30代女性、貯金はいくらあれば安心?平均額〇万円が目安に
結婚や出産といったライフイベントが集中しやすく、出費の多い30代女性。30代ともなれば、一定のキャリアを重ね、給与や賞与も20代より多くもらえるようになり、旅行や趣味にお金を使いたいという人も多いでしょう。しかし将来に向けた貯蓄も欠かせません。今回は、資産状況などのデータを参照しながら、毎月どれくらい貯金をすれば良いのかについて考えてみたいと思います。
まずは貯蓄体質になろう
ここからは金融広報中央委員会が調査発表している「家計の金融行動に関する世論調査(2022年)」を使い30代のデータを確認します。この調査は単身世帯と2人以上の世帯に大きく分かれています。まず興味深いのが金融資産を保有している人の割合です。
<30代・金融資産の有無>
30代の単身世帯のうち、3割以上は「金融資産が無い」と回答しています。一方、結婚しているなど2人以上の世帯で金融資産が無いと回答した人は23.9%と、単身世帯を大きく下回ります。配偶者や子どもがいることで「貯蓄をしなければ」という意識が高まっているようです。この傾向は30代に限らず全世代に共通しています。
単身世帯の多くは収入で十分生活が賄えるため、将来のために貯蓄するという意識がそれほど高まらないのかもしれません。いずれにしても、まずは毎月少しずつ貯蓄をする習慣を身につけたいですね。
30代の金融資産保有平均額は?
では30代の金融資産保有額の平均と中央値を単身世帯、2人以上の世帯に分けて紹介します。
単身世帯の場合
<単身世帯における金融資産保有額>
「金融資産を保有していない」人も含めた平均と中央値です。平均は極端に少ない人や多い人の影響を受けやすい傾向にあります。中央値は回答者の中央にあたる金額であるため、平均より中央値の方が実態を反映していると言われています。
金融資産を保有していない人を除き、「金融資産を保有している単身世帯のみ」で算出した平均と中央値は以下のようになります。つまり貯蓄の習慣がある人だけのデータであるため、これから貯蓄をしていく人にとって1つの目安になると思います。
<単身世帯のうち金融資産を保有している世帯の金融資産保有額>
2人以上世帯の場合
同様に2人以上の世帯の平均と中央値は以下のようになっています。
<2人以上の世帯における金融資産保有額>
<2人以上の世帯のうち金融資産を有している世帯の金融資産保有額>
目標貯金額は「300万円」を1つの目安に
前述の通り、金融資産を保有している人の中央値は単身世帯で270万円、2人以上の世帯で390万円となっています。それぞれの仕事や家族の状況などを考慮する必要がありますが、まずは300万円を1つの目標にしたいところです。
「総務省統計局の家計調査(2022年)」によると、30~39歳の1カ月当たりの平均支出は27万2059円(世帯人数平均3.67人)となっています。
よって、300万円ほどの金融資産があれば約11カ月、ほぼ1年分の生活費を確保できていることになります。失業、病気、災害など収入が少なくなる要因はいくつかありますが、そのようなリスクにもある程度対応できる金額といえるでしょう。
また、生命保険文化センターによると、各ライフイベントにかかる平均費用は以下の通りです。
・結納・婚約~新婚旅行までにかかる費用
平均約416万円
・入院・分娩費用などにかかる出産費用
全国平均で1人当たり約48.2万円
・住宅購入費用
土地付注文住宅 約4,700万円
建売住宅 約3,700万円/マンション 約4,900万円
中古戸建 約2,700万円/中古マンション 約3,200万円
参考:生命保険文化センターの「ライフイベントから見る生活設計」より
ライフイベントは人それぞれですが、自分がイメージするライフプランに合わせて、こういった金額も頭に入れておけば、「●年後に家を購入したいから、今は月の貯金を●万円増やそう」という目安になるでしょう。
毎月どれくらい貯蓄すれば良い?
「これから貯蓄への意識を高め、300万円目指してしっかり貯めよう」と思った方もいると思いますが、貯蓄は少しずつコツコツ継続していくことが大切です。では金融資産を保有している人は毎月どれくらい貯蓄しているのでしょうか?
<金融資産保有世帯の貯蓄割合>
単身世帯、2人以上の世帯、いずれも手取り収入の15%程度を貯蓄に回していることが分かります。毎月の手取りが30万円であれば、4万5000円を貯蓄に回すことになります。さらに、臨時収入があった場合は、3割以上を貯蓄に回しているようです。嬉しい誤算で臨時収入があった場合は「無かったもの」と思って貯蓄に回すことが貯蓄のコツです。
なお、「2019年全国家計構造調査(総務省)」によると、40歳未満単身の男女別の毎月の支出額平均は以下のようになっています。
男性 15万4659円
女性 16万415円
他の年齢層では女性より男性の支出額の方が多かったのですが、若い女性のみ男性の支出額を上回っています。おそらく美容やファッション関連の支出が底上げしていると考えられます。
現在は脱毛をはじめ美容に興味関心を持つ男性も増えていますが、やはり女性ならではのそのような支出が多いのが影響している可能性があります。言い換えると、このあたりの支出を見つめ直すとさらに貯蓄がしやすい家計体質になるかもしれません。
目標に向けて日々の習慣付けが大切
何かと将来へ不安を感じている人は少なくありません。一定額まで貯めると不安が解消するということはありませんが、不安軽減にはつながりそうです。今回紹介したデータを参考にそれぞれ目標額を定め、日々貯蓄への意識を高めてください。
コツコツ積立を行っていても、つい欲しいモノがあった際などに衝動的に使ってしまうということもあります。将来への貯蓄は気軽に使えないように別口座で管理する、または株や投資信託などで長期的な運用を行うなど、気軽に使えないようにする工夫も心がけてください。