浴室乾燥機とドラム式洗濯機の乾燥機能、コスパがいいのは?
梅雨の時期に限らず、年間を通して室内干しをする人も多くなりました。そこで気になるのが電気代です。お風呂場の浴室乾燥機で部屋干しした場合と、ドラム式洗濯機(ヒートポンプ式・ヒーター式)で乾燥させた場合とでは、電気代の差はどの程度になるのでしょう。
今回は、浴室乾燥機とドラム式洗濯機の電気代コストを比較していきます。
浴室乾燥機とは?
「浴室乾燥機」とは、お風呂場の天井などに設置されている空調設備です。近年の戸建て住宅やマンションでは、標準装備されていることが多く一般化してきています。
浴室乾燥機の主な機能は以下になります。
・予備暖房
・浴室換気
・涼風
・衣服乾燥
など
浴室乾燥機には衣服乾燥ができる機能も備わっているため、お風呂場内で洗濯物の部屋干しが可能です。
メリット
浴室乾燥機を使った部屋干しは、洗濯乾燥機で乾燥させた場合に比べてシワが少なく、仕上がりが良いことがメリットです。一度に大量の衣服を乾燥できる点も強みであり、洗濯乾燥機だと一度では処理しきれない洗濯物の量であっても、浴室乾燥機であれば一回の運転で済むことも。
またリビングや寝室などで部屋干しをすると、室内に臭いが残ってしまったり、見栄えが悪くなってしまったりすることが欠点ですが、浴室乾燥機であればお風呂場で干せるためそうした悩みもありません。
その他、予備暖房を使い浴室や脱衣所を温めれば、入浴前後に起こりやすい「ヒートショック」の予防にもなります。
デメリット
浴室乾燥機のデメリットは乾燥までに時間がかかることです。一般的に3時間程度稼働させる必要があり、乾くまでに時間がかかります。稼働時間が長いことから電気代が高くなりがちな点も注意しなければなりません。
また後付けする場合には、通常は専門業者にリフォーム工事を依頼する形となるため、手間がかかるという欠点もあります。
ドラム式洗濯機とは?「ヒートポンプ式」「ヒーター式」の違い
ドラム型洗濯機にはどのような乾燥機能が備わっているのでしょう。「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」、2タイプの特徴を交えながら解説します。
ドラム式洗濯機とは?
洗濯乾燥機(洗濯機)には、「ドラム式」と「タテ型」の大きく2種類があります。「ドラム式」は、斜めに設置されたドラムを回転させる形状で、「タテ型」よりも洗濯している衣類のからみが少ないため、生地が傷みにくいというメリットがあります。
「ドラム式」では、後述する「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」の2タイプの商品が発売されています(「タテ型」はヒーター式のみです)。
ヒートポンプ式
「ヒートポンプ式」は、除湿機で乾燥させるイメージの乾燥方式です。空気中の熱エネルギーを使い、乾いた温風で洗濯槽内を乾燥させます。エコな設計がされているためヒーター式よりも消費電力が少なく、また低い温度で乾燥するため衣類の傷みや縮みが少ないこともメリットです。
ヒーター式
「ヒーター式」は、ドライヤーのようなイメージの乾燥方式です。直接熱を当てて洗濯槽内を乾燥させます。ヒートポンプ式が開発される前からある乾燥方式であり、価格が安めであることがメリットですが、ヒートポンプ式に比べると消費電力が大きくなりやすいという欠点があります。
また、「水冷除湿タイプ」と「排気タイプ」という2つの除湿方式があり、水冷除湿タイプでは冷却水を使用するため、水の使用量も増えてしまいます。
3つの初期費用比較
ここでは、浴室乾燥機、ドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)、ドラム型洗濯機(ヒーター式)、それぞれの初期費用について比較します。
浴室乾燥機の初期費用
浴室乾燥機本体の価格は、機種や販売店にもよりますが概ね5万~10万円程度が目安となります。例えばパナソニックの浴室乾燥機「FY-13UG7E」の価格は、価格.comで5万9999~9万7288円で推移しています(2024年5月現在)。
また浴室乾燥機を後付けする場合、リフォーム工事が必要になり、工事費の目安は2万~4万円程度です。
ドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)の初期費用
ドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)の価格は、価格.comで14万~32万円程度で推移しています(2024年5月現在)。一部の安いモデルでは14万円台から購入できるものもありますが、その多くは20万円台です。
ドラム型洗濯機(ヒーター式)の初期費用
ドラム型洗濯機(ヒーター式)の価格は、価格.comにて10万~36万円程度で推移しています(2024年5月現在)。ヒーター式はヒートポンプ式よりやや価格水準が安く、10万円台で購入できる製品も多数存在します。小型な機種であれば、時期によっては10万円以下で購入できることもあります。
初期費用を比べると?
この3つの中で初期費用が最も高くなりやすいのは、ドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)であり、本体の購入に20万円以上かかることも珍しくありません。浴室乾燥機についてはリフォーム工事費用が発生することもあり価格が読みにくく、工事を依頼する業者によっても価格差が生じやすいです。
1日あたりの電気代比較
乾燥時にかかる電気代は、浴室洗濯機、ドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)、ドラム型洗濯機(ヒーター式)の3つでどの程度差が生じるのでしょう。1日あたりにかかる電気代を計算、シミュレーションしていきます。
※電気料金の目安単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が制定している電気料金31円/kWhを基に計算します。
浴室乾燥機:116.25円
パナソニックの浴室乾燥機「FY-13UG7E」の消費電力は、1250W(自動乾燥時)です。乾燥時間は通常期(冬季以外)は3時間とされており、想定される1日あたりの電気代は116.25円となります。
計算式:
1250W÷1000×31円/kWh÷60×3時間(180分)=116.25円
ドラム型洗濯機(ヒートポンプ式):59.02円
パナソニックのヒートポンプ式のドラム洗濯乾燥機 「NA-LX125CL(洗濯容量12kg、乾燥容量6kg)」の消費電力は、960W(標準乾燥モード)です。想定される1日あたりの電気代は59.02円となります。
計算式:
960W÷1000×31円/kWh÷60×119分=59.02円
※カタログ上、定格洗濯乾燥時(標準乾燥モード)での目安時間は119分
ドラム型洗濯機(ヒーター式):199.48円
パナソニックのヒーター式のドラム洗濯乾燥機 「NA-VG2800L/R(洗濯容量10kg、乾燥容量5kg)」の消費電力は、1980W(標準乾燥モード)です。想定される1日あたりの電気代は199.48円となります。
計算式:
1980W÷1000×31円/kWh÷60×195分=199.48円
※カタログ上、定格洗濯乾燥時(標準乾燥モード)での目安時間は195分
電気代を比べると?
この3つ中で電気代が最も高くなりやすいのは、ドラム型洗濯機(ヒーター式)です。一方で、最も電気代が安くなりやすいのはドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)であり、ヒーター式の1/3程度の電気代に抑えられます。浴室乾燥機の電気代は、上記2台の中間に位置付けられます。
以上、浴室乾燥機とドラム式洗濯機の電気代について比較しました。浴室乾燥機はドラム型洗濯機(ヒートポンプ式)に比べると電気代が掛かりますが、その分、シワ防止、臭い防止、ヒートショック予防等のさまざまなメリットもあります。洗濯物の量の大小など、使用環境によっても恩恵の大きさが変わってきますので、ご家庭の状況も踏まえた上で選びたいところです。