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家計簿アプリが物価高時代を生き抜いていくための救世主になる!

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

家計簿アプリが物価高時代を生き抜いていくための救世主になる!

物価上昇時代に絶対必要な「家計簿」

 先日コーヒーショップで、ショートサイズとするかトールサイズとするか悩んだとき、「今までのトールサイズの値段が、今のショートサイズの値段」ということに気がつきました。これまで何度か、値上げの話をしてきましたが、コーヒーショップも値上げが行われています。

この1年とちょっとの間に、まさにサイズアップ1つ分以上の値上げがあったということになります。ざっと「10%値上げ」が数字となっているわけですが、2022年は多くの食品が値上げされた年となりました。

2022年の物価上昇率は2.5%となりました。しかし食品関連では平均より高い値上がりとなっています。そして2023年も物価上昇は止まる様子がなさそうです。

物価上昇が少しずつ当たり前となってきた時代に必要なのは家計管理の見える化です。会社員をしていると、「仕事の見える化が大事!」とよく言われますが、個人のお金の流れも見える化が欠かせません。

「何に」「いくら」ずつかかっているかを把握しないと、値上げの実態も分かりませんし、そもそもムダづかいの有無やその量が把握できません。

ちょっと前に「仕事の給与がアップしたかをよくチェックしよう」という話題を取り上げましたが、1年分の物価上昇に見合った1年分の賃上げがあったとしても油断はできません。

物価上昇が続く時代にはやはり、節約をしてムダな出費を削ることが重要です。そのためにはやはり、家計簿が必要ということになります。

もしかしたら両親が「紙の家計簿」をつけている姿を子どもの頃、見たことがあるかもしれませんが、あなた自身は家計簿をつけているでしょうか。


※総務省 消費者物価指数 2022年平均
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.html

高校の家庭科で実習した「家計簿面倒!」の記憶はアプリで解消しよう

ライフプラン3.0世代はもしかすると、自分自身が家計簿をつけた記憶があるかもしれません。中高の家庭科の授業で家計簿を扱うことがあるからです。

カリキュラムの余裕にもよりますが、実習で家計簿の記帳をしてみる場合があります。サンプルの出費例をもって家計簿の記帳をしてみることもあるようです。

やってみた印象としては「家計簿、面倒!」ではないでしょうか。実習だからしょうがなくやってはみたものの「個々の費目、費用の記入」を手書きで行い、「小計・合計の計算」を電卓で行い、「家計の分析」を場合によっては円グラフの作図までやったりと、いずれも手作業で行うのはなかなか大変です。

「こんなこと、実際にやるのは大変だよ!」と、思ってしまい、社会人になってからは家計簿をつけていないかもしれません。せっかく記帳の経験をしたのに、これはもったいないことです。

実は今、もっと簡単に家計簿をつけられるようになっています。必要なのはあなたの手元にあるそのスマホ(この記事をまさに読んでいるツールかもしれません)だけ。基本料金は無料です。

先ほど掲げた「3大面倒」はすべてスマホとフィンテック(金融とITの融合)が代わりに行ってくれます。

いつもはSNSや動画視聴・配信のために使っているスマホを、家計の分析ツールと変えてみましょう。

家計簿は自動的にここまでできる!徹底的に楽をしよう

スマホの家計簿でアカウント・アグリゲーションという機能を有しているアプリを活用すると、ほとんどの作業を「自動記帳」させることができます。

【4つの自動記帳】

■給与振込口座
給与振込口座の銀行を連携すると、給与の入金、公共料金などの引き落としを自動的に記帳します。「水道代 ○日 △円」のようなことを手入力する必要はありません。

■クレジットカードアカウント
日々のクレジットカードでの買い物、自動引き落としなどを自動的にチェックし記帳してくれます。スマホの通信代や各種サブスクリプションの利用料金、ECサイトでの買い物などは、1カ月で何十件もありますが、わざわざ手入力する必要はないのです。

■電子マネーのアカウント
一部の電子マネーは家計簿アプリに対応していて利用状況を自動記帳できます。コンビニ等でキャッシュレス決済をしたら、そのまま家計簿への記帳も完了したことになるわけです(ただし、費目を入力する必要がある)。

■ECサイトのアカウント
クレジットカードを登録してあればECサイトでの買い物も自動的に把握できますが、ECサイトのアカウントも登録しておくと、費目まで入力されるようになり便利です。

入力しなければならないのは「現金払い」の買い物のみになりますが、これもレシートを撮影すればOKです。近年のスマホカメラは1000万画素程度になっていますが、これはレシートを撮影し自動認識(OCR)するのに十分な性能があります。私が利用しているアプリは、日付や金額だけでなく「○○コーヒー ××支店」まで読み取ってくれるほどです。

その上で、家計の分析は以下の内容まで自動化されます。

【3つの自動分析機能】

■費目ごとの小計、合計の自動計算
一番面倒な「各出費額の合計を出す」作業はスマホが勝手にやってくれます。もちろん「月別」「大項目別」のようないろんな小計、合計も出してくれます。

■1カ月の収支のグラフ化
1カ月の収支について自動的にグラフが描画され、分析をすることができます。

■分析やアドバイス
データが蓄積されていくと「先月より今月は食費の出費が増えています」のようなアドバイスもしてくれるようになります。おおまかな予算を過去の平均データから自動的に算出してくれるアプリもあります。

また有料アカウントにしていると、全国の家計簿アプリの仲間の平均データなども紹介されたりします。

本来、家計簿の一番大事な役割は「現状の分析」と「未来の改善」です。しかし今までは「記帳をする努力」ばかりに私たちはリソースを割いていたわけです。この手間や負担はスマホが解決してくれることになりました。

これからは記帳に時間を割く必要はほとんどありません。どんどん分析をし、家計を改善していくために家計簿を活用していけばいいのです。

まずは家計簿で「値段の変化」に対応していこう

先ほどのコーヒーショップの例でも紹介しましたが、物価上昇時代の難しさは「何度も値上げされていく中で、値段のイメージがズレていってしまう」ことです。

最近、お菓子の値段が「税込100円」もしくは「本体100円」からはみ出し始めています。値上げの影響なのですが、さりげなく「本体120円」のように大きめの値上げをする商品があったりします。

数年経った頃にはもしかすると「お菓子は130~150円のもの」というイメージに変わっているかもしれません。

しかし、こうした値段の変化はなかなか実感しにくいものです。そんな時も家計簿が役に立ちます。先ほど紹介した通りアプリがグラフ化してくれると、家計に占める割合などが視覚化されるので、より分析がしやすくなります。

家計簿アプリの便利な機能として「前月比で分析」「費目別の分析」のような比較が簡単なことがあげられます。画面を左右にスワイプしたりグラフをタップするなどの操作で、どんどん詳細データにアクセスできますので、「食費、確かに上がっている!」ということを実感しながら予算管理や節約を考えていけるのです。

光熱費などの固定費も、自動引き落としされているのでなかなか実感しにくいもの。1カ月の収支が見える化されたことで、「電気代、こんなに高いのか!(そもそも、これくらいかかっていたのか!)」「春と秋はここまで下がるんだ!(冷暖房が不要になるため)」のようなことをどんどん実感していきましょう。

オススメの家計簿アプリは3つ 

自動記帳できる機能をもつ家計簿アプリは代表的なものが3つあります。いずれも機能競争とバージョンアップを繰り返しており、オススメできます。具体的にはこの3つです。

・マネーフォワードME
・Zaim(ザイム)
・MoneyTree(マネーツリー)

インターフェイスは好みもありますから、3つともインストールしてそれぞれに数件のデータを入力、数分位いじってみてください。お気に入りがみつかればそれがあなたにとっていいアプリです。

おそらく銀行およびクレジットカードの登録で制限が生じることはほとんどないと思います。ただ、アプリごとに提携している金融機関の数が異なりますので、あなたの持っている口座やカードが登録できないことがあれば、そのアプリは候補から除外しましょう。とにかく自動連携できることが大事です。

3つのアプリとも、基本料金は無料で使用することができます。ただし、機能の制限があります(登録金融機関数の制限や過去データの保存期間など)。まずは無料で1カ月程度利用してみてください。その後、このアプリでしっかり家計管理をしていこうと思ったら、毎月数百円のサブスクリプション契約をしてみるといいでしょう。いろんな機能が追加されるはずです。

また、家計簿アプリを単なる支出管理のためだけではなく、資産管理アプリとして活用することもできます。証券口座(NISA口座含む)や、確定拠出年金の口座(企業型およびiDeCo)残高も一覧して把握できるようになります。興味がある人はアプリの説明ページをチェックしてみてください。

最初の「手間」がこれから数年の「ラク」になる

物価上昇時代の切り札としてあなたの助けとなるであろう家計簿アプリですが、ひとつだけ弱みがあります。

それは「初期設定」です。
これがちょっと面倒なのです。どんなに少なくても

・給与振込口座のモバイルバンキングアカウント(1行)
・よく使うクレジットカードのアカウント(1~2枚)

の登録は必要です。できればメインで使う電子マネーも登録しておきたいところ。

ところが、それぞれ本人認証のプロセスを踏む必要があります。これはセキュリティを保ちつつきちんと認証が取れた範囲でデータをやりとりするために必要なことではありますが、アカウントによってはなかなかパスワードが思い出せなくて時間がかかってしまうこともあります。

しかし、この最初の一歩が、これから数年の家計の見える化につながっていくわけですから、ちょっと腰を据えて登録をして欲しいと思います。時間を費やすだけの価値はあります。

電車での移動中の数分で初期設定を終わらせるのはさすがに難しいと思いますので、できれば1時間位まとまった時間が取れるときに設定をするといいでしょう。

ぜひ、家計簿アプリを使いこなして、「生まれて初めてやってきた、ライフプラン3.0世代の物価上昇時代」を乗り切ってみてください。


(なお、ちょっと脅してしまったようですが、パスワードをしっかり管理していて、アプリの初期設定作業に慣れている人であればそれほど初期設定に時間はかかりませんのでご安心を)。