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今建てるならZEH住宅?メリット・デメリットから補助金額まで

そなえる 内山 貴博

今建てるならZEH住宅?メリット・デメリットから補助金額まで

【画像出典元】「stock.adobe.com/Dee karen」

年々「猛暑」や「酷暑」という表現を使う機会が多くなり、熱中症対策のためにエアコンの使用も増えました。しかし、電気代や環境への配慮も気になるところです。そんな中、環境省・国土交通省・経済産業省が推進しているのが「ZEH(ゼッチ)住宅」です。今回はこのZEH住宅について基礎から紹介していきます。

ZEH住宅とは?ゼロエネルギーで光熱費が抑えられる仕組み

ZEH住宅の頭文字はそれぞれZ=Zeroゼロ、E=Energy エネルギー、H=House 住宅です。ゼロ・エネルギー・ハウスとなりますが、実際はこれに「ネット」が付き、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の意味です。

「ネットゼロ」とは、使うエネルギー量と創るエネルギー量の差し引きがゼロになることを意味します。自宅で生活をする上でエネルギーを全く使わない「ゼロ・エネルギー」を目指すということは難しいですが、エネルギー収支がゼロまたはマイナスを目指す住宅がZEH住宅です。よって、以下3点がポイントになります。

高い断熱性能があればエアコンや暖房を効率的に使用することができ、省エネに繋がります。そして使うエネルギーを抑えながら、太陽光発電などで使用分と同等、または上回るエネルギーを創出することを目指します。

ZEH住宅で光熱費はどれくらい節約できる?

省エネ
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「今の住宅は省エネ性能が高いので、ZEH住宅ではなくても…」という声もありますが、国土交通省によると、北海道など寒さが厳しい地域などを除いた一般的な地域では、従来の省エネ住宅と比べ、ZEH住宅は年間4万6000円の節約、太陽光パネルの設置でさらに4万円の節約ができるという試算があります。

太陽光発電設備による発電量は自家消費を優先、売電量については考慮されていないため、まさに「ネットでゼロ」が実現し、売電できる状況になればさらに経済的効果が期待できます。

ZEH住宅で使える補助金とは?

ZEH住宅には、取得する個人や建設や販売を行う法人向けの補助金制度が用意されています。個人が新築住宅を建築・購入する場合はZEHとZEH+の2つの区分があり、ZEHは55万円/戸、より高い基準を満たしているZEH+の場合、90万円/戸の補助金制度が用意されています(2025年度時点)。

加えて、その他「蓄電システム」で最大20万円など追加設備に対する補助金もあり、条件を満たせば、最大で100万円以上の補助金を受けられるケースもあります。

それぞれスケジュールが決まっており、先着方式でもあるため、ZEH住宅購入を検討している方は補助金制度の動向を確認しておきましょう。

参考:ZEH補助金

ZEH住宅のメリットとデメリット

メリットとデメリット
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ここまでZEH住宅の特徴について紹介しましたが、いざ購入となるとやはりメリットばかりではなく、デメリットも気になるところです。以下、メリットとデメリットをまとめました。ここまで紹介してきた内容も含まれますが、参考にしてください。

何より環境に配慮しながら光熱費を節約できるというのは大きなメリットになるでしょう。また、一般的に省エネ性能の高い物件は資産価値が高く、価値が下がりにくいと言われています。当然その分、省エネ設備や断熱材など初期費用が高かったり、メンテナンス費用が生じたり、購入・維持費用は通常物件よりも高くなることが多く、デメリットと言えるでしょう。

なお、ZEH水準省エネ住宅は通常の省エネ基準適合住宅よりも住宅ローン控除の限度額が500万円多くなるといったメリットもあります。

【FPアドバイス】ZEH住宅を選ぶ前に考えたい3つの視点

FP相談を通して多くの方の住宅購入に関わってきましたが、やはり家は生活の基盤となり、長く住むことになるため、以下の優先順位を意識して決めることが重要であると感じています。

①    家族の価値観、ライフスタイル
②    生活環境、生活のしやすさ
③    コスト

①家族の価値観、ライフスタイル

自宅という空間で一緒に生活する家族がどのようなライフスタイルを望んでいるのか?それぞれの価値観や絶対に譲れないものなどを共有することが大切です。それによって戸建てかマンションか、中古も含めて検討するかなど、具体的な条件に踏み込んでいけるでしょう。

②生活環境、生活のしやすさ

立地という言い方もできそうですが、自宅周辺の環境や利便性といった点も重要な要素となるでしょう。また子どもがいる場合は校区にも影響してくるため、優先順位は高くなるでしょう。

③購入費用・維持費など住宅コストの総合的検討

3番目の位置づけにしましたが、①や②と向き合いながら、何より予算、維持費といったコストも重視すべきです。理想的な自宅や環境でも、その後、住宅ローンの返済が厳しくなったり、維持費の負担が重くのしかかったりという状況では、快適な生活を続けるのが難しくなるでしょう。

省エネ性の高さや補助金があることからZEH住宅を第一に考えると、本来優先すべき点が満たされない可能性があります。上記3つを意識した中で、ZEH住宅をはじめ環境性能の高い住宅が候補になればなお良いと思います。

温暖化をはじめ環境問題は地球単位で今後も向き合っていかなければならないでしょう。ZEH住宅かどうかを問わず、環境にやさしい生活を心がけていきたいものです。