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インド株が急上昇!今注目される理由とは?どうやって投資できる?

経済とお金のはなし 山下 耕太郎

インド株が急上昇!今注目される理由とは?どうやって投資できる?

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世界最大の人口を誇るインド。注目される理由は、ナレンドラ・モディ首相の政策運営により外資系企業の進出を促す制度改正や産業育成政策が進められ、新興国の中でも屈指の有望企業を抱えているためです。また、世界的な相場動向も追い風となっています。これまでは急速な利上げで米ドル建て資産へ資金が集中していましたが、米国が金利据え置き局面になり、新興国へ資金が流入しやすくなっているのです。

それに伴いインド株式市場は急上昇し、今注目を浴びています。インド株は、投資信託やETFを通じて間接的な投資が可能です。この記事では、インド株が世界で注目される理由や、注目ファンドについて解説します。

インド株の魅力とは

インドは、2023年半ばに人口が14億2860万人余りになると推計され、中国を抜き、世界一の人口になる国として注目を集めています(国連人口基金推定)。

さらに、米中対立の中でも中立を保ち、サプライチェーンにおける中国外しの恩恵を受けやすいポジションにあるため、インド株に期待が寄せられているのです。

中国よりもインドが注目される理由

インド株
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インド株式市場の代表的な株価指数は「Nifty50」です。Nifty50とは、時価総額、流動性、浮動株比率などの基準を用いて選定したインドの50銘柄の株価を、時価総額比率で加重平均して指数化したものです。この指数は、インド・ナショナル証券取引所に上場している銘柄から選ばれており、インド株式市場を代表する指数の一つとなっています。このNifty50が、2023年9月に2020年末比で4割上昇し、過去最高値圏に達しました。

人口が世界一となるインドは内需の拡大が成長の原動力となることが期待されており、政府による積極的な景気刺激策も投資マネーを引き寄せているのです。今後数十年にわたる人口増加が見込まれ、デジタルインフラ整備も進んでおり、中国と比べても優位性があるという見方もあります。

インドは中国と比べて若年層が多く、年齢の中央値はわずか29歳です。その若年層は、経済成長に大きく寄与しています。若い労働者の増加と急速に拡大する国内市場に支えられ、2047年までにはインド経済は40兆米ドルに成長する可能性があります。こうした若く活力にあふれる人口により明るい未来をもつインドは、近年世界の投資家の資金を集める国の1つになることが予想されているのです。

中国の年齢の中央値は40歳で、生産年齢人口が減少傾向にある一方で、インドは今後数十年にわたって増加が見込まれています。
国連のデータによると、2020年の人口の67%にあたる約9.2億人は15歳から64歳の生産年齢人口でした。さらに、生産年齢人口の割合がピークを迎える2020年から2030年の間には1億100万人、2030年から2050年の間には8,200万人が生産年齢人口に新たに加わると予想されているのです。これは、インドが若年層の人口が多く、経済成長に大きく貢献する可能性があることを示しています。

また、デジタルインフラの整備も十分に進んでいるので、今後の成長において、現時点では中国よりはるかに有利な状況にあるといえるでしょう。

インフラ投資の拡大

電力不足や交通渋滞などの問題は依然として残っているインドでは、政府が本腰を入れて高速道路やメトロなどの整備に着手し、インフラ投資が急増しています。エンジニアリング、鉄鋼、セメントなど多岐にわたる業界が恩恵を受け、超大型プロジェクトが進行し、金融業界も融資を拡大しています。

また、2016年の高額紙幣の廃止により、銀行口座の保有率が急上昇したことで、クレジットカードやデビットカードの普及が進み、代表的なスマホ決済サービスであるPaytmも活用されるようになりました。このように、インドでは先進的な金融サービスも生まれつつあるのです。

政治や地政学リスクなどの懸念も

このように、注目を集めるインドの株式市場ですが、予想外の外的ショックには注意が必要です。例えば2023年、インドでは「アダニ・ショック」と呼ばれる出来事が起こりました。米空売り投資会社ヒンデンブルグ・リサーチの調査をきっかけに、インドの巨大コングロマリット、アダニ・グループの不正会計・株価操縦疑惑が指摘され、インド市場に混乱が生じたというものです。

この出来事はアダニ・グループの株価急落と中核会社の公募増資撤回を迫られる事態に発展しました。投資家たちは、新興国株投資の怖さを実感したのです

インド株に投資する方法

インド株に投資
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日本の証券会社ではインドの個別株を直接購入できませんが、米国預託証券(ADR)、投資信託、上場投資信託(ETF)を通じて、インド株式市場への間接的な投資は可能です。特に、投資信託やETFは分散投資がしやすく、おすすめです。ここでは、代表的な投資信託やETFを紹介します。投資にあたっては、自分に合った商品を選び、リスクを十分に理解した上で行うようにしてください。

【投資信託】野村インド株投資

基準価額 38,074円
信託報酬 2.2%(年率・税込)
純資産残高  3,100.3億円
主な販売会社野村證券

騰落率
1カ月:0.1%
3カ月:17.7%
6カ月:21.5%
1年:14.7%
※2023年7月31日時点

インド株式に特化したファンドで、その純資産残高はインド株ファンドの中でも最大規模です。このファンドは、インド企業の株式を主要投資対象としており、インド市場への投資に興味のある投資家にとって魅力的な選択肢となっています。

【投資信託】イーストスプリング・インド・インフラファンド

基準価額 15,323円
信託報酬 1.9497%(年率・税込)
純資産残高  296億円
主な販売会社SBI証券、楽天証券、マネックス証券

騰落率
1カ月:0.2%
3カ月:18.3%
6カ月:24.4%
1年:14.6%
※2023年7月31日時点

「イーストスプリング・インド・インフラファンド」は、インドの金融商品取引所に上場しているインフラ関連の銘柄に投資することで長期的な成長を目指しています。為替リスクを考慮せず、インフラ整備が経済成長に欠かせないことを重視しています。この分野は中長期的に魅力的な投資対象であり、成長を見込んでいる投資家には注目すべきファンドです。

【ETF】NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信(銘柄コード:1678)

終値  315.7円
売買単位 100株
純資産残高 383.7億円
※2023年9月12日時点

「NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信」は、東京証券取引所に上場しているETFの中で唯一、インド国内の株式市場を投資対象としています。個別企業への投資は難しいものの、ETFを利用すれば少額でもインド市場に分散投資が可能です。

東証マネ部

ETFは証券会社で購入できます。一方、投資信託はすべての金融機関で取り扱われているわけではないので、ご利用の金融機関のホームページを確認してください。

まとめ

インド株式市場は急上昇し、今注目を浴びています。インドは、世界最大の人口を誇り、ナレンドラ・モディ首相の政策運営により外資系企業の進出を促す制度改正や産業育成政策が進められており、新興国の中でも屈指の有望企業を抱えています。

インド株式市場に投資する方法は、投資信託やETFを通じて間接的な投資が可能です。ただ、新興国にはカントリー(政治・経済の混乱)・リスクや流動性リスクなど先進国投資に比べて気をつけるリスクがあるので、必ず余裕資金で投資するようにしましょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。