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今年はハードランディングに!?株価大幅下落したらどう対処する?

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

今年はハードランディングに!?株価大幅下落したらどう対処する?

2023年に入って以降、世界経済の動きがあまりよくありません。ここまで、コロナ禍においても経済を円滑に回そうと、国の経済政策を各国が工夫してきたわけですが、うまくいきすぎてしまった面もあったようです。

新型コロナウイルスが登場したすぐ、世界的な恐怖感が30%以上の株価下落をもたらしました。いわゆる「コロナショック」です。しかしその後わずか3カ月で株価は回復、今は当時をはるかに上回る水準にあります。

経済対策などは世界的な需要を喚起しインフレも生み出しました。原材料価格の高騰や賃上げなどもみられています。今はむしろ「行きすぎ」の経済を緩めることの方に世界の景気対策は移行しています。ソフトランディングです。

ところが、今は「ハードランディング」あるいは「ハードクラッシュ」が起きてもおかしくないという経済評論家が現れ始めています。3月下旬に、アメリカの新興銀行であるシリコンバレーバンクの破綻や、スイスの金融大手グループであるクレディスイスの破綻懸念などが生じると世界経済は一気に不安定になってきました。

経済の過熱を収めるための金利上昇が、むしろ体力のない金融機関の破綻リスクを強める恐れもあり、米欧の金融当局は難しい舵取りを迫られています。これを受けて株価は急落と反発を繰り返しており、2022年に行きすぎた円安も一気に円高に戻ったりしています。

実際にどうなるかは数年経って振り返ってみなければ分かりませんが、もしかすると、しばらくの間は「株価が下がる時期」になるかもしれません。

その時、私達の資産運用はどうすればいいのでしょうか。すでに投資にチャレンジしているライフプラン3.0世代、あるいはこれから投資にチャレンジしようと考えているライフプラン3.0世代のためのヒントを紹介したいと思います。

○○ショックは30%値下がりもある しかしその後の株価は大きく上がっている

先ほど「コロナショック」と言いましたが、大きく株価が下落するとき、「○○ショック」という言葉をニュースでは使います。コロナショックの前は、リーマンショック(2008年)がありました。

こういう「○○ショック」の時、どれくらい株価が下がるかはある程度知っておきたいところです。

先ほど紹介した通り、コロナショックの下落率は30%を超えています。リーマンショックの時も日本の株価は1カ月ちょっとで40%下落しています。短期的に「30~40%の値下がりもある」ということは覚えておきましょう。

しかし怖がることはありません。一時的なパニックは落ち着きを取り戻すことで解消されるため、下落の一部は数カ月もせず回復します。また、世界の経済がしっかり回復軌道に乗ることで、株価は下落幅を埋め、最終的にはプラスに転じていきます。

リーマンショックの時は、深刻なダメージを世界経済に及ぼしたことから5年程の時間がかかりましたが、今はそこからはるかに高いところに株価水準があります。

経済は時間をかけて何度でも回復し、上昇をする

時に30~40%の値下がりがあっても回復し、さらに上回る値上がりが生じる。それが長期的な投資を行う魅力でもあります。

とはいえ、ライフプラン3.0世代の人はまだ「長期投資」の凄さを理解できないと思います。若い人が、まだ20年程度しか人生を歩んでいない時に「10年以上のスパンで世界を見て成長に投資しよう」と言われてもピンとこないのは当然のことです。

今まで3年ないし4年ごとに人生の節目がやってきました。10年以上考えて、と言われても実感がわかないでしょう。しかし、これからの社会人生活は60歳代あるいは70歳代になるまで続いていきます。

自分自身が40年以上働いて成長していくように、世界も長い時間をかけ成長していきます。
個人の成長には、足踏みがあったり後退する時期もあります。経済も同じことです。

「○○ショック」のような言葉がニュースに出るとびっくりしてしまいますが、実は数年に一度位は誕生しています。数年経って振り返ってみると、たいしたことがなかった、というものもたくさんあります。

目の前の短期的な下落に焦らないことが大切です。

あなたの投資 まずは「5年」を意識してみよう

長期積立分散投資において、短期的な考え方はうまくいきません。むしろ値下がり時にあわてて売却をしてしまうと損失を出すことになります。

焦って売らず、値下がりした資産をそのまま持ち続けたとしても、その後に市場が回復すれば、売らないままでよいことになります。むしろその後の値上がり益も得ることができます。

ライフプラン3.0世代は、まずは5年を、そしてそれ以上の長期にわたっての投資を考えてみてください。つみたてNISAについて説明をしている金融庁資料では、20年の積立投資を国内外に分散投資した場合、ほぼ100%の確率でプラスの運用で終わらせられることを紹介しています。

ところが5年の積立で終わらせてしまうと、リーマンショック直撃などの可能性を排除できず、数割の確率でマイナスの運用になってしまうそうです(それでも8割以上はプラスで終わる)。

できるだけ長期で投資を考えるようにすれば、これからの人生で何度かやってくる「○○ショック」も怖くないはずです。

二度と経済は回復しないと思うのなら、売ってよし…でもオススメはしない

ところで、投資は無理に勧められるものではありません。一人ひとりが自己責任のもとで行うものです。

あなたがもし、「日本経済はもはや回復しない」とか「世界は二度と上昇することはない」と思うのであれば、無理をして資産運用をする必要はありません。

そういう場合は、すでにある投資資金は売却をし、手放しても構いません。その場合は購入時の価格より値下がりしたところで手放した分、損失が生じることになりますが、それ以上の下落も避けることができます。

ただし、こうした選択は年金生活者ならいざしらず、若い方にはあまりオススメはしないことを改めて念押しさせていただきます。(60~70歳代の人などは、経済の回復に要する時間を「待てない」というケースもあり、無理に長期投資できないことがあるため)

値下がりと値上がりを経験すると、投資家として一段成長したことになる

 

私は、個人が投資家として成長するために必要な3つの経験がある、という話をよくします。

1つめは、「儲かった経験」です。投資をする以上は儲かりたいですよね。もちろん上手くお金を増やしたという経験が必要です。

2つめは「損をした経験」です。値下がりをした恐怖、投機的な投資方法等に手を出して失敗した経験も、経験としてはそれ以降の投資人生の財産になります(でも、できれば金額としては損は小さく終わらせたいものです)。

そして3つめ。「値下がりをしつつ、しばらくガマンして持ち続けて、回復を待った経験」です。今回紹介したようにあなたの投資に時間を与えて、回復を待つことができれば、多くの場合一時的なマイナスは回復、プラスに転じます。

これを経験できると、私達は中長期的な経済成長を信じて投資ができるようになってきます。

もしかすると2023年はそうした「下げて、戻る」を初めて経験する、よいチャンスとなるかもしれません。無理のない投資金額に抑えつつ、できれば短期的な値下がりに踊らされず、投資と向き合って欲しいと思います。

 

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。