最大1%引き下げ!多子世帯の住宅ローン金利優遇の条件は?
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監修・ライター
2024年から住宅金融支援機構などは子どもの人数に応じて、長期固定金利型住宅ローン「フラット35」の金利を優遇する制度が始まりました。子どもの数によって最大で1%の金利引き下げが期待できる今回の優遇制度ですが、条件はどのようになっていて、具体的にどのぐらい負担が軽減されるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では優遇制度の概要とどのぐらい負担が軽減されるのか、シミュレーションを通して解説します。
「フラット35」なら、多子世帯の住宅ローン金利を優遇
2023年11月29日に令和5年度補正予算が成立したことに伴い、住宅金融支援機構などは「フラット35」の金利を子どもの人数に応じて優遇することを正式に決定しました。優遇金利については、2024年2月13日以降の資金受取分から適用されます。
今回の優遇によって18歳未満の子どもが1人いる世帯であれば、子ども1人あたり金利が年0.25%引き下がり、最大1%の下げとなります。適用期間は子どもが4人以下なら5年、5人以上の場合は、6~10年目も引き下がります。
なお、18歳未満の子どもがいる世帯に加えて、夫婦のどちらかが39歳以下の若い世帯は子どもがいなくても制度の適用対象です。所得制限は特に設けられておらず、多子世帯の住宅取得支援の側面が強いといえるでしょう。
従来のフラット35の金利引き下げの仕組み・条件とは
現行制度では、住宅性能やエリアなどによって所定のポイントが定められており、合計のポイント数に応じて住宅ローンの金利が引き下げられます。「住宅性能」「管理・修繕」「エリア」の3つのグループから該当する項目を1つずつ選択し、合計ポイントを算出します。
例えば、下記のケースだった場合、どのくらい金利優遇されるのでしょうか?
上記のケースでは合計5ポイントで4ポイント以上を獲得していることから、当初10年間にわたって0.5%の金利優遇を受けられます。今回実施が見込まれている優遇政策によって、このポイント制度がどう活かされるのか次に見ていきましょう。
新しいポイント制度はこう変わる
2024年2月13日の資金受取分以降も合計のポイント数に応じて住宅ローンの金利が引き下げられる点は変わりませんが、先にも述べたように子どもの人数や住宅の性能等によって金利引き下げポイントが加算されます。若年夫婦世帯または子ども1人の場合は1ポイント、以降子どもの人数×1ポイントずつ加算される仕組みです。5ポイントあれば10年目まで、9ポイント以上あれば15年目まで金利が優遇されます。
昨今は資材費や人件費の高騰によって住宅価格が高くなっているため、子育てで何かとお金がかかる家族にとっては嬉しい制度といえるでしょう。
今回の金利優遇によってどのくらいの負担が軽減されるのか
来年2月から始まる住宅ローンの金利優遇についてお伝えしましたが、実際にどのくらいの負担が軽減されるのか気になる人も多いのではないでしょうか。ここでは子どもの人数別のシミュレーションをもとに、支払額の変化を確認してみましょう。
条件
借入希望額:4500万円
返済期間:35年
元利均等返済
ボーナス払い:なし
固定金利:1.91%(2023年12月現在で最も多い金利)
※ここでは子育てプラスのポイントのみが適用されたと仮定
上記から、子どもが2人で金利が年0.50%引き下がると、月々1万円の負担軽減になるほか、子どもが4人となれば2万円の負担軽減に繋がることがわかります。月々で見ればそれほど大きな金額には感じないかもしれませんが、これが5年間の総額でみれば話は大きく変わってくるでしょう。
また、先ほど紹介したポイント制とあわせて活用することで、金利の軽減期間を10年に伸ばすことも可能です。金利優遇期間が延びればそれだけ総返済額が少なくなるため、多子世帯にとって大きな負担軽減となることはいうまでもありません。
賢く制度を活用しローンの返済負担を減らそう
今回の記事では2024年2月から始まる多子世帯への住宅ローンの金利優遇制度についてお伝えしました。住宅価格の高騰が続く中、住宅ローン金利の削減は嬉しいニュースとなるでしょう。固定金利は変動金利に比べて月々の支払いが高くなる傾向にありますが、金利優遇制度を活用することで支払額を抑えることができます。変動金利と固定金利で月々どのくらい返済額が異なるか比べた上で、どちらを利用するか判断することをおすすめします。