「いくら稼げば幸せになれるのか」について、Z世代の最適解は?
目次
いくら稼げば、幸せは手に入るのか
これから社会人になる人達はもちろんですが、すでに社会人となっている人達のほとんどが「いくら稼げば、幸せになれるのだろうか」と本心では思っているはずです。
しかし、なかなか口に出すことが難しい問題です。両親に対して「年収いくらくらいになったら幸せになった?」と聞くのは難しいでしょう。それに、親の世代の昔の感覚が、今の時代に通用するかも悩ましいところです。
漠然と考えるとすれば「たくさん稼げば、多分たくさん幸せが買えるのではないか」ということでしょう。しかし同時に「たくさん稼ぐということは、仕事も辛くて幸せ感はあまりないのではないだろうか」という不安もあるでしょう。
今回はライフプラン3.0世代(Z世代)が考えておきたい「いくら稼げば幸せになれるのだろうか」問題を考えてみたいと思います。
年収が増えると幸せも増やせる相関関係がある
一般に、年収と幸せには相関関係があると考えられています。
そもそもの生活水準が飲まず食わずの状態では幸福度は得られません。基本的な衣食住を確保し、スマホや最低限のサービスを確保したいところでしょう。たとえば、
衣:最低限困らない程度の着替えが買えること
食:最低限困らない程度の食事を食べられること
住:最低限困らない程度の部屋に住んで、風呂や洗濯などを利用できること
サービス:少なくともスマホ代を支払い、動画や音楽を聴くことができること
交友:ときどき友人と会って映画を見たり、食事をする余裕があること
といったあたりの出費が安定しないと、友人関係に恵まれていても、仕事が楽しくても、幸せとはいいにくいものです。
新社会人の初任給はこのくらいをなんとか確保できる水準といえますが、食費や交際費に気をつかわないとあっという間に銀行預金残高が空っぽになります。余裕はあまりないはずです。
実際、国の調査でも、一定の年収確保は幸福度と強い影響があると報告されています。手取りで年収300万円未満の世帯は、満足度が低い回答となっているそうです。それ以降はおおむね、年収が増えていくごとに幸福度も上がるような関係となっています。
しかし、ある程度稼げるようになれば、幸せは打ち止めになる(らしい)
それでは、年収がアップし続けていくとどうなるでしょうか。一定期間働き続けて、キャリアを積み重ねていくと、社内での評価が高まり給与がアップします。あるいは資格取得などが評価されて給与が増えることもあります。
月収が増えれば、モノを買える範囲が増えますし、ちょっと貯めて未来の夢に備えることもできます。1カ月のやりくりができる自信もついてくるのでメンタル的にも余裕が生まれます。そうなれば、幸福度も高まることになります。
先ほどの国の調査でも、年収2000万円くらいまではおおむね「年収増=幸福度増」という関係が生じています。一方で手取りの年収が2000万円を超えたあたりからは、年収を増やしても幸福度のアップは生じなくなるといいます。
食事や服をゼイタクにするといっても、じきに満足度は上がらなくなりますし、高年収の仕事はむしろストレスも大きいものです。それでも、普通の会社員にとっては年収アップを意識することがおおむね人生の幸福度に影響してくるといってよさそうです。
実際には、年収2000万円になる必要はありません。手取りで300万円以上をしっかり確保するステップとキャリアアップを通じて年収500~700万円くらいを40歳代以上で手に入れていくステップを意識できれば、十分に幸せな生活になります。まずは正社員として働き、仕事をきちんと取り組んで昇格昇給を目指していきましょう。
幸福度を高める入り口は、しっかり、困らないくらいのお金を稼ぐことなのです。
幸せになれる年収は自分で決めていい
「年収高い=幸せ、年収低い=不幸せ」というわけではありません。日本であれば、年収が500万円くらいを超えてきたあたりから、「年収以外の要素」も幸福度に大きく影響してくるようになります。
たとえば同じような年収の2人がいたとしたら、どうでしょうか。
・仕事が楽しいか vs 仕事が辛いか
・友人や恋人、家族との関係が良好か vs 険悪な状況か孤独であるか
のほうが年収よりも幸福度を左右します。年収が少々低くても、楽しく充実した仕事をしているほうが、年収は高いけれど残業月100時間超のパワハラ当然企業にいるより幸せという感じです。
20歳代はまず、年収(税引き前)が400万円を超えてくるところを目指してみましょう。仕事に役立つ資格などは取っておくといいでしょう。使ったお金がキャリアアップに役立てば、何十倍にもなって返ってきます。
月の手取りが20万円を超えてくると日常生活はほぼ安定し、月30万円を超えてくるといろんな余裕が生まれてきます。
そこまできたら、自分の幸せ感覚を尊重しつつ、どこまで働くか、どこまでキャリアアップを目指すか、じっくり考えてみてはどうでしょうか。
高年収であるけれど、長時間の残業やパワハラが常態化しているなら、違う会社でキャリアを再デザインすることも考えてみます。
どこに暮らすかも検討の要素です。たとえば、物価の安いエリアではそれほど高い年収でなくても幸福度が高まる関係が見られるという考え方があるそうです。
地方は首都圏と比べると、一定の生活水準をローコストで確保しやすいからでしょう。東京で息が詰まる気持ちで働くくらいなら、Uターンもアリというわけです。
自分が幸せになるためにどれくらいの年収が必要か、そのために幸せを犠牲にせずに働き、稼ぐ方法は何があるのか、じっくり考えてみてください。
20~30歳代は「上手にお金を使う」ことも幸せのカギ
幸せと年収の関係は、最終的には「お金以外」の部分が勝ります。
「グッドライフ」という書籍では、80年以上の調査で、幸せを決める大きな要素は「良好な人間関係」につきると結論づけています。
キャリアアップだけに明け暮れて、年収は増えたけれど孤独である、というのは幸せとは言えません。
稼いだお金は貯めるだけではなく、上手に使って幸せを手に入れていくことも重要です。実はこっちのほうが年収アップより大切かもしれません。
実際に友人と会って時間を過ごしたり、旅行や観劇・コンサートなどの体験をいろいろしてみる等、少しお金を稼げるようになったらどんどん自分の幸せのためにお金を使っていきましょう。
もちろん、赤字になってまで出費をしてはいけませんので、「毎月のやりくりはきちんとプラスにする」「少しの貯金は定期的に行う」ということは意識してください。家計管理がうまくいかないという人は家計簿アプリの活用と、自動引き落としによる定期積立(定期預金もしくは投資信託)を設定しておくといいでしょう。
そのうえで、「年収がアップしたら、ちょっとずつ出費もアップさせて、いろんな経験をする」というように自分のために使うお金を年収アップに応じて増やしていきます。
数年に一度くらいの友人とのスキーも、日帰りバスツアーから温泉つき一泊、名所観光もつけた二泊(しかもちょっといいお部屋)のように、少しずつグレードアップさせながら、長く楽しめるといいですね。
むしろ「自分の幸せを買うために、キャリアアップして年収を増やすのだ」と割り切って考えたほうが、仕事と向き合う意欲も出てくるかもしれません。
自分が幸せになれる稼ぎ方をして生きていこう
自分が納得できる幸せを買えるのなら、誰もが管理職を目指して高年収を追求する必要はありません。
ライフプラン1.0世代(団塊世代。すでに年金生活中)はテンプレートに則って働きまくるしかありませんでした(女性は家事と育児担当と決められていた)。
ライフプラン2.0世代(現在アラフィフからアラ還にさしかかっている世代)は、男女とも仕事をするようになりましたが、たくさん稼ぐことがいいことだ(そしてたくさん出費をするのが幸せ)、というテンプレートでしたので、とにかくたくさん働くことを考えてきました。
ライフプラン3.0世代(Z世代)はこうした縛りから解放されて「自分の幸せのために稼ぐ」を意識できるようになりました。例えば、個人のお店で「日曜休業」としているお店があります。週末は会社員が休んでいるから稼ぎどころかもしれませんが、あえて「子どもとの時間を大事にする」という理由で日曜を休んでいるのです。
私はそれでいいと思います。幸せと仕事の稼ぎ方とのバランスを考えることが大切です。
親の世代の、「働き方のテンプレ」は気にしなくてもかまいません。自分の幸せと仕事のバランスを考えてみましょう。