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出産で使えるケースも!急な病気や事故入院も安心「高額医療費制度」

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出産で使えるケースも!急な病気や事故入院も安心「高額医療費制度」

【画像出典元】「iStock.com/takasuu」

思わぬ事故や、大きな病気などで入院し高額な医療費を支払った場合に、お金が戻ってくる「高額医療費制度」。不意の出費を助けてくれるこの制度についてご説明しましょう。

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「高額医療費制度」とはどんなもの?

還付金イメージ
【画像出典元】「photoAC」


高額医療費制度は、1ヶ月間の医療費が高額になったとき、一定の金額を超えた費用が払い戻される制度です。正式には「高額療養費制度」といい、社会保険、国民健康保険、どちらに加入している人も利用できます。

入院のタイミングが大事。1か月あたりの自己負担額の限度は

【1か月の考え方】
ここでいう1か月とは入院日から数えるのでなく、その月の1日から月末までを指します。例えば11月末に入院して12月初めに退院した場合、1回の入院が高額だったとしても、11月と12月、それぞれの月の医療費の請求額が一定の金額を超えていなければ払い戻しはありません。急な入院でない限り、月をまたがないようタイミングを調整したほうがよいでしょう。

【いくらお金が払い戻されるの?】
一定の金額は制度的には自己負担額といい、この額がいくらになるかは所得・年齢などによって異なります。自己負担額は下記のような式で求められます(70才以上の高齢者は別の計算あり)。

高額療養費 自己負担額の表
【画像出典元】「厚生労働省保健局ホームページ

年収500万円で総医療費が100万円の場合(健康保険3割負担)を例に計算してみましょう。

まず、医療機関に3割負担分の30万円を支払います。年収500万円の場合は、上記の式で自己負担額が求められます。

8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円(自己負担額)
30万円(支払った金額)– 8万7430円(自己負担額)=21万2570円(戻ってくる金額)

ただし医療費といえるのは健康保険内の治療のみで、美容整形や高度先進医療といった自由診療、差額ベッド代などは含まれませんのでご注意を。

高額医療費制度の申請方法

振込先の通帳
【画像出典元】「photoAC」

高額医療費の申請方法は、医療費を支払った後に申請する方法、事前に限度額適用認定証を発行する方法の2パターンがあります。申請の方法は各健康保険、国民健康保険の窓口となる各地自体によって異なりますので、確認の上申請してください。

【支払い後に申請する方法】
退院後、支払った金額を各健康保険に申請する方法で、指定した口座に医療費が振り込まれます。申請から振り込まれるまで、約3ヵ月かかります。

【限度額適用認定証を発行する方法】
医療費が高額になるのが事前にわかっている場合、限度額適用認定証を発行しておくと支払いが自己負担額で済むという制度です。入院の日程が決まったらすぐに申請しておきましょう。

要チェック!妊娠出産でも使えるケース

出産のイメージ
【画像出典元】「photoAC」

妊娠出産は病気ではないので、健康保険内の治療とみなされず高額医療費の対象とはなりません。しかし、切迫流産や切迫早産、異常分娩などの場合は保険内の治療であり、高額医療費制度も利用できます。

【異常分娩とは】
経過が正常でないすべての分娩を異常分娩といい、帝王切開・吸引分娩・前置胎盤などを指します。ただし異常分娩であっても、医療費が自己負担額を超えない場合は高額医療費の対象とはなりません。

なお、正常分娩には高額医療費制度は使えませんが、出産一時金42万円は適用されますのでご安心ください。

高額医療費に確定申告は必要?

結論から言えば、高額医療費に確定申告は必要ありません。

それとは別に1年間に支払った医療費が10万円を超える場合、還付金が受けられる「医療費控除」という制度があります。高額医療費制度との併用も可能ですし、家族が受けた医療費用も合算することができます。その際には高額医療費制度で受け取った金額を除き、支払った金額だけを申請します。

医療費控除は保険治療のみ対象となる高額医療費制度と異なり、タクシー代、医師の指示による差額ベッド代、松葉杖の購入代なども対象となりますので、領収書などは保存しておきましょう。

医療費控除
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急な病気や怪我にあっても、高額医療費制度を利用すれば、支払いが高額になる心配もなくなります。もしも制度を知らず申請していなくても、過去に2年間は遡って申請可能です。もしものときは、高額医療費制度を利用して出費を減らしてくださいね。

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