子供のアルバイト収入でかえって支出増?「103万の壁」に注意
今回のご相談内容は、「子供にアルバイトの収入がある場合、いくらまでが控除対象か?どんな条件があるのか?」です。扶養親族がいる方から、この質問はよくいただきます。
「103万円の壁」という言葉を見聞きする機会もあるかと思いますが、実際はどのような仕組みなのでしょうか?押さえたいポイントは、税金と社会保険では考え方が異なるということです。これらを混在しないように、1つひとつ整理したいと思います。
FPに相談!バイト代の「103万円」「130万円」の壁って何?
《相談内容》
現在子供が私の扶養に入っています。今年大学に入学して20歳になり、アルバイトを始めようとしていますが、その際年収は気にした方がいいですか?
(会社員Aさん 40代女性)
大学生の子供がアルバイトしながら扶養控除の対象となる条件は
19歳以上の学生の場合、「合計所得金額が48万円以下の場合、扶養親族に該当し扶養者が63万円の控除を受けることができる」となっています。やや分かりにくいのですが、この「合計所得金額」というのは所得税を計算する上で、収入に応じて一定の控除額を引いた金額で、一般的にアルバイトやパートなどの場合、合計所得金額38万円イコール給与収入103万円と考えてもらって大丈夫です。この場合、一定の非課税交通費は差し引きます。
また、税金はその年の1月~12月の収入を元に計算されます。よって1年間で103万円以下であれば、Aさんの扶養親族として扶養控除の対象となり、Aさんの所得税の計算上63万円が控除されることになります。
ちなみに、子供自身も年間の給与収入103万円までなら所得税はかからないため、毎月のアルバイト料は全額受け取ることが可能です。ただし、夏休みや冬休みなどにたくさん働き、アルバイト料が一定額を超えると、税金が源泉徴収される場合があります。
要するに「納めなくてよいのに差し引かれている」という形になっているため、この場合はアルバイト先で年末調整をしてもらい、しっかりと返金してもらいましょう。または確定申告で還付してもらうこともできますので、「毎月のアルバイト料から税金が差し引かれていないかどうか?」を、明細でチェックするなどして確認するようにしておいてください。
学生は原則、収入に限らず健康保険の被扶養者になる
健康保険については、お子さんはAさんの被扶養者になっていると思います。そのため保険料の負担はありませんが、年収130万円以上(原則)になった場合は自分で健康保険に加入し、保険料を払う必要が生じます。
ただし、これは学生以外の話です。学生の場合、収入や勤務時間が多くとも、アルバイト先で健康保険に加入するということはありません。よって、先述の税金のみ意識しておけばよいということになります。
なお、20歳から国民年金の保険料を支払う必要がありますが、Aさんのお子さんは大学生のため、「学生納付特例制度」で免除の対象となります。その際は以下の計算式で所得基準が定められています。
本年度の所得基準(申請者本人のみ)(1月~12月) 118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等 |
通常、学生自身に扶養する親族はいないことが多く、社会保険料も払っていないため、あらかじめ定められた「118万円」が基準になります。この金額は先述のように収入金額に応じて一定の控除額が差し引かれており、これを足すと年間のアルバイト給与収入が約194万円となります。つまり学生納付特例制度を使って年金保険料を免除にするためには、年間のアルバイト料が約194万円を下回る必要があります。
まとめ
大学生の子供とその親の場合で意識しなければならない収入水準を一通り確認いたしました。筆者自身、大学で非常勤講師をしているためよく大学生と話をしますが、学業優先でアルバイトをこなしている学生はアルバイト料月額5万円前後が多く、ほとんどの学生が月額10万円以内です。
様々な家庭事情が考えられますが、もしお子さんがAさんの扶養から外れるような状況ならば、学業よりアルバイトが優先となっている可能性があります。「税金のことが気になるから、アルバイトの状況教えて」という親子の会話の機会にするのもよいかもしれませんね。
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