初落語、楽しかった!もっと落語のディープな世界を教えて?
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監修・ライター
笑いに笑った、初めての落語会。わたし、結構ハマっちゃいそう…。もっといろいろ聞いてみたくなりました。
Q1 ここに注目すると、もっと落語がおもしろくなるというポイントはありますか?
A1 落語は、噺家と聞く人の想像力で成り立っている芸能です。よく言われるように、高座の上で噺家が持つモノは、基本的には手ぬぐいと扇子のみ。場面によって、手ぬぐいが、財布になったり本になったり。扇子が、箸になったり刀になったり。ちょっとした所作と話芸で、まるで本物らしく見えてくるから不思議ですよね。
また落語には、定番の登場人物というのがいます。その特徴を知っておくと、話が分かりやすくなります。
ご隠居…町内では物知りで通っている。ちょっと強引なところが玉に瑕
若旦那…金持ちの親の脛をかじって、道楽のし放題
おかみさん…気が強くって、旦那はたじたじ。でも根は優しい、よき妻
大家…親も同然の、長屋を取りまとめてくれる頼れる相手。夫婦二人の、強い味方
与太郎…ちょっと頭の回転が悪い、でも愛すべき若者。実は落語のキーマン
八っつあん・熊さん…江戸っ子代表。気が短くって情に厚い!
金坊(きんぼう)…頭の回転が早い、おませな小学生。ぼんやりものの父親を手玉に取るのが得意
ご近所にいそうなキャラクターで、ぐっと身近に思えてくるでしょう? 話の中に彼らが登場したら、「あ、これは…」と思って聞いてみましょう。
Q2 今度の東京出張で、初寄席にチャレンジしてみます。でもどんなところかちょっと不安…。
A2 いいですね! 言い方は悪いですが、寄席は「時間つぶし」にはもってこい。昼席・夜席の1日2回公演で、全席自由で毎日やっています。予約も必要ありませんし、途中入場も途中退席もできるから、好きな時間にふらりと行けばいいんです。浅草演芸ホールと新宿末廣亭は、一度木戸銭を払って入れば、夜席の終わりまで入れ替えなしで楽しめます。
落語はもちろんのこと、落語と落語の間にはマジックや曲芸、漫才、講談などの「色物」といわれる芸が挟み込まれていて、これも楽しい。
寄席の楽しさは、リラックスして見られるところ。売店でお弁当を買って、ビールなんか飲みながら聞くのもいいし、ちょっと眠くなっちゃったなと思えばうとうともOK。なんというか、大人の楽しみ方ができるところです。
主な寄席は、東京では新宿末廣亭、上野鈴本演芸場、浅草演劇ホール、池袋演芸場、国立演芸場。大阪は天満天神繁昌亭、動楽亭、道頓堀角座、なんばグランド花月なんかがありますね。
Q3 やっぱり東京・大阪なんですね。福岡に住んでいると、なかなか聞けないものですか?
A3 実は意外にそうでもないんです。わたしは福岡は落語が好きな人にとっては、かなり恵まれた土地なんじゃないかと思っているんですよ。
以前は福岡には、まったく落語を聞く環境がありませんでした。「福岡ではなかなか落語が育たないね」という話がきっかけで、六代目三遊亭円楽さんが「演者は集めるから、菊田さんは会場を作ってね」とおっしゃってくれて、10年前に「博多・天神落語まつり」を始めました。1回目は6500人だったお客さんが、なんと今年は2万4000人を見込めるほどに。
そうすると、だんだんお客さんが育ってくるんです。大勢が登場する落語会から入ったお客さんが、好みの噺家を見つけて二人会や独演会に足を運んでくれるようになって、定期的な公演として「福岡天神イムズ寄席」が開かれるようになりました。またお客さんで来てくれていた方がすっかりハマっちゃって、自分で噺家さんを呼ぶ「美案寄席」を始めたり。
福岡は東京・大阪のお膝元から離れていることもあって、両方の噺家の噺を聞くことができるという、土地柄の大きなメリットがあります。そのうえ東京だとあっという間に売れてしまう、人気の噺家のチケットも手に入りやすい。実は福岡は落語天国でもあるんです。
年に一度の「博多・天神落語まつり」が終わっても、いろんな方法で落語を楽しむことができるんですね。最近ではCDやポッドキャストで聞けちゃうことも分かって、いつの間にかスマホにたくさんの落語が…。もっと落語ライフ、楽しんでみます!