くらし

アウトドアでも活躍!話題のノスタルジックな南部鉄器のパン焼き器とは?

1万円で叶うこと

南部鉄器の「タミパン」が人気を集めています。「タミパン」とは、終戦直後の昭和20年代、「タミさん」という女性が配給のメリケン粉にカボチャを混ぜてつくったパン焼きを再現したパン焼き器。なぜ今、このパン焼き器が人気なのでしょうか?「タミパン」の誕生秘話とその魅力について紹介します。

タミさんが子どものためにつくったパン焼きが原点

タミパンクラシックの生みの親「タミさん」

終戦後の昭和20年代、使うことがなくなった戦闘用飛行機「零戦」の材料を加工してつくられた、「零戦パン焼き器」と呼ばれるジャラルミンでできたパン焼き鍋がありました。このパン焼き鍋を使って、配給のメリケン粉に甘味を加えるためのカボチャを混ぜ、子どもたちのためにパンを焼いていたのが「タミさん」という女性です。

それから約半世紀経ち、偶然このパン焼き鍋をみつけたタミさんは、再びパンを焼いて娘さんに届けました。懐かしいパンの美味しさに感激した娘さんの声がきっかけで、南部鉄器でこのパン焼き鍋を再現する案が持ち上がります。実は、娘さんの嫁ぎ先は南部鉄器の老舗メーカーである「及源鋳造(おいげんちゅうぞう)」。タミさんの孫娘が商品開発を担当していました。試行錯誤の上、商品化されたパン焼き鍋は「タミさんのパン焼き器(タミパン)」として発売され、みるみるヒット商品となったのです。

900年の歴史を持つ「南部鉄器」

「タミパン」がつくられている「南部鉄器」は、岩手県に伝わる歴史ある鉄器。特に、岩手県南部の奥州市の南部鉄器は、奥州藤原氏が呼び寄せた鋳物師にルーツを持つと言われており、約900年の歴史があるとされています。鋳型に溶かした鉄を流し込んでつくる鋳造式の鉄器で、上山地の砂鉄や木炭、北上川の砂や粘土などの良質の鋳型材料を使用してつくられてきました。

伝統工芸品としてつくられる南部鉄器には、非常に高価なものも多く、高いイメージがありますが、この「タミパン」はリーズナブルに購入可能。伝統工芸品としての南部鉄器には「焼型法」という手法が使われていますが、「タミパン」のようにデイリーに家庭で使用できるような鉄器は「生型法」という製造方法でつくられています。

「タミパンクラシック」はタミさん100歳の記念デザイン

タミパンクラシック

「タミパンクラシック」は、この「タミさんのパン焼き器」の最新版で、タミさんが100歳を迎えた記念につくられたリニューアルデザイン。刻印されている文字は日本語からローマ字の「Tami」となり、よりスタイリッシュなイメージとなりました。

分厚い南部鉄でつくられたタミパンクラシックは熱伝導に優れ、焼き上げるパンの中心までしっかりと火が通り、ふっくら、こんがりとした焼き上がりに。中央が煙突状になっているデザインも美味しさをつくる工夫のひとつです。蓋は単体でフライパンとしての利用も可能。カセットコンロやキャンプ用シングルバーナーでも使えるので、アウトドアシーンでの利用もおすすめです。

ふっくらとした美味しいパンが約30分という短時間で焼ける上、優れた保温性を有するため、焼きたてのパンの美味しさも持続。南部鉄器はきちんとお手入れすることにより、100年使うことができるとも言われており、まさに一生もののアイテムなのです。

タミパンで楽しくつくる「基本のパンレシピ」

タミパンクラシックでつくるパン

 

「タミパンクラシック」でつくる基本のパンは、パンづくり初心者でもチャレンジしやすいシンプルなレシピです。

1.強力粉150g、全粒粉30gを準備し、塩と砂糖、ドライイーストを加えて混ぜます。
2.混ぜた生地をぬるま湯で10分ほど予備発酵させます。
3.弾力が出るまで、約10分間しっかりと生地をこねます。
4.こねた生地を丸くまとめて一時発酵させます。
5.生地を8等分にし、ラップをして10分程度休ませた後、ガス抜きをしながら丸めなおします。
6.生地をタミパンクラシックにならべ、蓋をして40分程度最終発酵させます。
7.焼き上げます。コンロでの焼き上がりの目安は弱火で20分程度、ひっくりかえしてからは5分程度。オーブンでも調理可能です。

OIGENオンラインショップ、ファクトリーショップで購入すると、パン以外にもスイーツなどが楽しめるオリジナルレシピハンドブックの特典も。工夫次第でくるみやチョコレートなどを入れたアレンジパンやパウンドケーキなど、さまざまなレシピに応用できるのも大きな魅力ですね。

及源鋳造(おいげんちゅうぞう)株式会社 タミパンクラシック

http://shop.oigen.jp/?pid=85846205

8640円(税込)


物資が乏しい時代、ひとりの女性が子どもの成長のために工夫してつくったパンが原点にある「タミパン」。家族で楽しめるレシピを生み出す調理アイテムとして長く愛用できそうです。