵庫は2.5A、照明は2A、電子レンジは15A程度です。仮に5Aや10A契約にすると同時に使える電化製品が限られてくる点には注意が必要です。
基本料金0円の電力会社へ乗り換える方法もあり
新電力系の電気会社などでは、基本料金が0円のプランが用意されていることも少なくありません。たとえば『Looopでんき』の「おうちプラン」では、基本料金を0円とし電力量料金を28.8円(税込)/ kWhとしています。
基本料金0円のプランで注意しておきたいのは、電力量料金が割高に設定されていることが多い点です。それでも電気をあまり使わない家庭であれば、総支払額でみると安上がりになることがあります。
電力量料金の節約方法
電力量料金は、電気の使用量によって金額が変動します。節約する上では、電気の無駄使いを減らし、使用量そのものを減らしていくことがポイントとなります。
待機電力を減らす
電化製品は使用していない場合にもわずかながら電力を消費しており、「待機電力」と呼ばれます。
待機電力は微力ではありますが1年間で換算するとそれなりの出費額となります。資源エネルギー庁の報告によると、ひと世帯あたりの家庭の年間の待機電力は228kWhと推計されており、27円/kWh(一般的な電力単価)で計算すると、年間で6156円に及びます。
待機電力は、電化製品の電源をオフにした後に「コンセントを抜く」ことでゼロにできます。コンセントを抜いておけば電化製品の誤作動なども防げますので、使用しない場合は都度抜いておきましょう。
エアコンの節電
エアコンは電化製品の中でも特に消費電力が大きいため、エアコンの使い方を見直すことが電力量料金の節約を左右します。資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド春夏秋冬」によれば、暖房の設定温度を21℃から20℃に1度下げることで、年間約1430円の節約になると推計されています。
下記のような取り組みを行い、エアコンの節電を図りましょう。
・設定温度はできるだけ外気温と近い温度にする(暖房時は20℃、冷房時は28℃が望ましい)
・風向きは、暖房時は「下向き」、冷房時は「水平もしくは上向き」にする
・自動運転を活用する
・フィルターをこまめに掃除する(2週間に1回のペースがベスト)
など
契約プランの見直し
電力量料金のプランとして、「夜間や早朝に料金が安くなるプラン」など、時間帯別の割引プランを用意している電力会社もあります。
そのような時間帯割引のプランに変更し、電気を多く使う作業は割引時間帯に行うようにすることで、電力量料金を根本的に減らすことができます。
国や各自治体の補助金がある場合も
電力需給はきびしい状況をむかえており、私たちも、できるだけ電気を効率よく使うことが求められています。そのため国や自治体では、節電を行った人に対し補助金やインセンティブを与える制度を用意しています。
政府の節電プログラム
経済産業省が2022年10月に発表した「節電プログラム促進事業」に参加し節電を行うことで、補助金が得られます。
・一定の電力使用量を削減した場合、1000円/月の補助
・電力会社が指定する日時に、一定の基準より電力使用量を削減した場合、削減量を評価し、対価を支払う(警報時40円/kWh、その他20円/kWh上限での同額補助)
自治体の節電プログラム
自治体でも、節電を行った人に対し補助金やインセンティブを与える制度を用意しています。
例:
石川県金沢市「令和4年度節電エコポイント事業」・・・前年同期間より電力使用量を削減した場合、削減率に応じて最大2000ポイントがもらえる。貯まったポイントは市内の店舗で利用可能。
兵庫県神戸市「イイことぐるぐる」・・・専用アプリをダウンロードし、エコアクションを行うとポイントがもらえる。毎月の電気・ガスの使用量を報告で50ポイント、つめかえパックの利用で50ポイントなどエコアクションは多岐に及ぶ。貯まったポイントは120種類以上の電子ポイントに交換可能。
以上、電気代の値上げと節約について解説しました。
電気代はすでにだいぶ値上げされていますが、今後さらに値上がりする恐れもあります。今までと同じ生活をしていると、驚くほどの電気代が請求される可能性がありますので、節約意識を高め、無駄な電気を使わない暮らしを確立していきましょう。