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新入社員さんよ“退職代行サービス”で失うものを知ってるかい!?

「お金0.2から2.0まで」新しい経済のルールと生き方を考える 中村 修治

新入社員さんよ“退職代行サービス”で失うものを知ってるかい!?

【画像出典元】「 shironagasukujira/stock.adobe.com」

退職代行サービスとやらが話題になっている。会社やアルバイトを辞めたい時に、自分では言い出しづらいので、そのへんを代行してもらうってサービス。利用の相場は、2~5万円だそうである。
ワタシ(中村修治)は昭和のオッサンらしく“自分のケツくらい自分で拭け!!”なんてパワハラ発言は、グッと飲み込む。このサービスのデメリットを合理的にお伝えしたいと思う。
新入社員の皆さんよ、よーく読んで、考え直しておくれ!!

交渉権を放棄するという覚悟はある!?

退職代行サービスを活用してできることは、自分を介さずに、会社を辞めると伝えて、単に辞めることができること。しかし、民間企業が運営している退職代行サービスには交渉権がない。有給消化や未払いの給与などに関する交渉ができないと言われている。

このサービスを活用するということは、働いていた企業との交渉権を手放すということでもある。サッパリは辞められるが、希望は通らない。希望を通したい場合は、別途、弁護士さん等を費用をかけて雇う必要が出てくる。

もし勤務中の態度にも問題があり、さらに業務で問題を起こしていたことをキッカケに、退職代行サービスを活用して辞職をした場合、反対に、会社側から損害賠償請求をされてしまう可能性もゼロではないという。
自分のケツを自分で拭かない!!という行為は、キレイに自分のケツを拭いてもらえないというリスクを抱えているわけである。

ネギカモリストっていうのを知ってるかい!?

世の中には想像以上に個人情報が出回っている。消費者金融や銀行の融資を可能にするための与信情報なんていうのは、その代表的なもの。所謂ブラックリストってやつ。スピリチュアル系の怪しい通販商品を購入した人のリストは「ネギカモリスト」として扱われ流通しているという都市伝説がある。

想像の域を出ないが、退職代行サービスを活用した人のリストは、企業側にとってはリスク回避のための欲しいリストになる可能性がある。個人情報保護という法律の枠を超えて流布してもおかしくないかもよ!?

終わる方が難しいこと知ってるのかな!?

結婚より、離婚の方がエネルギーを使う。
会社は始めるより、終わることの方が難しい。
円満退社など、夢のまた夢である。
だからこその退職代行サービス出現ではあるのだが…。

ワタシは、独立するときに会社を辞めた。揉めるつもりなどなかったが、嫌味を言われたり、愚痴られたり。キレイにちゃんと会社を辞めるのは、難しいものだと悟った。

起業した後は、何人かのスタッフが入れ替わった。退職願いも受けとった。送る側になってわかった。心中穏やかじゃなくなる。なんか言いたくなる。不徳のいたすところである。会社は、どのみち、ちゃんと辞められないのである。退職願いの理由なんて誰も信じていない。キレイに辞めることを望んでいては、いつまで経っても同じである。きっと喧嘩してでも辞める意思みたいなものがないと、次もない。何度も言うけど、会社は、キレイに辞められない。揉めたことをエネルギーにするくらいの覚悟を持つことをお勧めする。

逆説的になるけれど、会社を退職代行サービスなんかで簡単に辞めちゃうと、この大事な反発エネルギーが満たされない。そのエネルギーが満たないままに転職をしても、また、同じことを繰り返すことにならないか!?

恋愛で学ぶべきことがあるのは、別れの時である。自分は、どういう人間なのか!?何を悲しんでいるのか!?何が悪かったのか!?そこを簡単に済ませては、次のシアワセも泡となる。

終わることの方が難しいことを知って、終わる体験をすることが、人間を育てる。良き社会人とは、自分のケツは自分で拭いてきた人間のことである。自分でケツを拭いた終わりは、良いスタートになるということでもある。

辞めたいのがブラックな企業であるなら!?

退職代行サービスを活用するには、ちゃんとした理由があることも認める。特に企業側が約束も守らない真っ黒な企業である場合は、致し方なしだとも思う。心身に不調をきたすほどの環境なら、そんなとこは、面倒臭いことを回避してケツを拭いてもらうのもアリである。

そういう場合を除いてはね…改めて考えて欲しい。
家庭にも、仕事にも、慣性の法則というものが働いている。
止まれと言われても、止まれない…。
止まれるくらいなら、もうとっくに止まっている…。
止まれないから、生きているのである。
止まれないから、ご飯も食べるのである。
止まれないから、仕事もしているのである。
止まる&辞めるというのは、
そこで活用したエネルギーを次に生かして、
さらなる慣性の法則に従いスタートさせることである。だからね、その止まる&辞めるエネルギーを惜しんじゃいけないと老婆心ながら思うのですよ。

退職代行サービスに使った3万円は、
生涯の大きな機会損失になることがあるってことを肝に銘じて欲しい。
結局、自分のケツは自分で拭く以外の信用の創り方はないからね。