30代男性は平均いくら税金払ってる?たばこ・お酒も含めて試算してみた
目次
世の30代男性は、収入のうち、どのくらい税金を納めているのでしょうか。30代男性の平均年収・所得を基に、所得税・住民税など社会人になったら払う税金の種類に加え、たばこやお酒、車の税金など、生活費や娯楽の中でも支払っている税金も含めて考えてみました。その他、ちょっと変わった税金や意外と知らない税金のことも紹介します。
30代男性の平均年収と所得から所得税や住民税を試算
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和5年)によると30代男性の平均年収は以下のようになっています。
あくまで平均なので、大企業勤務の場合などは500万円や600万円、それ以上の年収の人もいると思いますが、今回はこの調査を踏まえ、30代男性の平均年収を320万円と想定します。
会社員の場合、給与所得に所得税と住民税がかかります。給与所得は「給与収入」から「給与所得控除額」を差し引いたもので、以下の計算により216万円となります。
年収(給与収入)・・320万円
給与所得控除・・・・320万円×30%(※)+8万円=104万円
給与所得・・・・・・320万円-104万円=216万円
※年収180万~360万円の人は「収入金額×30%+8万円」が給与所得控除
ただし、基礎控除や払った社会保険料などの所得控除後が課税対象となります。配偶者や扶養親族のいない独身男性でも100万円程度の所得控除が見込まれるため、その分を給与所得から差し引いた116万円分が課税対象となります。所得税は195万円まで5%の税率となるため、約5万8000円となります。
課税所得・・・・・216万円(給与所得)-100万円(所得控除)=116万円
所得税・・・・・・116万円(所得控除)×5%(※)=5万8000円
※所得税は195万円まで税率5%
住民税は、課税所得に対して10%を支払います。厳密には所得控除など所得税とはやや異なる点もありますが、今回は便宜上、課税所得を116万円にします。
住民税・・・・・116万円(課税所得)×10%=11万6000円
所得税・住民税を合わせると約17万4000円となります。
手取りから消費税分を試算
先の例で所得税と住民税の合計は約17万4000円と分かりました。年収320万円前後の場合、給与と賞与のバランスや加入している健康保険組合などによって異なりますが、年間で45万円ほど健康保険料や厚生年金保険料の負担が見込まれます。よって、税金と社会保険料を引いた金額が手取りとなります。
手取り=(年収)ー(所得税・住民税)ー(健康保険料・厚生年金保険料)
320万円-17万4000円-45万円=257万6000円
年収320万円の手取りは約257万6000円。月額にすると約21万円です。
さて、ここからどれくらい消費に回しているでしょうか?一般的に手取りの1~2割の貯蓄が推奨されているため、約2割を貯蓄、iDeCoやNISAといった積立金に回すと、年間で使えるお金は200万円ほどになります。
家賃など消費税が課税されないものもありますし、消費税も8%と10%に分かれますので、概算で年間で使えるお金200万円の7割にあたる140万円を消費税対象のモノやサービスに使ったとしましょう。平均9%の消費税が支出に含まれているとすると、
消費税・・・140万円-140万円÷(1+9%)=約11万5000円
となり、年間約11.5万円の消費税を払っていることになります。
たばこ、お酒、車の税金はいくら払っている?
ここからは各人の嗜好によって大きく変わってくるところです。気になるところをチェックしてみてください。たばこやお酒などは消費税も払う必要がありますが、消費税は全体支出で想定していますので、消費税を除いた金額で計算しています。
たばこ
たばこは1箱、定価580円(20本入り)あたり304.88円がたばこ税となります。JTの調査によると毎日吸っている男性は1日あたり17.7本吸っているということです。よって1年間で約323箱購入することになりますので、304.88×323=約9万8000円も税金を負担していることになります。
参照:JT「2018年「全国たばこ喫煙者率調査」、男女計で17.9%」
お酒
お酒は種類により税率が異なりますが、代表例である缶ビール350円の場合、1缶70円が酒税となります。晩酌としては1日1本程度でも、飲み会などではたくさんお酒を飲むという人も多いでしょう。1日缶ビール2本で計算すると年間5万1100円となります。
ビールが最も税率が高く、小売価格に対して約32%、消費税まで含めると4割以上が税金となります。日本酒やウイスキーなどは2~3割程度といったところです。
車
車の所有者は、毎年自動車税を払わなければなりません。総排気量によりますが、2万9500円~4万5000円ぐらいがよくあるパターンに該当します。排気量が1.5~2.0Lの場合、3万9500円で、このあたりの金額を負担している人が多いのではないでしょうか。
またガソリンにも税金がかかります。1Lあたり56.6円が各種ガソリン関係の税金の総額となります。車の利用頻度や車の燃費によって大きく異なりますが、1カ月あたり100L給油したとして、1年間で6万7920円の負担となります。
自動車税も合わせると、年間10万円ほど車にかかる税金を払っていることになります。その他、購入時や車検時にも税金がかかるため、最近車を持たない若い人が増えているのも納得です。
お酒、たばこ、車…全部該当する人が払う税金額は?
ここまで30代男性が負担する税金を概算でみてきました。特に嗜好品は個人差が大きいですが、ここまで紹介してきたものを全て足してみましょう。
所得税・住民税・・・・・約17万4000円
消費税・・・・・・・・・約11万5000円
たばこ税・・・・・・・・約9万8000円
酒・・・・・・・・・・・約5万1100円
車・・・・・・・・・・・約10万円
合計・・・・・・・・・・約53万8100円
上記の場合、年間で50万円以上の税金を払っていることになり、これは320万円の年収に対して約16.8%を占めます。お酒をよく飲む人や長距離運転が多い人などはもっとその負担額が増えそうですね。
渋滞税に独身税⁉世界にはこんな税金も!
おそらく読者の方全てが、なんらかの銀行預金をされていると思います。その銀行預金は年に2回利息がもらえますが、この利息にも20.315%の所得税と住民税が課せられます。利息自体わずかなのでその存在を知らない人も多いのですが、わずかな利息の中からなんと2割近くも税金が差し引かれているのです。
また旅行に行った際に、都道府県や施設によっては宿泊税や入湯税がかかります。1人あたり100~200円程度ではありますが、何かと出費の多い旅先でこういった課税に負担を感じている人もいるはずです。
海外には「渋滞税」という税金を課す国もあります。渋滞の激しい道路を通る際に払う税金です。税金を課すことで渋滞緩和を狙っています。現在円安で多くの外国人が旅行に訪れ、「オーバーツーリズム」状態となっている日本。渋滞税と同様の制度を取り入れようと検討しているところもあります。
「独身税」として独身の人に税を課していた国もあります。多様性の時代、今後、このような税金の導入は考えにくいですが、日本に限らず多くの国で、税金の計算上、配偶者控除や扶養控除があるため、実質、独身の人の税負担が重くなるような課税体系になっています。このあたりも今後見直しポイントとなりそうです。
税金は知ることが大切
30代男性の税負担について考えてきました。一般的にこれからどんどんお給料が増え、それと同時に消費も多くなり、何かと税金を負担する世代です。どれだけ税金を払っているかを知ることは、税金が適正に使われているのか?と社会や政治に目を向ける機会になると思います。
世代的にも会社や地域などで中心的な存在となる頃です。スマートに税金と向き合っていきたいですね。