34年ぶりの株高、今からでも始めてよいの?儲かったら即売る?
日経平均株価が34年ぶりに最高値をつける
2024年に入ってから、国内外の株価が大きく上昇しています。アメリカの代表的な株価指数であるNYダウやS&P500は史上最高値を2月下旬につけました。
国内の代表的な株価指数である日経平均株価も昨年末の数値から10%以上も一気に上昇、勢いは弱まることを知らないまま、2月22日に38,915円を突破し最高値となりました。この数字は34年前につけた過去もっとも高い数値です。教科書にあるようなバブル景気の象徴であり、かつその後の日本の景気低迷を象徴する数字でもありました。
3月頭に入ってからも、史上最高値を更新する局面が続くなど、大きく株価が上昇する時期となっています。(執筆時点)
2024年1月からは、新しいNISA制度もスタートしており、これを受けて投資をスタートしたという人も多いようですが、「NISA興味があるんだけど、今から始めても大丈夫?」という人は意外と多いのではないでしょうか。
新しいNISA、今からスタートしても大丈夫?
株価が上昇しているときは、「私も投資をはじめてみようかな」という人が一気に増えます。実際、新NISAの口座開設数はこの数カ月で大きく増えているそうです。目の前で株価が上がっているわけですから、自分も増やしてみたい、と思うのは当然ですね。
と同時に、「今から始めても、もう遅いのでは?」とためらってしまう人もいます。「こんなに急に上がったのだから、一気に元の値段に下がる、あるいはもっと下がるかも?」と思う気持ちもよく分かります。
今、投資をスタートするかどうか悩んでいる人には、「まずはスタートしてみましょう」とアドバイスしたいと思います。
そのとき、「金額は小さくスタート」しましょう。また「広く分散投資された方法(投資信託)」の活用をおすすめします。
確かに、急上昇をした相場は、あまりにも早い値上がり幅を縮める(つまり最高値から値下がりする)ことがあります。例えば、国の年金運用(GPIF)では日本株の平均的な利回りは「年5.6%」としていますから、今年に入って数カ月で15%以上も値上がりするのは早すぎることが分かります。
一方で、長期的にみれば、経済の成長、景気の回復が鮮明になってきたとき、今以上の株価水準に到達することも十分に考えられます。
経験が浅い分は、金額を少なめにしたり(ゼロからスタートし、毎月数千円~数万円程度で始める)、分散投資をして個別企業の業績に左右されすぎないようにするなどの方法でカバーしていくといいでしょう。
投資信託はその点、数千円からスタートでき、1つの投資信託を買うだけで全世界の株式に投資をしたのと同等の効果を生み出すような商品もあったりします。
もし投資に興味があるのであれば、まずはスタートしてみて、できるだけ長く続けることを考えてみてください。
儲かったし売っちゃう? 投資を止めちゃう?
それでは逆に「もう投資を始めていて、かなり値上がりしているんだけど、どうすればいい?」という人はどうでしょうか。
興味があって2023年以前から投資をしていた人、あるいは2024年の1月にすぐ入金をして投資を始めていた人はすでに大きなリターンが得られています。15%、あるいは20%以上値上がりしている人も珍しくないはずです。
投資未経験者が勇気を出して10万円の投資をして、わずか数カ月で12万円になっていれば、その2万円を手元に残したくなります。ここから値下がりしたら、せっかくの値上がり分も消えてしまうとばかりに、慌てて売ってしまいたい気分となるわけです。
投資においてしんどいのは、値下がり、特に購入時の価格を割り込んでしまった「含み損」を抱えている状態です。ですから、利益が出ている段階で売却することを間違いとはいえません。
一方で、「売らずにいたら、もっと値上がりするかもしれない」という可能性を自分なりにどう判断するか、自問自答してみてください。
「今売ったとして、この先もっと値上がりしたら後悔するかも」
「今売ったとして、この先もっと値上がりしたら、怖くて新しい投資はできなくなるかも」
「今すぐに、投資資金を売らなければいけない、お金の使い道は特にない」
というような人は、投資を続けていくことも選択肢です。可能であれば、毎月一定額の購入を続ける積立投資を継続していきましょう。新NISAのつみたて投資枠が積立投資に最適の枠となっています。
また、売る場合であっても、全額を売却するのではなく、部分的に売ることを考えてみましょう。先ほどの「2万円儲かっている」という状態なら、その2万円分だけを売却し、10万円の投資を続けていくようなイメージです。
投資信託を購入している場合、売却は好きな割合(口数)で指定することができます。こうすれば「値上がりした部分だけは現金化しつつ、最初に投資をした金額はこれからも投資を続けていく」ということになります。
この先、1万円くらい値下がりしても「全体ではまだプラス」となりますし、この先でさらに値上がりしたら「全体ではさらに利益が出ている」ということになります。
一時的に値下がりする時期もあるかもしれませんが、投資を続ける、ということを意識してみるといいでしょう。
34年前のことなんか知らない世代、前向きに投資と向き合っていこう
ライフプラン3.0世代あるいはZ世代の皆さんからすれば、ニュースがさかんに、バブル後の最高値を突破と報じることに正直違和感があると思います。「34年前とか、知らないよ!」という感じでしょう。
最近の人気ドラマである「不適切にもほどがある!」の主人公は1986年から現代にタイムスリップしてきていますが、まさにバブル経済のまっただ中です。当時はタバコを往来で吸うのは当たり前だし、パワハラ、セクハラ発言を悪びれないオッサンがたくさんいました(女性は就職活動でも差別的な扱いだった)。たぶん、そんな笑いを示されても「そもそも笑いどころが分からない」という感じでしょうが、「34年ぶり…」のニュースを読む感覚はこれに近いかもしれません。
バブル景気の時代と現代を比較すれば、何をどう考えたって現代のほうがちゃんとしていて、豊かな生活を送っています。「バブル期はよかった…」と懐かしそうにいうアラ還(アラサーのさらに上で、還暦である60歳の前後にあたる55~65歳世代)のことなんかほっておいていいのです。
若い世代のみなさんたちは、「バブル期の栄光を34年ぶりに取り戻した」とか、「長い低迷期をようやく脱した」のような論調にあまり引きずられなくてもいいと思います。今は、今なのです。
これから投資をスタートする人は「今がスタート地点」だと考えて、無理のない範囲で投資と長くつきあってみていただければと思います。
みなさんが今暮らしている生活をよりステップアップしていくことができれば、自ずと経済は成長し株価は上昇を続けていくことになるでしょう。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。