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真夏の車のオーバーヒート、修理代はいくらかかる?原因と対処法

そなえる

真夏の車のオーバーヒート、修理代はいくらかかる?原因と対処法

【画像出典元】「dusanpetkovic1- stock.adobe.com」

暑い夏はエンジンの温度も上がりやすく「オーバーヒート」が起きやすい季節です。オーバーヒートは危険な症状であり、修理費用も高額になりやすく、日頃から注意が必要です。

そこで今回は、オーバーヒートの症状や原因、対処法や修理費用を詳しくまとめました。夏のドライブに備え理解を深めましょう。

車の「オーバーヒート」とは

高速道路の渋滞
【画像出典元】「 Brian Jackson- stock.adobe.com」

「オーバーヒート」とは、エンジンが必要以上に熱くなりすぎた状態を指す言葉です。

車を動かす際、ガソリンを爆発・燃焼させるため、エンジンは加熱しますが、同時に冷却機能が働くため、エンジンの温度上昇は通常一定に抑えられています。

しかし、過度な走行をしたり、冷却機能にトラブルが生じていたりすると、エンジンの温度が必要以上に上がってしまい、オーバーヒートの状態となってしまうのです。

夏の渋滞で起こりやすい

暑い夏の日には、エンジンルームにも熱が溜まりやすく、エンジンの温度も上昇しやすくなるため、オーバーヒートのリスクが高まります。また、「渋滞時ノロノロ運転」「長い坂道での低いギア走行」などを続けることでもオーバーヒートを起こしやすくなりますので、旅行や帰省時のドライブでは、運転の仕方に注意する必要があります。

オーバーヒートの症状

車の水温計のアップ
【画像出典元】「Haru Works- stock.adobe.com」

オーバーヒートは段階を踏んで症状が重くなっていきます。ここでは「軽度」「中度」「重度」の3段階に分け、起こる症状を解説します。

軽度

・水温計が「H」寄りになる
・普段より加速が鈍い
・アクセルを踏むと異音が聞こえる
・エンジン回転数が安定しない
・エンジンから甘い臭いがする
など

これらはオーバーヒートの前兆ともいえる症状です。普段より加速が鈍いなど、違和感を感じた場合は、まず水温計をチェックしてみましょう。

中度

・水温計が「H」を超えている
・水温警告灯が赤く点灯
・アイドリングができない
・アクセルを踏んでいないと止まる
・「キンキン」「カンカン」等の異音が聞こえる
・エンジンルームから水蒸気が出ている
など

水温計が「H」を超え、水温警告灯が点灯し始めると、症状がだいぶ進行した状態です。アイドリングができないなど、目に分かる異常症状も出てきます。

重度

・水温計が「C」になる(冷却水不足)
・エンジンがかからない
・エンジンから焦げた臭いがする
・エンジンルームから白煙が上がっている
など

これらの症状が出始めると、重度で危険な状態です。走行を続けるとエンジンの焼きつきなどが起こり修理不能となることもあるため、無理に走行しようとせず、すぐにロードサービスなどを呼んだ方がよいでしょう。

オーバーヒートの5つの原因

エンジンルーム内のリザーバータンク(冷却水)
【画像出典元】「和久 澤田- stock.adobe.com」

オーバーヒートは理由なく起こるものではなく、何かしらの原因があって発生します。これからオーバーヒートの主要な原因を5つ紹介しますので、心当たりがないかチェックしていきましょう。

原因1.冷却水の減りや漏れ

「冷却水」とは、エンジン各部を冷やすための水です。「ラジエーター液」や「LLC」とも呼ばれます。この冷却水の量が減ると冷却力が低下するため、オーバーヒートを起こしやすくなります。冷却水は少しずつ蒸発するため、時間経過と共に量が減っていき、さらにホースなどが痛んでいれば漏れて一気に減ってしまいます。

原因2.エンジンオイルの劣化

「エンジンオイル」は、エンジンを冷却する効果も備えています。エンジンオイルが劣化や不足していると、エンジンの冷却力が下がり、またエンジン各部も滑らかに動かなくなるため、オーバーヒートを起こしやすくなります。

原因3.ラジエーターのトラブル

「ラジエーター」は、走行風を取り入れ冷却水を冷やす装置です。一般的にフロントのナンバープレート付近に装着されており、ラジエーターが故障していたり、ゴミや異物などで風の出入り口が塞がれていたりすると、冷却機能が低下し、オーバーヒートの原因につながります。また、ラジエーター本体だけでなく、キャップの劣化や冷却ファンの故障も、冷却機能を低下させる原因となりえます。

原因4.ウォーターポンプの不調

「ウォーターポンプ」は、冷却水循環のためのポンプです。ウォーターポンプに異常があると、冷却水がエンジンにうまく行き渡らなくなり、オーバーヒートを起こしやすくなります。

原因5.サーモスタットの不調

「サーモスタット」は、冷却水の温度を安定させる装置です。劣化するとバルブの開閉がうまくいかず、冷却水の温度が上昇しやすくなるため、オーバーヒートの原因につながります。

オーバーヒートの対処法

車のボンネットを開け電話をする女性
【画像出典元】「Jo Panuwat D- stock.adobe.com」

外出先でオーバーヒートが起きてしまった場合、ドライバーはその場で何をすればよいのでしょう。ここではオーバーヒート時の対処法を順を追って解説します。

手順1.車を停める

オーバーヒートが発生した場合、周囲の安全を確認したうえで、他の車の走行に邪魔にならない場所に車を停めます。

手順2.ボンネットを開ける

ボンネットを開け、風通しをよくし、エンジンを冷まします。オーバーヒート時には、ボンネットも高温になっていることがあるため、開ける際には火傷に注意しましょう。

手順3.エンジンはそのままかけておく

エンジンは切らず、かけたままの状態で、エンジンが冷めていくのを待ちます。エンジンをすぐに切ってしまうと、冷却水が循環せず温度が急上昇したり、エンジンオイルの循環が止まり、油膜切れを起こしエンジンが焼き付く可能性があるため、エンジンはかけた状態にしておくのが望ましいです。

ただし、冷却水等が漏れている時や、冷却ファンが回っていない場合には、ただちにエンジンを停止し自然冷却することがJAFからも推奨されています。

手順4.ロードサービスを呼ぶ

ロードサービスに電話し、救援がくるのを待ちます。

オーバーヒートした時の修理費用目安

オーバーヒートした車を修理する場合、費用の目安は、以下のようになります。

症状が軽度であり、冷却水やエンジンオイルの交換や補充で解決できるレベルであれば、1万円以下の出費で済むこともあります。一方で、重度になるまで放置し、エンジンの焼き付きなどが生じている場合、エンジン交換も含め100万円以上の出費となる可能性もあります。

また、あまりに状態が酷く広範囲に影響が出ている場合には、修理自体が行えず、廃車になることもあります。

以上、オーバーヒートについて解説しました。
今年2024年の夏も猛暑が予想されており、オーバーヒートが起こりやすい環境となるため、冷却水などのチェックを日頃から徹底しておきたいところです。またオーバーヒートは放置するとより症状が重くなりますので、もし走行中に違和感や前兆を感じられた場合には、できるだけ早めにディーラーや整備工場などで点検を受けておきましょう。