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NISAとiDeCo、どっちで運用するのがお得?対象商品の違いは

FPにききたいお金のこと 白浜 仁子

NISAとiDeCo、どっちで運用するのがお得?対象商品の違いは

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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、30代女性Jさんからの相談です。NISAやiDeCoが気になっているようですが、商品の違いや、どちらがお得かが分からず迷っているようです。NISAとiDeCoで運用できる商品は異なるのでしょうか。同じ商品に投資をする場合はどちらがお得なのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

30代女性Jさんからの相談内容

NISAもiDeCoも興味があるのですが、まだどちらもやっていません。iDeCoは60歳まで引き出せないということは理解しているのですが、そもそもNISAとiDeCoって同じ商品がラインアップされているのでしょうか?同じ商品であれば、60歳まで長期で預けた場合、どちらの制度を使った方がお得なのか知りたいです。

金融機関によって商品ラインアップは異なる

まず、NISAとiDeCoの商品ラインアップは同じかどうか、というご質問についてです。端的に申し上げると、「金融機関によって取り扱い商品が異なるため一概に言えない」という回答になります。どういうことか詳しく見ていきましょう。

NISAの対象となる投資信託は現在、約2200本あります。金融機関はその中の一部を取り扱って販売しています。例えば、冷蔵庫が欲しい時に家電量販店に行くと、複数の品ぞろえがありますが、他の量販店に行くと少し違ったタイプが置いてあることもあります。

投資信託も同様で、金融機関ごとに品ぞろえは異なるのです。iDeCoも同様です。また、同じ金融機関でも、NISAで購入できる商品がiDeCoにもあるとは限りません。

なお、iDeCoの商品ラインアップは、法律で35商品までと上限が決められているため、NISAよりも商品数は限定的です。NISAは、店舗で商品の提案を受けたり、投資相談をしたりすることができるのに対し、iDeCoは、自分で商品を決めて運用していく制度だからです。

つまり、iDeCoは、金融機関の担当者からおすすめの提案を受けることができません。そのため、商品数が多くて選ぶのが煩雑とならないように、35商品以内とシンプルになっています。

自分で決めて運用しなくてはならないとはいえ、国内外の株式や債券を中心とした、老後資金を準備するのに向いている投資信託がセレクトされているため、まずは安心してください。もし、制度や商品について分からない点がある場合は、専用のWebサイトを参照したり、コールセンターに聞いたりしながら運用してください。

NISAよりiDeCoの方が節税度は高い

資産作りの道のり
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次に、同じ商品がある場合は、NISAとiDeCoのどちらがお得かという質問です。

これは、金額の損得でいうなら、iDeCoに軍配が上がります。iDeCoは、NISAと同様に運用益が非課税となりますが、それに加え、給与などの所得に対して掛かる税金が安くなります。つまり、節税ができる点が魅力です。

仮にJさんが会社員なら、秋ごろに年末調整の書類を提出していると思います。その書類にiDeCoの積み立てをしたことを記載し提出すると、給与に還付分が上乗せされるのです。会社員以外なら、確定申告での手続きとなります。

仮に、年収(額面給与)が300万円で、毎月2万円ずつ積み立てるなら、年間で所得税1万2000円、住民税2万4000円の合計3万6000円が節税できるという訳です。所得が多くなるほど所得税の税率は上がるため、更に節税効果は高まります。Jさんは30代とのことですので、60歳まで毎年その恩恵が受けられるというのは大きな魅力ですね。なお、税金を納付する立場でないと還付もないため、パートなどの場合は特に還付が受けられそうか、納税額を確認しておくとよいでしょう。

その他にiDeCoが有利な点は、iDeCoで購入する全ての商品には、購入時手数料が掛からないという点です。NISAの商品の中には、投資をする時にこの手数料が差し引かれるものもあります。具体的な手数料額は、商品ごと、購入する金融機関ごとに異なり、1~3%くらいが目安です。しかし、その他の手数料としてiDeCoには、加入時手数料2829円、口座管理料171~約600円などが積立金から差し引かれることも知っておく必要があります。とはいえ、これまで見てきた所得税や住民税の減税分を考えると一般にiDeCoは有利な制度と整理できます。

NISAは投資額可能額が大きく、自由度が高い 

投資
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このようにiDeCoはとても魅力的です。しかし、留意点もあるため、NISAと比較しながら確認していきます。

まずは、ご存じの通り、iDeCoは60歳まで引き出せないという点です。途中で払い出して使う可能性がある場合は、NISAの方が目的に合っているということになります。

また、iDeCoは、NISAに比べると掛金の上限が限られます。掛金は、会社員なら月額1.2万~2.3万円、自営業者なら月額6.8万円が上限で、コツコツと積み立てながら老後資金の準備を進める制度です。

NISAも年間の投資額に上限はあるものの、成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円の合計360万円の投資が可能です。NISAは、iDeCoより多くの資金を投資できます。

また、NISAの成長投資枠は、積み立てだけでなく、好きなタイミングで一括投資も可能です。そういった意味でもiDeCoと少し異なることが分かります。

このように、NISAとiDeCoは、それぞれ特徴が異なります。資金使途や投資目的に合わせて上手に使い分けるのがポイントです。また、NISAとiDeCoを別々の金融機関にすることも可能です。HPなどで調べてみましょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。